青い光と白い音 | Group Ten

Group Ten

小川潤子、池田義隆、西村有加がグループ展に向けてブログを始めました。

雪の降る音は眠気を誘う。
眠気が襲えば雪の降る音が聞こえる。
雪国育ちだからだろうか?

実家の自室は六畳ほどの狭い部屋だった。ベッドが苦手でフローリングに布団を敷いて寝ていた。
冬は夜が来るのが早く、寒い。
暖房器具を置いていなかったから暖をとる手段は布団だった。
夕飯前、暖をとりつつ一時間ほど仮眠をとるのがたまらなく幸せだった。
目を閉じて意識が無くなるのを静かに待つ。
空気の冷たさを顔の皮膚だけで感じる。
それに反して布団に隠れた体は暖かい。
頭部と胴体が別々のもののように錯覚する事で、肉体から精神が離脱したように感じる。
これがたまらなく心地よいのだ。

目覚めると雪の降る音が聞こえる。
静かな夜で、風もなく、物音一つしない。
ただ、雪の降る音だけがする。

青い光が漏れるカーテンを開けると、白い羽毛が揺れる事なく静かに天から下りて来ている。
ピンと張られた釣り糸をなぞるように一直線にゆっくりと下りて来る。
数える事も出来ないくらい沢山下りて来る。
互いに触れる事無く、後のものが先のものに追いつく事無く、順々に静かに下りて来る。

無音の地上に白い音だけがする。
地上から音を奪った雲が、集めた音で雪を作りそれを降らしているのだろうか。
音を地上に返しているのだろうか。
静かに降る雪を見ると神聖な気持ちになる。

夏でも眠りに入る時、白い音だけが静かに降るのだ。
人間は死ぬ時どんな音を聞くのだろうか。