友達が嫌いな月が出ていた。
それは、熟しすぎた甘すぎる果実の色をしている。
友達はその月に何か不吉なモノを感じるらしい。
そんな月を友達と二人、初めて見たのはこんな暑い夜だった。
きっと、日中の照りつける夏の太陽が月をあんな色にするのだろう。
夏がくるといつも思い出すのは、実家で出されるカボチャの煮付けだ。
青と白の器に緑とオレンジの色が映える。
柔らかくて甘いカボチャは私にとって夏の味だ。
亡くなった祖父と食卓で一緒に食べた。
夏のカボチャは今の私をつくった。いわばルーツとも言える。
もう何年も口にしていないが必ず思い出す大切な味なのだ。