影が映し出したもの | Group Ten

Group Ten

小川潤子、池田義隆、西村有加がグループ展に向けてブログを始めました。

私の大好きな作品に「赤ちゃんと僕」という漫画がある。

その作品の中である教師が発した言葉が今でも心に残っている。

「勉強やスポーツが出来なくたっていい。ただ、皆さんには人の痛みがわかる人間になってほしい」


今日、あまりお話しする機会のない方と二人きりでお話することができた。
多忙な最中、私の身の上について親身になって考えて下さり、様々な助言を頂いた。

今、私は迷いの中にいる。
今の自分が置かれている境遇をその方は若い時分に経験なさっていた。
故に言葉の端々から、私を安堵させる心地よい音色が響いていた。

答えが出ないであろう問題を、疲れているはずの神経で必死に言葉を選び、
私がよい方向へ行くための羅針盤を作って下さった。

帰り道、途中までその方と二人並んで歩く。
街灯が、二人の影を地面に映し出す。
並んで歩くその陰は、同じ大きさに見えた。
その方がどれだけ私について親身になって考えて下さっていたのかを、その影は語っていた。

その方は、私にとって先生と呼べる数少ない存在の一人なのである。
別れ際に見送った先生の背中はとても大きく見えた。