Where have all the fruits gone・・グロ・フレールのヴォーヌ・ロマネ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

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ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール ヴォーヌ・ロマネ 2003
購入日    2005年7月
開栓日    2010年8月31日
購入先    かわばた
インポーター モトックス
購入価格   3980円

昨日午前中に突然山形大学の教授から電話がかかってきて、
「来年1月に山形で講演して欲しい」とおっしゃる。

実はこちらから電話をして、臨床医会の会長講演を山形で開催したい、
とお願いしようと思っていたところ、逆を突かれた恰好である。
もちろんこの件もお願いしておいた。

「実はね、今日の午後に阪大の新教授が決まるんですよ」とお話ししたら、
「私までが教授選に出ている、なんて噂がありましてね、参ったなあ」
と笑っておられた。

この山形大学の教授を最初に視認したのは、もう20年も前、学会で免疫学の知識を振りかざして
丁々発止の質疑をやっておられる姿だった。
あまりにレベルの高い発言内容に正直呆れてしまい、新潟大学(当時)には
こんなスゴイ奴がいるのか、と思ったのである。

その後あれよあれよと全国的に有名になり、今では山形大の教授になっておられる。
最初に声をかけたのが2001年の米国の学会の会場で、
また大阪に講演に来て下さいよ、と言ったことを覚えている。
まいどの副院長の取り計らいで、一昨年秋にそれは実現した。

しかし大阪の一町医者を山形にお招きいただくとは、恐縮千万である。
何の話をしたらいいか分からないが、大阪弁が滑らないことを祈るばかりだ。
これまでの経験でよく分かっているが、わたしのギャグは、関西圏から遠くなるほど受けないのだ。


さてお題のワイン、開栓前の予想を裏切ること甚だしいものであった。
香りはまぎれもないヴォーヌ・ロマネであり、ターメリックなどの香辛料がふんだんに香る。
ヴィンテージは2003だし、まったりと甘い液体を想像して飲んでみるが、拍子抜けする。
「Where have all the fruits gone?(果実はどこへ行った?)」

熱入りや保管不良ではないし、自分の好みからは遅開けではない、と信じる。
だったら何なんだ、この香り高い、色濃く薄味のヴォーヌ・ロマネは。

この造り手は比較的単純で分かりやすく、果汁を濃縮させて濃い造りをしてくる印象があるが、
このワインをブラインドで飲んだら、村名だけ正解で、造り手とヴィンテージは大ハズレになること
間違いない。

2003の果実を過剰評価して発酵を進めすぎてしまい、最終的に糖度の少ない産物に
なり果てている、としか考えようがない。
かつて宇宙人やUTAさんたちと、このワインの1964を開けたが、
40年前のそちらの方が、はるかに酸と果実のバランスが取れていた。

この2003をあと40年後に開けたら、最近マスコミで大はやりの、
超高齢者の白骨死体みたいになっているのではないだろうか。

この造り手、大きなハズレは無いのだけれども、どことなくカリスマ性に乏しく、
通からは軽く見られているきらいがあるが、それも何となく分かる気がする。