中途半端か端麗な熟女か・・ルネ・コラール | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
ルネ・コラール ブリュット 1985
購入日    2010年5月
開栓日    2010年8月8日
購入先    ブル魂
インポーター ヌーヴェル・セレクション
購入価格    9800円

今日の午後、X線装置の現像機を撤去し、CR機に置き換えた。
明日から、いよいようちもX線のシステムがデジタル化される。

X線の防護施設を必要とし、相当なスペースを占有し、暗室も必要とする
X線診断システムは、現在では完全に非採算だ。

自動現像機のメンテ費用15万円/年で、検査収入はあらかた吹っ飛んでしまう。
診断のために必要だから置いているだけで、採算のことを考えると、
こんなに経営の足を引っ張る装置はない。

要するに、今の日本の保険診療点数設定がおかしいのである。

デジタル化にかかる300万円の費用もすべて持ち出しで、
こつこつと貯めてきた診療報酬のストックを、ここでまたしても大放出だ。
真面目にやっている医療機関が儲からないシステムが、
わが国では常識化している、と言って良い。
臨床力はあっても、経済センスを欠く医師が生き延びられる時代では無くなってしまっている。

まあここで愚痴っても仕方がない。
暗室にしている半畳ほどのスペースを、倉庫として使うために300万円捨てることを決断した、
というわけである。

300万円あればどれだけ美味しいワインが買えるか、という発想は当たらない。
高いワイン・ブランドワインを日常に開ける所作は、金持ちに任せておこう。


で、今回のシャンパーニュは珍しくヴィンテージものである。
はや25年、四半世紀前のシャンパーニュだと考えると感慨深いが、
1985年なんてつい最近ではないか、と思ったりもする。
ウサギだってもう8歳だし(関係ないか)。

しかし泡は正直で、昨日や今日デゴルジュマンされたあたりまえのシャンパーニュとは
比べるべくもない。
黄金色になった液体のイメージ通り、鋭角な酸やフレッシュな果実もそこにはない。

ちょっと柔らか、かなり頼りなげ、香りは中庸で地味。
悪く言えば中途半端、良く言えば端麗な熟女。

コスパははっきり言って相当悪い。
この値段を出せば、もっと満足度の高いシャンパーニュはいくつか思い浮かぶ。
開栓する際のときめきも無い。
ただし、熟女に安らぎを求めるシチュエーションに嵌れば、安堵感がもたらされるだろう。

趣味の世界のシャンパーニュ。
もし存在するとしたら、と仮定して、
70歳のショパンが書いた、軽い脳卒中のピアニストでも引きこなせるピアノソナタか。