すっかり丸い・・ヴァロワイユ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ジャン・ペルネ レゼルヴ ブリュット ブラン・ド・ブラン
購入日    2008年6月
開栓日    2008年11月13日
購入先    LEXT
インポーター 飯田
購入価格   4700円


ドメーヌ・デ・ヴァロワイユ ジュブレ・シャンベルタン・1er 
クロ・デ・ヴァロワイユ(モノポール) 1997
購入日    2007年2月
開栓日    2008年11月13日
購入先    うきうきワインの玉手箱
インポーター モトックス
購入価格   4980円

この日は、他にもいろいろ予定があったのだが、神奈川からフランス語学者の親友が
出張でやって来たため、勉強会はパスして、例によって仕事場でワインを開けた。
今月前半だけ某市民病院より研修医がやって来ていて、たまたま3人で宴会となった。

一旦サラリーマンを経験してから、何を思ったか医学部に入り直した、というこのドクター、
すでに30歳になっているが、なかなか体力もあり、熱心である。
ワイン好きオヤジ2人に囲まれて、こってりブルゴーニュの講義をされて迷惑だったと思う。

2週間うちで研修した彼の感想は、「開業医がこんなに忙しいとは思わなかった」であった。
ここでの開業医とはわたし1人のことではなく、1日ずつ行ってもらった
内科と消化器科と皮膚科の先生も含めてのことである。

外来診察の場、というのはある意味戦場で、ミスが許されない厳しさがある。
むろん時間的にも体力的にも、市民病院の第一線の医師の方が忙しいに決まっているが、
それとは違う忙しさがある、と理解してくれたようだ。

さてワインだが、偶然にも2本とも六覚燈で教えてもらったものである。
1本目はお馴染みのジャン・ペルネで、まさにブラン・ド・ブランの教科書と言うべきもの。
細かい泡に切れ味の良い酸があり、芯がしっかりとしたドライなシャンパーニュだ。

モアモアした複雑な香りはないにもかかわらず、ここまで深みを感じさせるところは
さすがで、単にドライなだけの凡庸な食中酒ではない。

次のヴァロワイユの97は、これで3本目である。多分このボトルが最後の1本だ。
昨年2月の1本目はずいぶん若く、12月の2本目は、うって変わって柔らかく熟したワインだった。

この3本目は、2本目と同じで少し古酒の領域に入りかけていた。
酸味が引っ込んだ結果、シャープさは失われているが、クリーミーなチョコレートのような甘さ
がある。
タンニンはすっかり果実にとけ込んでいて、とても柔和で優しいワインであった。

同じような印象だった2本目を開けてからすでに1年も経っているが、今でも遅いということはない。
常識的にはピークは明らかに過ぎており、普通の飲み手には若さがなさ過ぎると
感じることだろう。

しかし1本目だけずいぶん若く、2本目は1年前ですら柔らかくなっていたので、
このワインの実体がよく掴めないが、現在でも枯れて行く過程にはないことは確かだ。
これからも古酒として美しく熟していくことが期待された。


研修医の先生は、来年から絶滅危惧種の産婦人科医として働く予定だという。
毎年大阪府下で新規に婦人科医になる医師は、ここ数年10人以下だと聞く。
彼なら、きっと良い婦人科医になることだろう。
奇特な心意気だが、初心を忘れずに頑張ってもらいたいと思う。