秘めたる力 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドメーヌ・ジョルジュ・リニエ クロ・サン・ドニ 特級 1999
購入日    2005年5月
開栓日    2005年11月15日
購入先    かわばた
インポーター ヴィノラム
購入価格   5880円

モレ・サン・ドニ村は、より有名なジュブレ村とシャンボール村の間にあるため、
何となくパッとしないイメージがあるが、特級畑がごろごろしている。
村の広さはジュブレ村の半分くらいだそうだが、村の半分以上を特級畑と1級畑が占めるらしい。

この村には、クロ・サン・ドニ、クロ・ド・ラ・ロッシュ、クロ・デ・ランブレ、クロ・ド・タール
そしてミュジニー村にまたがるボンヌ・マール(1.5haのみ)といった特級畑がある。

リニエ家はモレ村の旧家で、ユベール・リニエと、このジョルジュ・リニエは兄弟だそうだ。
住所もほとんど同じになっている。
市場価格はユベールの方が高く、ジョルジュのワインは、グラン・クルのこのワインでも、
まだかなり安い。

飲み頃に入っていることを期待して昨晩に開栓したが、開栓時期はかなり早かったようだ。
5時間くらい経過しても、ほぐれてブーケが立ってくるどころか、まだまだタンニンが強く、
凝縮感があり、閉じこもっている。

12時間近く経っても、それほど開いてこなくて、しっかりしたタンニンの芯がある。
このあたりはさすが良年のグラン・クルと言うべきか、非常に格調が高く、
十分な秘めた力がある、と感じさせる。

熟成には10年を要しそうだ。
今の時点では、日常の夕食の友にひょいと開栓して楽しめる、というワインではない。

そもそも平日のあたりまえの夕食時に、こんなものを開けて感想をブログに書いているわたし、
というのがおかしいのである。

しかし、六覚燈のような特殊な場所を除いて、世間では非常識なほどの早開けが
蔓延しているとわたしは感じている。
10年待って、このワインをほんとうのピークで体験している人は、ごく少数ではないか、
という思いは、消えることがない。