前回の記事でも少し紹介した「垂直農園」に対する反響が非常に大きかったので、実際に稼動している未来型農園、シンガポールの世界初垂直農園SKY GREEN をもう少し詳しくご紹介しようと思います。（前回記事：“食べ頃” の高層ビル： 都市型垂直農園）
シンガポールは、国土が非常に狭く人口が多いので、土地が高く低利益農業には不向きでした。そのため食料の輸入率は９０パーセントにまで達し、国民が手にする食品は全て遠地から輸入される外国製品がほとんどです。シンガポールで農業を営むためには高利益率である必要があり、そこで注目されたのがこの垂直農園。
世界初の垂直農園を利用したSKY GREENは、９メートルの縦型農地を何列も搭載した垂直農園ビルを１００棟保有し、２０１２年１０月からフル稼働し始めました。通常の農園の５倍以上の生産高を保ち売り上げは上々。２０１４年までには、２０００棟の垂直農園ビルを計画しているといいます。
土地が希少であるこのシンガポールで農業が経済的成功を収めるためには、数々の農業技術の徹
底効率化が必要です。この垂直農園を開発するにあたり、SKY
GREENは農作物を育てるために必要な知識を、現代テクノロジーを駆使して最も効率的な人口エコシステムを構築することにより実践しています。
農地であるところのこの９メートルの棚は、レールに収めてあり一日８時間をかけてゆっくり一回転します。そうすることにより、均一にそして強い太陽光線を集中的に浴びないようにやさしく育てられます。
水は、水車のシステムを利用して常に巡回し、再利用されます。このシステムを稼動するのも、一日たった電球１個ほどの電気量しか使わないとのことです。巡回される水は、フィルターされ再利用されるため、使われる水の量も劇的に減少されます。
水の質を高めるために、自家製フィルターシステムとして、水生植物や魚をタンクに飼育し、その水を巡回させる実験も行っています。正に自然のエコシステムそのもの。人口建物内に再構築する試みがすばらしい。この自然を模範として現代テクノロジーを使いシステム化するアプローチは、農業だけでな
くこれからのグリーンな建築環境のあり方としても注目に値します。
野菜たちの高層マンション。ちょっと機械的に扱いすぎてかわいそうな感じがするのは確かです・。しかし、現代の環境汚染を踏まえ食の安全の観点から考えると、これほど安心するものもありません。
収穫や育てる作業に関しても、非常に効率的です。
ちょうど適度な高さにある棚の上に育った農作物を、手の高さで扱うだけのみ。
足元も常に清潔で管理が行き届き、作業しやすい。環境に影響を受けず細心の注意を払って農作物を扱えます。身体が弱くなったおじいちゃんおばあちゃんでも長い間しゃがんだりする重労働も軽減し、農業がしやすくなります。また、どんな素人でも仕事が出来るわけです。農産業が若い世代にも手が届くものとなります。
垂直農業で生産されたスカイファームの商品を扱うスーパーマーケットの店長は、農作物の売り上げが４０パーセント伸びたといいます。その理由として、お客さんが、農作物がどこで育ったものかを知っていて、野菜がローカルのものであると知っていること。非常に新鮮であること。安全であること。などがあるといいます。
私も、もしこのような野菜が日本に存在すれば、真っ先にその野菜・果物を手にすると思います。今の日本の放射能汚染の危険性がしっかりと政府により管理されず、農作物の検査もしっかり行われていない現状を踏まえれば、多くの日本人も同じ選択肢を選ぶのではないでしょうか？
このような農業方式は、非常にエコでグリーンな自然に対する負荷を最小限に抑える方法でもあります。農業が使用する水は、水全体使用量の７０パーセントにも上るので、水の再利用によってその使用量は激減します。農業が大きな土地を必要とせず、都市でも行うことが出来るので、交通手段が減り、ガソリン使用量が減少し、ＣＯ２削減そして農作物の価格低下に貢献します。非常にエコです！
はやく誰かこのような理想的グリーン技術で、社会を変革していってもらいたいものです！
参照：ＣＮＮ
人気ブログランキングへ
