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酸素ボンベのメーターも大きい物に変えたので10リットルで流す事ができる。


夕方、千里の薬の用意が整い
パパも病院に戻って来た

さぁ、家に帰ろう



見送りは、何時もの様に盛大だ

院内学級の先生達も、「せんりちゃん行ってらしゃ~い」と笑顔で手を振っている


外は、雨

車を開けると…プーが「キュン、キュン」と尻尾を振ってお出迎え

リフトを降ろして千里は、車椅子ごと車中へ


菜花先生達に、手を振りながら病院を出発


車が走り出して程なくすると

千里:「 …なんか、こわくなって来た…どうしよう…こわい…」


またこわくなってしまったんだ…


ママ:「PCA押そうか?少し寝る?」
千里にそう聞いて見た



PCAのドーズボタンを何時もなら躊躇わないで押していたけど、今回は、違う

この中には、ドリニカムが入っている

PCAからは、一定の間隔を置いて薬が流されている、
そのドーズボタンを押すと言う事は、薬が一回分早送りされると言う事だ…


このボタンを押せば
千里は、すぐに寝てしまうだろう


次は、いつ目を覚ますかわからない…

いや…まだ血中濃度は、上がっていないはず…
だから…押しても家に着く頃には、目を覚ましてくれるはず


躊躇いながらも
ママは、PCAのドーズボタンを押した

押した後に、後悔…
押さなくても
定期的に薬が流れるんだから…押さなくても良かったのに…



千里が不安そうに、聞いて来た

「ちゃん…しぬの?」


その言葉を聞いた瞬間、ママは
胸に キーン  と言う痛みが走った


ママ:「あのね、しなないから!
わかった?!
しなないからね!」


千里は、コクンとうなずて
「ママ…クリスマス
…今年もイルミネーションしないの?」

我が家は、数年前までクリスマスシーズンには、イルミネーションをしていたけど、ここ数年忙しくて(めんどくさくて)やっていなかった…


ママ:「今年?イルミネーション…するよ!やろう(^∀^)ノ」


千里:「クリスマスになったら、プーに、ケーキ買ってあげる」


ママ:「ちゃん、その前にハロウィーンだよ、明日パーティーするからね
YYYちゃん達を呼んでパーティーだからね



千里:「うん」


話をしていると
千里は、いつの間にか寝てしまった


2010.10.28