2017年3月8日 神戸市 国際会議場メインホールで行われました「地域防災力向上シンポジウム」にコーディネーターとして出演させて頂きました。

 

室﨑益輝 兵庫県立大学防災教育研究センター長の基調講演では

 

リスクマネジメントとクライシスマネジメント

饅頭の皮とあんこのベストミックスなどをお話いただきました。

 

皮とあんこというのは

饅頭は、あんこが不味いと皮が分厚くなるが、いくらおいしいあんこでも皮は絶対に必要という事です

皮を防災のためのインフラ、あんこが自治体や住民の防災減災意識や活動の例えです。

自治体や住民の意識が低く、防災減災の活動もしないのであれば、命を守るためには例えば高い高い防潮堤を造るなどインフラで防御するしかなくなってしまいます。

 

 

畑山満則 京都大学防災研究所 巨大災害研究センター教授は

 

阪神淡路大震災時、神戸市長田区役所においてGISを用いた倒壊家屋撤去受付支援活動に参加された経験などから、
GISを用いた災害対応システムの研究

SNSは災害時に本当に役立つのか?

ICTの災害対策利用とそのリスク

焼津市で行った、津波の速さを体感するための「ツナミスト」という実験の報告がされました

 

津波の速さというのは非常に気になるものです

色々な文献などでは、水深が深いほど速く、ジェット機なみのスピードを持つと言われています。

陸に上がってからはそうでもなく、スピードダウンするようです。

焼津で実験に協力してもらった焼津高校は女子高なのですが、その焼津市での津波スピードは運動部最速の女子高生が全力疾走するくらいのスピードを想定したという事でした。

ただ、この想定が場所によって合っているかどうかは当然ですが起こってみないと分からないという事すので、とにかく迅速な避難が必要になるという事です。

 

 

森川 薫(元摂津市長、NPO法人地震予知ネット代表)からは

井戸の水位と温度の変化から、地震予知をする研究の報告が

 

熊谷行裕(株式会社新興技術研究所代表)からは
断層同士の圧力によって地震発生前に生じる「電磁波」を全国約100ヶ所のノイズ観測器(逆ラジオ)で観測し、地震予知をする研究の報告が

 

八木下重義(一般社団法人地震予兆研究センター長)からは
世界480地点のInternational GNNSや国内1380地点の電子基準点データ、更にESA(欧州宇宙機関)が運用する合成開口レーダー衛星「SENTINEL-1A」等のデータ解析により地殻変動を解析する事による、地震予兆把握の研究の報告がなされました

 

森川さん、熊谷さん、八木下さんのどの方法についても、阪神淡路大震災後に開始された研究で、全て実績があり、東日本大震災や熊本地震、その他の地震をある程度予見できただろうというものでした。

地震予知というのは、

・いつ 

・どこで 

・どれくらいの規模で

という3つのポイントが確実に予測できて初めて予知と言えるという森川氏は言われます。

まだどの方法にも欠点があり、それぞれの方法単独では予知にはならないといいます。

 

ただ、井戸の観測では、水位の変動の後に「どこかで」大きな地震がある事は分かり、電磁波では、場所は分からないが自身の規模やいつ頃?という事は分かり、GPSを用いた地殻変動解析の方法では規模と場所とタイミングもだいたいつかめるが、地震のタイプによっては把握できないものもあるのだろうという事でした。

これらの方法や他の方法を組み合わせ、また進化させる事で、将来確実な予知ができるようになれば、被害規模を減少させる事が可能でしょう。

 

一つ間違いなく言えるのは、不確実性はあるものの、非常に面白い!という事です。

お話を聞くだけでも期待感がかなり持てるものでした。

 

高橋実芳子(NPO兵庫県防災士会理事、神戸市東灘消防団員、神戸クロスロード研究会、NPO神戸の絆2005)からは

阪神大震災を神戸で経験し、それをきっかけに神戸市東灘消防団に入団。
平成20年には、「第14回全国女性消防団員活性化北海道大会」で「災害に強い街づくり」について発表

その後、神戸クロスロード研究会で東北の被災地へ、NPO神戸の絆2005では熊本の避難所へ行くなど災害現場を体験することから見えてくる防災を学び、女性の視点から防災講義、ワークショップなどでの幅広い活動の報告がされました。

 

 

私からも

神戸市で行っている防災減災の取り組みを紹介させて頂きました。

神戸市地域防災計画~ 自己決定力の向上というテーマ

災害時要援護者支援条例の目的と内容

そして、神戸市の津波対策事業についての報告をさせて頂きました

5か年で25億円の投資になり

これで、レベル2津波に対する対応が可能という計画です

ただ、想定外は起きますし、防潮鉄扉についてもどんな状況でも作動する保証はありませんので、そもそもの浸水が予想される地域での非難はしっかりなされるべきでしょう。

想定での津波到達は、垂水が一番早く、83分という事です。

神戸の場合はですが、焦らず確実に避難などの対応を行う事が必要です。

 

想定やシミュレーションが合っているかは別として、備えて頂いている神戸市・みなと総局の行動を高く評価したいと思います。

 

 

 

第2部のディスカッションでは

予知が完璧ではない現状においての

予知・予兆把握情報を自治体が使用できない・してもらえない状況

役立つ研究であるにも関わらず、研究費などの補助や助成が困難である事へのジレンマなどについて議論することができました。

 

明日9日、東京会場

14日には高知海上にても開催予定です

http://eprc.or.jp/bousai201703

 

全体を通して

防災力向上には、インフラ投資などハード面の整備、防災減災活動などのソフト面の整備をベストミックスで行い、予知や予兆把握の新技術の開発でさらなる減災効果を望みたいという感想を持ちました。

講演者・パネラーの皆様ありがとうございました。

 

神戸市会議員

五島だいすけ

 

 

シンポジウム後の懇親会で出演者のみなさまと