富士市議会には「ユニバーサル就労」を推進していこうという議員連盟があります。
これは党派を超えて30名の富士市議が集まり、障害者や高齢者の雇用を増やしていくために取り組んでいる任意団体です。
現在3つの班に分かれて、障害者雇用で頑張っている会社や就労移行支援施設、就労継続A型施設といった団体のケーススタディを行っているところです。そんな中、「富士市ではなぜ継続A型の施設が少ないのだろう」という前から私が抱いていた疑問に、明確に答えてくれる会社がありました。
この会社は「『人間らしく働く』を主題に、社会訓練を施すことで障害者を社会に送り出す」ということを事業目的に掲げています。社長さんは「内職作業では社会訓練にならない」と私たちに語りかけてくれました。
以下ヒアリングの抜粋です。
静岡県には「儲かるA型」を奨励するコンサルタントがいました。
それで一時期、国からの支給や加算、雇用調整助成金等あわせて一日6000円以上のインセンティブ、これを目当てに参入してくる「継続A型」が急激に増えました。
私はこれを「悪しきA型」と呼んでいます。
例えば鶴を折るだけ、箱を作るだけという内職作業をさせて、最低賃金で5時間働かせて一日の報酬を支払うような施設があります。これによって一人当たり一日3000円ほどが事業所の収益になるという構造的な問題が障害者雇用の世界にはあります。
そうした「悪しきA型」をきちんと排除していかないと「人間らしい働き」にはなりません。
つまり、富士市に今まで「就労継続A型」の施設が少なかったのは、そうした「障害者ビジネス」を認可してこなかった結果だというのです。むしろ、富士市の障害福祉課がしっかりしているからですよと、この社長さんに言われ目からうろこが落ちる思いがしました。
富士市には公設の「障害者就労移行支援施設」がありますが、そこは常に「定員割れ」の問題を抱えています。一般就労に成功する方の割合も一割以下です。それに比べて、先ほどの社長さんの会社では毎年50%の方が一般就労に移行していきます。
ご多分に漏れず富士市でも、年々生産年齢人口が減少していきます。社会参加する人を増やしていくことが、今後の都市活力再生のカギになって行くはずです。たとえば「ジャンボエンチョー」さんは県下で40人以上の障害者を雇用しています。そしてそうした「障害者雇用で頑張る会社」の手助けをしているのが今回訪問させていただいた「富士山ドリームビレッジ」さんです。
株式会社富士山ドリームビレッジは本年、富士市に拠点を移すそうです。