真っ白けっけの雪が積もった道路
小さい足跡
一匹ぼっちでたたずんでる黒い物体
真冬の風に吹かれながら目を細め
小さくうなり声をあげて
素早い動きで逃げていく
真っ白けっけの雪の上に足跡がいっぱい
真っ白けっけの雪の上に足跡がいっぱい
真っ白けっけの雪の上に足跡がいっぱい
真っ白けっけの雪の上にたくさん残った足跡の先
塀と塀の隙間からじっと体丸めこっちを見ている
真っ黒けっけの野良猫が一匹
真夜中かすかに小さく聞こえるうなり声
腹を空かした親知らず
10匹以上のニャーニャーニャー
目と目があったらおっぱじまってうるせえ
真っ白けっけの雪の上
生まれて死んで繰りかえし
真っ黒けっけの
真っ黒けっけの
真っ黒けっけの
This is NORANEKO!!
「ZAZEN BOYS」(作詞・作曲:向井秀徳)「This is NORANEKO」より
もともと猫はそんなに好きじゃなかった。
が、ひょんなことから、我が家に猫が一人来ることになり、もう7年も一緒に暮らしているから、なんとなく「猫派」になってしまったらしい(ホントは「犬派」だったんだけど)。
しかも、我が家の近所には野良猫が多い。
先日、とある野良猫と再会した。
白と黒のブチ。
駐車場で昼間に堂々とお午睡(私は「ひるね」を「午睡」と書くのが好きなので、念のため)していた。
私が近づくと、すぐさま逃げ出した。
おいおい……こないだ会ったばっかじゃん。
昨年末、こいつと出逢った(思い出せば、これまでも何度か "CLOSE ENCOUNTER OF THE THIRD KIND"……第三種接近遭遇してるんだが)
顔面の右の頬に、他の野良猫と喧嘩したのか、あるいは人間にやられたのか、まるでぶっとい錐でも刺されたかのようなグロテスクな傷跡が見え、赤い肉が露出している。
毛並みは、何日もシャンプーしていないオッサン(なんて出逢ったことないけど)のように、ベタついてツヤもない。
そして、両眼は「目ヤニ」だらけで、半分しか開くことができない。
おそらく、かなりの老猫。そして、かなり弱っている。
そんな奴が、昨年末、人通りの多い歩道をよたよたと歩いていた。
こんな写真しか(しかも携帯で)撮るチャンスがなかった
思わず歩み寄ったら、逃げようともしない。逃げることもメンドくさいという境地に至っているのか。
さらに近づくが、逃げない。
で、猫にとって「キモチイイ」場所を知っているので、その辺りをなでてやり、
「おお、『猫の額』は狭いのう」
(実際、猫の顔面をなでてやるとキモチイイと感じる猫が多いらしい)
などと我が家のバカムスメと同様にいじってやる。
その仕草から、勝手にメスだとばかり思っていたが、よく見ると立派な立派な「タマブクロ」があるじゃないですか。
そっか、男の子……いや、もういい歳のオッサンか爺さんか。
それから、ティッシュを取り出して唾を付けて濡らし、老猫の目ヤニを取ってやる。
野良のくせに、ほとんど抵抗しない(抵抗する気力がないのかな)。
……てなことを、人通りの多い歩道上でやっていた。すぐ脇は片側三車線の大通りで、車がどんどん走っている。
歩道上も、歩行者に自転車がたえず行き交う状況。
……にも関わらず、この野良猫野郎、調子こいたのか、アスファルトの上に仰向けになって毛づくろいをし始めた。
この時期は日陰と日なたの温度差が激しい。
日なたのアスファルトは暖かいよな、ウン。
……いや、ちょっと待ていっ!
こんなに人通りの多い場所でくつろいでもらっちゃ困るんだよ。野良猫野郎!
いや、あたしゃ困らないけど、おまえが困るだろ(自転車に轢かれたり、ヘンな人間にいじめられたりするぞ)。
ってんで、こいつを抱きかかえて(野良のくせに、まったく抵抗せず。むしろ、抱っこされたことがうれしいらしい)、大通りから少し離れた裏通りまで数10メートル運び、
「達者で暮らせよ」
と分かれた。
そして、ようやく冒頭に戻るのだが、つい数日前に、そいつと我が家の近所で再会した、というわけである。
駐車場で堂々と人目も憚らずに午睡しているではないか。
歩み寄ると、すぐさま目覚めた。
そのときに、年末に出逢ったあの野良猫だったことに気づいた。
右頬の傷跡は間違えようがない。
なのにすぐに逃げやがった。
え?
ということは、この野良猫、片側三車線の大通りを横断してこちら側に来たのかよ。
よく車にペシャンコにされなかったなぁ。
が、今回はなでるどころか、触れることすらできなかった。
さらに、思い出せば半年ほど前、私の住むマンションで超接近遭遇したことがあったやつと同一猫だということにも気づいた。
生き延びろよ
そう思った。
ただそれだけの話である。
小さい足跡
一匹ぼっちでたたずんでる黒い物体
真冬の風に吹かれながら目を細め
小さくうなり声をあげて
素早い動きで逃げていく
真っ白けっけの雪の上に足跡がいっぱい
真っ白けっけの雪の上に足跡がいっぱい
真っ白けっけの雪の上に足跡がいっぱい
真っ白けっけの雪の上にたくさん残った足跡の先
塀と塀の隙間からじっと体丸めこっちを見ている
真っ黒けっけの野良猫が一匹
真夜中かすかに小さく聞こえるうなり声
腹を空かした親知らず
10匹以上のニャーニャーニャー
目と目があったらおっぱじまってうるせえ
真っ白けっけの雪の上
生まれて死んで繰りかえし
真っ黒けっけの
真っ黒けっけの
真っ黒けっけの
This is NORANEKO!!
「ZAZEN BOYS」(作詞・作曲:向井秀徳)「This is NORANEKO」より
もともと猫はそんなに好きじゃなかった。
が、ひょんなことから、我が家に猫が一人来ることになり、もう7年も一緒に暮らしているから、なんとなく「猫派」になってしまったらしい(ホントは「犬派」だったんだけど)。
しかも、我が家の近所には野良猫が多い。
先日、とある野良猫と再会した。
白と黒のブチ。
駐車場で昼間に堂々とお午睡(私は「ひるね」を「午睡」と書くのが好きなので、念のため)していた。
私が近づくと、すぐさま逃げ出した。
おいおい……こないだ会ったばっかじゃん。
昨年末、こいつと出逢った(思い出せば、これまでも何度か "CLOSE ENCOUNTER OF THE THIRD KIND"……第三種接近遭遇してるんだが)
顔面の右の頬に、他の野良猫と喧嘩したのか、あるいは人間にやられたのか、まるでぶっとい錐でも刺されたかのようなグロテスクな傷跡が見え、赤い肉が露出している。
毛並みは、何日もシャンプーしていないオッサン(なんて出逢ったことないけど)のように、ベタついてツヤもない。
そして、両眼は「目ヤニ」だらけで、半分しか開くことができない。
おそらく、かなりの老猫。そして、かなり弱っている。
そんな奴が、昨年末、人通りの多い歩道をよたよたと歩いていた。
思わず歩み寄ったら、逃げようともしない。逃げることもメンドくさいという境地に至っているのか。
さらに近づくが、逃げない。
で、猫にとって「キモチイイ」場所を知っているので、その辺りをなでてやり、
「おお、『猫の額』は狭いのう」
(実際、猫の顔面をなでてやるとキモチイイと感じる猫が多いらしい)
などと我が家のバカムスメと同様にいじってやる。
その仕草から、勝手にメスだとばかり思っていたが、よく見ると立派な立派な「タマブクロ」があるじゃないですか。
そっか、男の子……いや、もういい歳のオッサンか爺さんか。
それから、ティッシュを取り出して唾を付けて濡らし、老猫の目ヤニを取ってやる。
野良のくせに、ほとんど抵抗しない(抵抗する気力がないのかな)。
……てなことを、人通りの多い歩道上でやっていた。すぐ脇は片側三車線の大通りで、車がどんどん走っている。
歩道上も、歩行者に自転車がたえず行き交う状況。
……にも関わらず、この野良猫野郎、調子こいたのか、アスファルトの上に仰向けになって毛づくろいをし始めた。
この時期は日陰と日なたの温度差が激しい。
日なたのアスファルトは暖かいよな、ウン。
……いや、ちょっと待ていっ!
こんなに人通りの多い場所でくつろいでもらっちゃ困るんだよ。野良猫野郎!
いや、あたしゃ困らないけど、おまえが困るだろ(自転車に轢かれたり、ヘンな人間にいじめられたりするぞ)。
ってんで、こいつを抱きかかえて(野良のくせに、まったく抵抗せず。むしろ、抱っこされたことがうれしいらしい)、大通りから少し離れた裏通りまで数10メートル運び、
「達者で暮らせよ」
と分かれた。
そして、ようやく冒頭に戻るのだが、つい数日前に、そいつと我が家の近所で再会した、というわけである。
駐車場で堂々と人目も憚らずに午睡しているではないか。
歩み寄ると、すぐさま目覚めた。
そのときに、年末に出逢ったあの野良猫だったことに気づいた。
右頬の傷跡は間違えようがない。
なのにすぐに逃げやがった。
え?
ということは、この野良猫、片側三車線の大通りを横断してこちら側に来たのかよ。
よく車にペシャンコにされなかったなぁ。
が、今回はなでるどころか、触れることすらできなかった。
さらに、思い出せば半年ほど前、私の住むマンションで超接近遭遇したことがあったやつと同一猫だということにも気づいた。
生き延びろよ
そう思った。
ただそれだけの話である。