毎年スカパー!では、本放送から久しく、CS初放送かつ未ソフト化だったりする蔵出し作品がいくつか出てくるのだが、今夜から日本映画専門チャンネルで始まる三ヶ月限定企画『特撮国宝』のそれはすごい。
日本映画専門チャンネル 特撮国宝 スペシャルサイト
http://www.nihon-eiga.com/osusume/tokuho/
とくに、来月8月放送分の日本テレビ系「木曜スペシャル」枠で放送した『さらば海底空母イ-401』(1983年4月28日)と再来月9月放送分の日本テレビ系の「火曜サスペンス劇場」枠で放送した『消えたタンカー』(1981年10月8日)などレア中のレアものを放送する。また、オンエアではなく関連イベントのみでの上映ではあるけれど、日本テレビ系の「木曜ゴールデンドラマ」枠で放送された『東京大地震マグニチュード8.1』(1980年4月17日)なんかも日の目を見る。
『特撮国宝』の主宰である樋口真嗣が「観たい!、みんなに見せたい!」と行動に移してくれなかったから、今後もおそらく世に出てこないであろう作品ばかりだ。過去のテレビドラマをCSでも地上波でもかぎらず現在放送させるには、さまざまな条件が介在する。元素材の状態であったり、著作権利者や出演者の事情であったり、末端は需要があるかどうかとも。下記のインタビューでは、そのあたりも触れられている。
GIGAZINE 樋口真嗣インタビュー
http://gigazine.net/news/20130702-shinji-higuchi-interview/
さて、せっかくなので、これらの作品が制作された頃のドラマ枠の概要を紹介したい。
放送が終わった現在でも2時間ドラマ枠の代名詞的存在となっている「火曜サスペンス劇場」は、1981年9月からの放送で、『消えたタンカー』は放送開始2作品目にあたる(ちなみに1作品目は松本清張原作の『球形の荒野』)。火曜サスペンス劇場というと、前番組の火曜9時枠のアクション&刑事ドラマとの作品傾向のギャップがよくネタにされるのだけど、初期作品にはその火曜9時枠の山口剛プロデューサーも入っていたことから、それに通ずる結構なハードアクション作品もあった。なかでも藤竜也主演のピカレスク・サスペンスアクション『コンピューターの身代金』と続編『モナ・リザの身代金』は傑作中の傑作だけに是非とも日テレプラスあたりで放送して欲しいところ。
「木曜ゴールデンドラマ」は「火曜サスペンス劇場」に先駆けること一年半前の1980年4月にスタートした同じく2時間の単発ドラマ枠で木曜午後9時からの放送・・・。そう、裏番組には全盛期のTBS『ザ・ベストテン』があって、1978年のスタート以来苦汁をなめさせられていたそれへの対抗として日本テレビと系列の準キー局であるよみうりテレビがタッグを組んで作られたものだったのだ。
それゆえにスタート時の意気込みは凄くて、第1弾は水谷豊主演のドル箱シリーズだった『熱中時代』のタイトルを掲げた『熱中時代スペシャル 水谷教授の華麗な冒険』、翌週の第2弾が当時ナンバー1女優と言っても過言ではない松坂慶子主演で川端康成の文芸作品を映像化させた『雪国』、そして第3弾が制作元である東宝(東宝映像)の特撮映画そのままのスケールで作った『東京大地震マグニチュード8.1』と、文字で書いているだけでも豪華絢爛そのもの。ちなみに、『東京大地震~』の制作費は1.5億円と言われている。前回の記事でも示した、同時期の『西部警察』が破格の待遇を受けて1話あたり2500万円の制作費が投入されていて、2時間ドラマで単純にその倍としてもまだ5000万円ということだから、いかに超破格の制作費を注ぎ込んでいたか。