後立山を縦走してきました


扇沢~爺ケ岳~鹿島槍ケ岳~五竜岳~唐松岳~八方 と4日間



雲上のお花畑 百花繚乱の稜線


テントに沁みわたる 月光 稲妻 夜半の風


黎明に飲む温かなスープ 目を細め眺める今日の陽


切り立つ岩々 胸躍る高度感 時折確かめる仲間の位置


悲鳴上げる心肺と筋肉 とめどなく滴る汗 肩に食い込む20kg超


一日の終わりの乾杯 と 日焼けした笑顔


同じ稜線を越えてきた者だけに通じるサイン


近づく低気圧と それを示す強風 雷鳴 一抹の不安


横なぐりの雨・あられ 体温を奪い 視界を遮る強風


濡れた急峻な岩峰を越えれば その先に現れる更に急峻な岩峰


ガスの向こう 微かに見えた小屋 濡れたまつ毛 微笑 安堵


小屋での思いがけぬ再会 弾む会話 あっという間の別れ 握手


箱庭のような下界を眺め 惜しみながら飲む コーヒーの苦味

   

夕立ちのバス停で 屋根から流れる雨水で4日ぶりに洗う髪


車中の睡魔 いつもより早くやって来る酩酊



山の開放感に惹かれ


山の緊張感に憑かれ


山の不自由さを心の底から愛し


山の出会いに一喜一憂し


社会から離れ 社会を焦がれる



年齢も 住んでいる場所も 異なる3人の仲間


価値観は似ていたとしても


互いを認め合って 黙々と日々山に抱かれることで 生まれる絆



そして またしばしの 別れ


昨日 ひとり 今日 またひとり



今日 旅立った小さな仲間は 僕のボロ小屋のグローブの中の白球に


「 相手の気持ちを考える 」 と そっと書き残していきました



ありがとう


今度は年末 雪のアルプスで会いましょう


それまでは 見えない糸に身を委ね 街の風に吹かれていましょう