ラクトフェリンは環境にも優しいようです。
ラクトフェリンの製造がドイツのライン川の汚染を防いでいるらしいのです。1970 年代、日本と同じようにヨーロッパでも 「 河川の汚染 」が問題になっていました。その原因の一つが、古き良き時代から育まれてきたチーズ製造にあったのです。チーズは牛乳から作られますが、チーズを製造すると必ず副産物として乳清 （ チーズホエー ）が生じます。ヨーロッパでは家内工業的チーズ生産者が多く、ホエーはそのまま河川に流されていました。これがライン川の汚染の一因だったのです。
そこで、乳清の一括集中処理と有効利用を目的とした産官のプロジェクトが発足され、ドイツ南部アルゴイランド地方のライン川の辺、ロイトキルヒという町に MILEI （ ミライ ） 社が設立されました。乳清には、たんぱく質の他、乳糖やミネラルなどの成分が含まれます。プロジェクト初期には、乳清からたんぱく質と乳糖を分離する技術が確立されました。次にプロジェクトは、乳清からの生理活性物質の分離に取組みました。乳清中にはラクトフェリン、ラクトアルブミン、ラクトパーオキシダーゼなど、種々の生理活性タンパク質が含まれていたためです。その結果として、ラクトフェリンを高純度で、しかも産業ベースに見合うだけの量を生産できるシステムが構築されました。
現在、ラクトフェリンをはじめとする様々な乳由来の有用成分が供給されるのは、本プロジェクト成功の証なのです。当時の西ドイツ政府は、本プロジェクトに関わった企業を賞賛し、本プロジェクトで産声をあげ、そして成長したドイツ MILEI 社は、ラインの辺で今も昼夜稼動し続けています。ラクトフェリンは、清らかなラインの流れと川の瀬の富みを守る女神の贈り物かも知れません。
森永乳業は、 2003年に 「 ラクトフェリンの工業的な製造法の開発 」 で文部科学大臣賞を受賞しました。なぜなら MILEI 社の M は森永乳業の頭文字のMなのです。
（引用：森永乳業HP）