どこか遠くの静寂の中で

とても近くの深淵の奥で

蠢いている魔物を感じる

それを書き留めたくて

言葉鉛筆を探すけれど

短くて頭の丸まって

モノトーンしか描けない

紛い物しか持ち合わせはなくて


また今年の花も

その魔性を暴けずに散り始める

あと何度

あの感触に触れられるのか

命とは


苦渋みたいにこみ上げてくる

混濁した感傷のカオスよ


解読なんてしないで

抱きしめたいだけなのに

詩人でいられる時間は

自分でいられる時間は

あまりにも短い


命よ

春よ

空よ

光りたいよ