ビジネスでやると良いこと・やってはいけないこと | 囚われの人生からの脱出!もっと自由に生きる心理学〜命のちから心理セラピー講座〜インナーチャイルドセラピー

囚われの人生からの脱出!もっと自由に生きる心理学〜命のちから心理セラピー講座〜インナーチャイルドセラピー

東京池袋の隠れ家的一軒家セラピールーム。公認心理師常駐。インナーチャイルドカードを使って心と対話をする技術を教える活動を通じて、多くの人が幼少期の体験の影響を無自覚に今も受けていると知りました。。それに気づいてもっと自由に生きられるようサポートしています。

久しぶりのビジネス記事です。

よく、ビジネスコンサルタントの方などが、言っているこのひとつに「仕組みづくり」というのがあります。

かつて私も何人かの方から、ビジネスノウハウを学んだとき、そう教えられました。

教わっただけで、「時間がない」を言い訳に、やれてないことも多いですが(笑)仕組みと呼ばれるものがどんなものなのか?は分かります。

それでね、それに関して最近立て続けに思うことがあったの。
今日はそれについて書きます。

そもそも「仕組み」って何なのでしょうね?

辞書を見ると
「事をうまく運ぶために工夫された計画。」
とありました。

となると、
「ビジネスの仕組み」とは、
「ビジネスをうまく運ぶために工夫された計画」
ということになります。

そうね、確かに。
仕組みのないビジネスより、仕組みのあるビジネスの方がスムーズに運ぶ。
それは確かです。

でもね、
時々違和感を感じることがあるのです。

それは、一顧客としてビジネスサービスを利用しているとき、

提供されるサービスの背後にチラリとのぞく仕組みらしきものに感じる違和感。

ひとつの例をお話しましょう。
以前海辺の観光地に行ったときのこと。

ものすごく風の強い日で、
海から吹きつける冷たい風の中を私は足早に歩いていました。

すると立ち並ぶ土産物屋のうちの一軒が、温かいお茶のサービスをしていました。

お店の中から、観光客が通り過ぎる通路の真ん中まで出て来て、お盆の上に温かな湯気の上るお茶を振る舞っています。
「寒いからどうぞ飲んでって!」

ありがとう、と受け取った私は一杯のお茶を頂き、ご馳走さまでした、と湯呑みを返そうとすると。

「湯呑みはあちらへどうぞ」
と指さされたのは店内。

見るとお店の一番奥に湯呑みの返却場所があり人が立っています。

この時点で気づきます。
あ、そういう仕組みね。

外でお茶を渡して、湯呑みは店の一番奥まで返却させる。→必然的にお客が店内に足を踏み入れる。

仕方ないので(笑)返却に向かうと途中に何人もの店員さんが立っていて、口々にお土産物を勧めて来ます。

その日はまだこれから観光。
ごめんなさい、今買うと重いから、と断ると
「お茶なら軽いですよ!」
と更に勧める。

ごめんね、もうここで買う気は全くしません。
そんな気分になりました。

これ、何が失敗だと思いますか?

確かに、お客を店内に誘い入れるという点では「仕組み」は成功しています。
現に入ったし。

でも、結果的に私は買わなかった。
それも、単に物理的制約(今買うと重い)で買わなかっただけではなく、「このお店からは買いたくない」と思ってしまったのです。

これ、致命的な失敗です。

じゃあ、この仕組みの失敗の原因は何なのでしょうか?

それは、仕組みの定義に戻って考える必要があります。

「ビジネスの仕組み」とは、
「ビジネスをうまく運ぶために工夫された計画」
でした。

そもそも
「ビジネスをうまく運ぶ」
とは何なのでしょう?

お客に来店してもらうこと?

まあそれは必要です。

でもそれだけではダメです。
売上が上がること、が必要です。
買って頂けなければビジネスがうまく運んだとは言えません。

それも、ただ買って頂いたのではいけません。
「喜んで買って頂く」ことが必要です。
もちろん、結果としての顧客満足も必須。
「嫌々、渋々買ってもらう」とか
買った結果不満足、ではダメなのです。

ではどうしたら売上は上がるのでしょうか?

答えは簡単。
お客様が買いたい、と思ったら、売上は上がります。
そして、サービスや商品がよいものならお客様は満足します。

そう、お客様が「買いたい」と思わない限り、ビジネスはうまく運ばないのです。

さっきのお土産物屋さんの仕組みは、お客様を店内に誘い込みさえすれよい、と思って作られているだろうことが容易に伺えます。

だから執拗に勧めるのでしょつう。

買うつもりがないのに勧められれば勧められるほど、買いたくなくなるという、オーソドックスな人間心理にも商人が気づかないことは極めて残念なことですが。

ましてや、店内奥に返却を指示された瞬間に、片手落ちな仕組みの意図が透けて見えてしまった顧客がいかにがっかりしているか?など、きっと気づく由もないのでしょう。

それは、せっかくの温かいお茶が台無しになった瞬間です。

誤解のないように言っておきますが、寒風吹き晒す中、温かいお茶を振る舞うサービスまでは良いアイディアなのですよ。

問題だったのはその後の流れ。
物理的な導線にばかり囚われて、顧客の気持ちへの想像力が欠如している事が失敗の要因ですね。

私がやるならお茶のサービスをしたら、飲み終えた湯呑みはその場で受け取って、「店内には○○や△△(お勧め商品)などもあるのでよかったら見ていってくださいね。」と伝えるに留めます。

美味しいお茶頂いたからちょっとのぞいて行こうと思う人はそれだけでも寄ってくれるし、それでも寄らない人は最初から今日は買うつもりのない人で、それは仕方のないことなのです。

それを何とかしてやろう的なコントロール感を出すと全てが台無しになる。

もしかしたら、明日帰り際に寄ったかもしれないお客様を逃すことになるのです。

コントロール感は本当にくせ者。

コントロール感にまつわる例だと
昔参加したセミナーを思い出します。

席に着いたらどうやら配布資料がないらしい。
まあそれは別に良いと思ったのですが。
セミナーの最後にされた案内で、なんだそういうけとかと。

講義の中でスクリーンに映したスライドの電子データを、セミナーの感想を書いてSNSにシェアした人には差し上げます、とのこと。

しかも感想の書き方の例として添付されたサンプルはセミナーを絶賛するコメントがズラリ。こんな風に書いてください、と。

それを見たらなんだかげんなりして、これまた残念な仕組みだなあと感じたことがあります。

ま、この仕組みは結構やってる方が多いみたいなので、私はその方々をとやかく言うつもりでは一切ありません。

ただ違和感を感じる人もいるわけで、ただコンサルタントから習ったからとそのようにするのではなく、自分だったらどう感じるかな?という感覚は大切にしたら良いと思います。

逆に言ったら自分が違和感ないなら別にやればいいよね。
きっと同じようにそれに違和感感じないお客様が集まるのだろうから。

私が思うビジネスの仕組みづくりとは、
「買わせるためにお客様をコントロールしようとする仕組みづくり」ではなく、

「サービスを必要としている人に自分を知ってもらうためや、サービスを買いたいお客様を無駄に迷わせないための仕組みづくり」

なのです。

「ビジネスの仕組み」に関する私的考察にお付き合いくださってありがとうございました。