絆 ( 39 ) | 君がために奏でる詩

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絆~三十九話~





ただ一人、病室に残った僕は手紙を読むのが怖くて。

どうしても、読めなかった。


でも、と決心してゆっくりと開く。

そこには・・・。



『大好きな陵へ。


なんか上の文だけで、陵泣いてそうだね。


あたしね、陵と出会ったの、最高で最悪の運命だって思ってる。

前世で別れ別れになって、来世で愛し合おうって言ってたのに。

記憶をなくしても、陵だけが真っ先にあたしのこと好きになってくれたんだもん。

あたしはといえば、最初は陵のこと受け入れられなかった。


だって女子が男子に護られるのって、もう古いって思ってたから。

あたしは護ってもらわなくても十分!

・・・って、思ってた。

だけどね、陵があたしのこと、命を捨ててでも護るって言ってくれたとき、

本当はすごく嬉しかったし、信じてみる気になった。


今だから言うけど、陵は、あたしが未桜の記憶を思い出してから

影響されて好きになったんじゃないか、とかちょっと思ってるでしょ。

なんとなく気づいてた。


言っとくけど、それ違うからね!

今まで、意地っ張りで素直じゃないから言い出せなかったけど・・・。

あたしが陵のこと好きになったのは、もっとずっと前。

だから、これからはそんな風に思ったら蹴るからね!?


あと・・・

来世で添い遂げようって言ったのに。

病気になって、ごめん。

出来ることなら、あたしがおばあちゃんになるまで傍にいたかった。

でもそれは叶わないから。


あたしね、双子のこと知ってから陵のことが心配だった。

だって、あたしの命か双子の命か、でしょ?

陵は優しいから・・・すっごい悩んだと思う。


でも最期には、きっと双子を助けるって言うと思う。

あたしの、願いだから。


自分の決めたことに、後悔しないで。

あたしは、幸せだった。

ううん。

今、とても幸せです。


陵と出会えて恋をして、子供まで授かって。

欲を言えば、やっぱりもっと生きたかったけど・・・。

それでも、陵に愛されて幸せだった。


だから・・・だからこそ、

これからは、あたしに向けてきた愛を、他の誰かに捧げていかなきゃ。

陵は、死んだ人のことを愛し続けていちゃいけない。

他の誰か、陵を幸せにしてくれる人を見つけて、幸せになって。


本当はすごい嫌だけど。

本当は・・・あたしのこと愛し続けて欲しい。

陵の声も、笑顔も、あたしのままでいてほしい。

けど、それじゃダメだって、一番分かってるから。


でもね、たまにはあたしのこと思い出してね?

そういえば、くらいでいいから。

あたしがいたことを、お願い。

無かった事にしないで。


もう一枚、手紙とは違う紙が入ってるでしょ?

それはね、結婚届け。

提出してなかったの。

・・・ごめんね。    』



僕はそこで、一旦読むのをやめて、急いで見る。

すると確かに、あった。

未来さんの名前がピンクで書かれてる。

だからこれは・・・無効。


どうして?

なぜ・・・?

呆然としながらも、続きを読む。


『さっき言ったとおり。

陵には未来がある。

こんなに若いのに、結婚してたってなって遠ざけられるの、あたしが許せない。

だから、書いたけど、無効になるようにした。


ちょっとの間だけでいいから、『神山未来』になりたかった。

陵の奥さんだって、認めて欲しかった。

だから看護師さんたちにも、神山って呼んでってお願いしたの。

ごめんね、嘘ついて。


あと、最期に詠うと思うけど、今様。

意味は分かるでしょ?

『あなたのおかげで、私は千年も命が延びそうな気がします』


・・・待ってるね。

千年後の来世で。

だから、早くあたしを見つけて。

あたしバカだから、陵のこと忘れちゃってるかもしれない。

それでも、見つけてね?

愛してね?


美華と陸斗、お願いね。

二人が寂しくないように、二十歳になるまでそれぞれに手紙書いたから。

お誕生日には渡してね。


陵と美華と陸斗が幸せになれるのなら。

思い出してくれる時間以外は、幸せにしてくれる誰かにあげる。


大好きだよ。

愛してるよ。

世界中で一番、これから先陵のこと愛す誰かが現れたとしても。

好きな気持ちは誰にも負けない自信がある!


体に気をつけてね?

霊に襲われないように・・・って余計な心配だね。


いつかまた、巡り会う日まで。

またね。


           未来                          』



読み上げたとき、病室にさくらさんたちが入ってきた。

お母さんもお父さんも。

皆泣き腫らした目をしているけど、笑ってて。


「これ以上心配かけたらあかんもん。

うちは・・・未来の望んだとおりに、前向いて生きる」


みんなの目に、迷いなんて無かった。

悲しみの色なんて、少しも見せなかった。

ただ、未来さんの手紙が、笑顔に変えてくれた。


自分がいなくなった後まで、笑顔に出来るなんて・・・

さすがですね、未来さん。


僕は、安らかに眠りに着いた未来さんを見た。

まだ僕は、あなたからの「幸せになって」というメッセージを受け取れない。

こんなにも愛しているから。


この想いが時間と共に消えていくんではないか、と思うととても怖い。

でも、あなたが残したかけがえのない命は守り通しますから。

何に代えても。


「未来さん・・・見ていてくださいね。

僕たちが死ぬ、最後の瞬間まで」


未来さんが、心なしか、笑ったように見えたー。


    ~続く~



゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


まだ続きます!


恐らく次でラスト!


ピッタリ40話ですね^^


どうか最後まで読んでくださると嬉しいです。











何度か書きましたが、


この小説は、ひなが書いた小説ではありません。


ですが多くの人に読んで貰いたくて、ご本人の了承を得て


現在ブログにて連載しています(`・ω・´)



ひなが書いた小説ではないんですよー(;´Д`)


美音さんが前のブログで書いた小説です。



美音さんがブログを消すことになった際、


同人誌にこの『絆』の番外編を書いてもらった後だったので、


本編が読めなくなるし、消すのは勿体ないから、データを預からせてください!


とお願いして、同人誌の購入特典用のHPに保管しておいたんです。



そして今年の春、私が多くの人に読んで貰いたくて、


美音さんの了承のもと、こちらのブログにて掲載しました。


彼女のブログで掲載すれば良かったんでしょうけど、


この「絆」のデータを管理していたのが私だったので、こんなややこしいことに(;´Д`)



誤解を与えて、本当にすいません(ノД`)・゜・。


書いたのはひなじゃないんですよー!!


1話やINDEXや、コメント欄に度々書いておいたんですけど・・・


読んでくださいね(ノД`)・゜・。



そして、この「絆」も本編が40話でおしまいです。


コピー本に書いてもらった番外編を1話掲載した後、


美音さんの現在のブログに書いてある番外編を紹介します(`・ω・´)


なので「絆」の小説は、本編40話+番外編2話です。



一ヶ月程、掲載してましたね・・・。


たくさん考えさせられた作品だったと思います。


INDEXにも載せましたが、彼女の後書きも同時に載せますので、


最後まで読んでくださいね(`・ω・´)ノ