絆 ( 29 ) | 君がために奏でる詩

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絆~二十九話~






5月の終わり。


さくらちゃんは桜咲家の当主になる為に、

龍と一緒に京都の本家に戻った。


「ほんとは離れとうないんやけど・・・

こればっかりは、しゃあないねん・・・」


しゅんとして言ったさくらちゃん。

おめでたいことなのに、謝られたら困るよ!

きっと、誰よりも祝福出来る。


「あたしのことは大丈夫だから!

改めて、おめでとう!

もう立派な当主だね」


「おおきに。

うちよりは、あんたが継いだ方がええねんけどなぁ・・・

今からでも龍と「行かせませんからね?」


にこにこしてた陵が急に口を挟む。

変わらずに、にっこり笑ってるけど・・・っ!

怖いって!!


「もう籍は入れてますし・・・

結婚式を挙げるにしても、それぞれの予定がありますしね」


その言葉に、羨ましそうにあたしたちを見るさくらちゃん。


「あんたら高卒後すぐに結婚出来るなんて、羨ましいわぁ。

うちにも誰か紹介して欲しいくらいやわ」


「・・・さくらちゃんには、良い人いっぱいいると思うよ」


キョトンとした顔でさくらちゃんが恐ろしいことを言う。


「なんや、陵くんは不満なん?」


「えっそうなんですか!?

未来さん!」


ったく、どいつもこいつも・・・・!


「あたしが陵好きなことくらいさくらちゃん知ってるでしょ!

陵も陵!

あたしに愛されてるって自信、何回失えば気が済むの!!」


そう怒鳴ったら、龍がさくらちゃんの肩にポンと手を置く。


「もう時間だ、さくら。

外に車を待たせてある、行こう」


「もうそんな時間なん?

でも、未来がウチに入ってくれん分かったから行こかな」


何それ・・・っ


「そうだな。

じゃぁ、またな陵、未来」


「ええ、また」


「ばいばい!」


最後まで拗ねていたあたしに、柔らかい笑顔を向けて。

さくらちゃんたちは帰っていった。


「一週間ほど、静かになりますね」


「そうだね。

・・・でもさ、これからは寂しくはないと思うよ?」


不思議そうな顔をした陵。

ちょうど良いタイミングで、お医者さんに呼ばれる。

診察室にあたしだけ入ろうとすると、陵も呼ばれtる。


さっき、診察の途中でさくらちゃんが呼んだんだよね。

結果は後にしろって頼んで。


あたしの隣に陵が座って、お医者さんと向かい合わせに座る。


「先ほどの診察の結果ですが・・・」


お願いします。

どうか・・・・。

この願いが届きますように。


「おめでとうございます。

今、5ヶ月に入っていますよ」


「ホントですか!?」


あたしが陵の手をぎゅっと握ると、陵はキョトンとして。

何の話ですか、といわんばかりの顔。

先生が読み取ったのか、陵に笑顔を向ける。


「奥さんのお腹に、赤ちゃんがいるんですよ。

それも、二人」


陵は目を見開く。

あたしも驚く。


「二人・・・?」


「はい。

双子の赤ちゃんたちがいます」


やっと状況を理解した陵が、あたしとお腹を見比べる。


「えっと・・・

未来さん、それは僕との子どもですk「陵以外に誰がいるってのよ!」


「何人ですk「二人だって言われたじゃん!」


ここまで理解するの苦しむの!?

フツー喜んでもいいと思う・・。


本当に理解したのか、陵はみるみる笑顔になる。

・・・先生の前でキスしそうなくらいの喜びよう。


でも、どうしても確認しておきたいことがあった。


「赤ちゃんには・・・あたしと同じ病気にはならないんですか?」


その言葉に、陵も顔を曇らせる。

先生は、診察書を見ながら言う。


「遺伝子による物は大きいですが・・・

神山さんの場合は、ほぼないと思います」


その言葉に安心する。

もし、あたしのせいで病気になったら悲しいもん。

ですが、と付け加えられて、一気に不安になる。


「出産は命懸けになると思います。

最悪の場合は・・・どちらかの命を選ぶことになります」


陵が神妙な顔で聞く。


「それは・・・未来さんか、赤ちゃんか、ということですか?」


「はい。

最後に言っておきますね。

神山さんのお腹にいる赤ちゃんは双子です。

奥さんを選ぶ場合は・・・」


言わなくても分かる。

二つの命を殺すことになる、そう言いたいんだろうな。


診察室を出て病室に戻ったあたしは、満面の笑みで陵に抱きつく。


「赤ちゃんって!

このお腹に、赤ちゃんが二人もいるんだよ!」


はしゃぐあたしを見て、陵も微笑む。


「僕も、優と双子でしたしね。

きっと・・・元気に生まれてくれますよ」


うん、と頷く。

きっと陵は優しいから、赤ちゃんかあたしか、どっちかなんて選べない。

だから、あたしが頑張らないと。


「陵のお母さんに話聞いてもいい?

双子産んだ先輩だもん!」


「はい。

母さんも、喜ぶと思いますよ」


守るからね。

陵があたしを護ってくれるように、あたしがあなたたちを護るから・・・。


                 ~続く~



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赤ちゃんって5ヶ月で双子とか分かるんですかね・・・?


全然分からないので、勝手に想像で書いてますw


5ヶ月だったら、あとどれくらいで生まれるんでしょうかね・・・。