絆 ( 19 ) | 君がために奏でる詩

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絆~十九話~





さくらside


未来たちが遊園地に行っとる時。

神山と唐沢とウチの3つの家族が集まった。

もちろん、桜咲家で。


「さくらちゃんのお家は広いのねぇ」


のどかに言う未来のお母さん。

陵くんのお母さんも微笑んでる。


大きい客室に全員を入れて話し出す。

お母様が、


「未来さんの寿命は、もう永くはないんですよね?」


未来のお母さんは頷く。

なんかイライラするわ・・・。

なんで娘が死にそうやっていうのに、そんな笑ってられるん!?


「なんで・・・娘が先永ぅないって言うにぃ・・・

そんな落ち着いてられるん!?」


気づいたら怒鳴っとった。

龍が止めに入るけど、お母様が制止する。

一瞬静かになったけど、未来のお母さんは微笑んだまま。


「ー未来の母親だからよ、さくらちゃん」


そう言われても意味が分からん。

母親は目を伏せて、


「あの子の母親だから。

どんな時も守れるように、強くいなきゃいけないのよ」


さくらちゃんも母親になったら分かるわ。

そう言われて、何も言えんかった。

そこにあるのは、確かに母親の姿で。


未来と同じように強くて優しくて。

力が抜けてペタンと座る。

陵のお母さんのおっとりとした声が耳に入る。


「早く陵と未来ちゃんが結婚してくれたらいいんですけれどねぇ」


「ほんまやなぁ。

残りの時間、幸せにすごして欲しいのに」


うちは気づいたら言うとった。


「未来は死なせんわー・・・

幸せになってもらわな、困るんよ」


未桜の子孫としてじゃなく。

桜咲の長女だからじゃなく。

純粋に、幸せになってほしい。


真っ赤な夕焼け空がゆっくりと夜の闇に呑まれる。

まるで生者の世界と死者の世界とを隔てるように。

音もなく、境界線すらなく。

計り知れない永遠の闇は、少しずつ。

少しずつ。


笑顔を奪っていくー・・・。