絆 ( 12 ) | 君がために奏でる詩

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絆~十二話~



明るい朝日が差し込む。

あたしは、そろ~っとベッドから抜け出して。


廊下に出る。

今は6時45分。


よしっ!

陵にバレないように脱出成功!!

陵いわく、あたし猫なんで。

こーいうの割と得意♪


廊下に出て、角を曲がる。


「きゃぁっ」


ドンッと、曲がってきた女性とぶつかった。

慌てて頭を下げる。


「私のほうこそ、ごめんなさい・・・

あら?

・・・声が出ないんですね」


顔を上げて、頷く。

うわ・・・。

凄い綺麗な女性。

目は二重パッチリで、女優さんみたい。

ほっそりしてて、なんかもう、同じ女!?て感じ。


「お詫びに、お昼頃病室へ来てくださいませんか?

ここの、4番の部屋ですから」


えーっと。

とりあえず、頷くと。

微笑んで、では、と言って去っていった。


特別室ってことはお金持ちなんだろーなぁ。

それにしても、綺麗な人だっ・・・


「未来さ~ん?

どこに行ったのかと思ったら・・・!」


ギクッとして後ろを見る。

にーっこりと笑ってる陵がいて。


「部屋に戻りましょうね?

訳は後でじっくりと聞きますから」


強制的に部屋に連行された・・・。


【だから!

外の空気が吸いたいなって思っただけ!】


「・・・これからは僕起こしてくださいね?」


かれこれ30分。

ずっと議論続けてたどり着いた終点・・・。

疲れた・・・。


さっきの女の人のことを伝えると。

僕も行きます、て着いて来ることに。

まぁ・・・声でないから来てもらった方がマシ?


11時ごろ。


「失礼します」


「はい・・・

あら、さっきの子ね?

それと・・・彼氏さんかしら?」


「神山陵と言います。

先程は僕の婚約者が失礼しました」


おいっ!

ペコリと頭を下げる陵だけど、それ言わなくていい!

女の人はふふっと笑って、部屋へと促した。


お茶を出されて、


「私は椿(つばき)と言います。

少し体調を崩してしまって・・・」


「そうなんですか。

彼女も声が出なくて入院してるんです」


あ、腫瘍のこと言わないんだ。

ついでにさー

あたしの名前も言わない気?

いいけど・・・。


「さっきはごめんなさい。

私の不注意で・・・」


手を横に振って、サラサラと書く。

見せると、ふふふっと笑って。


「可愛らしい方ね」


【椿さんが謝ることはないです!

あたしが観てなかっただけなので・・・】


陵がそれを見て、苦笑い。


「未来さん、『見る』って字が違います・・・」


えっ?

陵に正しいほうを教えられて。

真っ赤になる。


【漢字苦手で・・・】


「いいんですよ?

私、あなたと陵さんのこと気に入りましたもの。

ぜひ、また遊びに来てくださいね」


そう見送られて。

部屋を出ようとしたところ。


「おかあさまー?」


・・・ん?


「あら、私の娘たちが来たみたい。

紹介しますから、待っててください」


ドアが開いて、入ってきたのは・・・。


「未来!」


さくらちゃんと龍。

しかもお母様って!


「あら?

この方たちと知り合いですか?」


「うちの友達や。

なんでお母様の部屋におるん?」


陵が経緯を説明すると。

龍が呆れたように。


「ドジは相変わらずだな」


おいっ!

そこ違う!!


「お母様、この子どう見えます?」


「そうね・・・

とても可愛らしい方ね、素敵な方よ。

さくら」


「実は、唐沢未来・・・

未桜の生まれ変わりなんやで」


パッと顔つきが変わる。


「未桜・・・生まれ変わりですって?」


さくらちゃんも賭けに出たような顔して。

そういえば・・・。

あたしに龍との子を産ませようとしたんだよね?

ならもしかして・・・・。


「・・・龍羽が手懐けられなかったのも分かるわ。

陵さんの方がカッコイイもの」


「やろぉ?

未来は陵くん以外に惚れてくれんもん」


「力は諦めるしかないようですね。

唐沢未来さん、さくらをよろしくお願いします」


コクコクっと頷くと。

微笑んで。


「いいお友達に恵まれて良かったわね、さくら、龍羽」


「ああ。

あと・・・陵は未桜の夫で、俺たちの先祖だ」


し・・んと静まり返って。


「えええええええええええ!!?

彼もうちらの先祖やったんか!?

龍羽、それほんま!?」


ぎょっとする。

だって・・・椿さんのイメージが・・・崩壊する・・・。

陵が、はい、と言うと。


「なら初めからしゃあないわ。

桜咲家の力は・・・さくらの時代で終わりにするわ」


・・・。


「おっお母様!

それほんまっ?」


「ほんまよぉ。

だって未桜の娘の手紙にもそう伝えられてんのやもん」


椿さん曰く、力は途切れるまででいい。

それまで未桜の存在と力を護りついで欲しい。

って伝えられてるらしくて。


アッサリと引き上げてくれた。


「それに、力よりもさくらと龍羽の友達って方がうちは嬉しゅうてなぁ。

うちは苦労してきたから、子どもには幸せになってほしい思うとったからええわ」


椿さん・・・。

出会えて良かったな。

美羽のことも知れたし、お母さんだって分かったから。


それから、あたしたちは夜までその部屋で過ごした。