絆 ( 10 ) | 君がために奏でる詩

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絆~十話~



パタンー


ドアが閉まり、あたしと陵二人だけになった。

ヤバイ、心臓すごいドキドキしてる。


だ、だってさ、

3ヶ月もの間会ってなかった彼氏と、復活したその日にお泊り(?)って!

気まずく・・・はないけど、なんか・・・。


「未来さん?

荷物ここでいいですか?」


陵はパッパと手際よくあたしの荷物やら部屋の確認やらしてるし。

改めて思ったけど・・・ここ広い!

あたしの部屋の10倍はあるよ!!


あ、ベッドちゃんと二つある。

・・・そこ!?

ねぇ、そこなの!?


パニックに陥ってるあたしと違って、陵は部屋をぐるりと見渡す。

そして、ポツリと呟いた。


「・・・監視カメラは、ないみたいですね・・・」


ね、陵もそこなの!?

陵はあたしの視線に気づいたのか、苦笑いを返してくる。


「さくらさんたちのことですから、監視カメラを使って覗いてくると思ったんです。

必要なかったみたいですが・・・」


あぁ、それがあったか。

陵、あたしよりさくらちゃんのこと分かってる気がする・・・。

あたしこれでも一応女なのに!


むぅっと膨れるあたしに気づかずに、陵は緋扇を取り出す。

ん?

何すんの??


ほわぁっとした光が部屋に広がって、消えた。

パチンッと閉じると、


「結界を張っておいたんです。

これで霊も入れませんし、ひとまず安心です」


それを聞いて、あたしはボフッとベッドに倒れる。

うー・・・

陵、全然意識してないみたいで、あたし一人だけ馬鹿みたいじゃん。


【陵、ごめんね】


そう書いて、見せると、陵の頭に?が浮かぶ。


「なんでですか?」


【戻れたのに、声が出なくて】


「気にしないでください?

僕は声が出ても出なくても、そのままの未来さんが大好きですから」


【ホントに?】


「はい」


やっぱ、即答か。

うーん。

3ヶ月ぶりに会って、陵の対応がなんとなく大人っぽくなったような・・・。

にこにこ笑ってるけど、なんかカッコイイっていうか・・・。


「あ、未来さんお風呂入ってきていいですよ。

僕ここ整理してますから」


【分かった】


いそいそと下着やら着替えやらを持って、お風呂に・・・

お風呂どこよ。


「お風呂は、入り口付近の右側のドアです」


・・・ありがとって伝える手段がない。

言葉って意外と大切なんだなー

なんて改めて思う。


あたしがその場に佇んでると、陵が声を掛ける。

あたしは、ベッドに座ったままの陵に・・・

意を決して!

軽くキスをした。


陵が目を開けたところで、あたしは。


『あ・り・が・と・う』


口パクで言って、お風呂へダッシュ!!

いい逃げ!?

いや、こうでもしなきゃ心臓!


あたしは熱を冷ますように、シャワーで冷水を浴びた。


陵side


僕はバタンとベッドに仰向けで横になる。

~未来さんずるいです。

必死になって僕が我慢してるのに・・・っ


未来さんがお風呂へ行かなかったら僕は何をしていたことか。

考えるだけでも、ぞっとする。

ただでさえ、病気の未来さんに・・・。


ピンポーン


まるで家みたいな呼び出しですね・・・。

誰でしょうか?

オートロック式のドアを開けると、さくらさんが手をひらひら振りながら立ってて。


「はい、これ、陵くんの荷物。

陵くんのお母さん、にこにこして届けてくれはったで?

あと、伝言」


渡しながら、さくらさんは、

『未来ちゃん怖がらせないようにしなさいね?』


「て、伝言や。

今未来は?」


「お風呂です。

こんな立派な部屋、ありがとうございます」


「ええんよ♪

未来と、この3ヶ月の間の穴埋めしぃね?

あと・・・言えんでごめんな」


「さくらさんは、未来さんとの約束を守っただけですよ?

謝る必要なんてありません」


僕がそういうと、さくらさんは笑顔で、頑張りや♪と言って去っていった。

まったく・・・

母さんも何ふざけたことを・・・。

怖がらせるわけないじゃないですか!!


僕は未来さんが出てくるまで、複雑な思いを巡らせてぃた。