「スペシャルオーダークラブ」って…? | クラブ職人の徒然草~2

「スペシャルオーダークラブ」って…?

あるお客様から大手クラブメーカー製アイアンセットのチューンナップの
ご依頼。

そのメーカーでフィッティングを受け、ヘッドとシャフトを選定し、

「ライ角は『標準』で良いです」との診断をされ(5番=60.5°)、

かくして作られた「スペシャルオーダークラブ」なるタイトルのアイアンセットをそのスペック表と共にお持ちになりました。

はなっからチューンナップされるおつもりだったのか、グリップは装着せずの状態でのご指定ですがスイングバランスは全番手D-2の仕様でシャフトカットされています。

スペシャルオーダークラブというくらいですから量産品とは違い、一人の職人さんがその1セットを組んだのだと思いますが

シャフトのステップがイマイチ揃ってない…

スイングバランスはグリップ無しの状態で測ると±0.2ポイント内でまぁまぁ揃ってる

が…

ネックの中は案の定詰め物で一杯。

スペック表を見るとライ角は4番=60.0°で以下0.5°ピッチ、PWで63.0°。これはフィッティング通り。

が…

実測値は4番から
59.0、60.5、60.5、60.5、61.5、62.0、63.0。

スペック表と合致してるのは5番とPWだけ、5番、6番、7番は同じライ角。

もしこのままグリップまで装着して完成品で渡されてたら、この方のご体格からすると、
4番は掴まらない、5番はまぁ真っ直ぐ、6番まあまあ、7番掴まらない、8番9番まあまあ、PWはまぁ真っ直ぐ、
と番手によって球筋がばらついた事でしょう。

この方は片手シングルさんなのであるいはクラブに問題あり、と見抜かれたかもしれません。

ですがほとんどの方はその一流メーカーでフィッティングまで受けてオーダーで作ったクラブだからクラブに間違いはない、
上手く打てないのは自分の腕、と思い込んで費やした時間と手間と費用を思ってがっかりされる事でしょう。


クラブは道具。それを買って使う方にとっては大切な愛着ある相棒。
それでもって練習し、上達とゴルフライフの充実という希望を託すもの。

クラブ屋は、クラブメーカーは、クラブとはその求められる目的に合致している責任があるということを真剣に考えるべきです。

売れれば良い、儲かればよい、買った客の事など知ったこっちゃない、クラブは単に商材でしかない。

もうそういう売り手主体指向のやり方やめませんか。

大切なはずのお客様を騙すのやめませんか。

買って頂く、ではなく売れる、買いよるって発想やめませんか。

あなたがただって何が正しいクラブの作り方なのか知ってるでしょう?