『深夜プラス1』 ギャビン・ライアル 菊池光 訳 早川ミステリ文庫
- 深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))/菊池 光
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プロがプロを見事に描写した至高の一冊。
プロの仕事は客の要請に答えること。
主人公は運び屋として殺し屋と協力し、
依頼人をフランスからスイス~リヒテンシュタインへ送り届ける任務を請け負う。
つまんない男の面子を超越している主人公がデラかっちょええ!
ドライバーとしては一流だが殺し屋としては二流なので、
主人公の使う銃は機関銃なのが素晴しい。
狙撃能力が低ければ、弾をばら撒けばいいのである。
使えるものなら核兵器だって使いたいと思っている主人公のプロ意識が素晴しい。
客を気持ち良くさせるのがプロであり、
かっこいい自分に酔う為に仕事している奴は二流だね。
ドライバーとして雇われた筈だが、
自分より優れたドライバーが味方になると、
あっさり車の運転席を譲るのも素晴しい。
プロとして依頼人の利益が第一。
仕事には全力を尽くすが、
出来ない事は出来ないと明言し、
無理に無茶してチーム全体の成功率を下げるようなことはしない。
自分より有能な味方がいるのなら、
そいつに仕事を任せればいい。
自分が有能だと誉められたくて仕事するわけではない。
客の為に仕事するのですからな。
女漁りの為に仕事するのでもないので、
チームの美人な女も冷静に観察し、
敵のスパイではないかと疑う。
女は自分を無条件に信じて守ってくれる男が大好き。
ヒロインと主人公がラブラブファイヤーにならないのも素晴しい。
一応本格推理としてラストにどんでん返しもあります。
こんな傑作を読んでなかった自分が恥ずかしい。