『北壁の死闘』 ボブ・ラングレー 創元推理文庫 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

『北壁の死闘』 ボブ・ラングレー 創元推理文庫

北壁の死闘/ボブ・ラングレー
¥945
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本書のベストセリフ


「女は、ありったけの力を掻き集めて生に執着する。


自殺は女とは無縁だ。


たとえ女は自殺したとしても、たいていの場合、


充分に考えつくした揚句のものじゃない。


女は生そのものを一つの価値あるものとして見ている。


生きることをやめてしまうよりは、


妥協しながら生きていく。


ところが男はわずかな妥協にも耐えられない。


いったん自分の機能が停止してしまったら、


喜んで逝く。


筒型花火のように、燃焼しつくしたいのだ。


そして、それが、終わったら、


おとなしく引っ込んで、終わりを待つ。


もう、死そのものを求めはしないが、


死に患わされることもなくなる」



格差社会で生活苦で自殺する男が増えそうだが、


一度も働かずにチヤホヤされて天寿をまっとうする


大金持ちのお嬢さんもいるのだから、


ワーキングプアのおっさんでも自殺してはダメポ。


不完全燃焼でもいいじゃん!


生まれた国と時代が悪かったと諦めましょう!


リンカーン以前のアメリカに黒人と生まれなかっただけでも儲けもの。


被支配階級でも、奴隷よりはマシだと思わなしゃあない。


で、本書ですが、ジャック・ヒギンズ『鷲は舞い降りた』 に、


プロットやキャラが似ているが、


ラストに捻りが効いているので、


私は 『鷲は舞い降りた』 よりこっちの方が面白かった。


前半150Pまでは捨てろタイプだが、


アイガー北壁を登り出してからは一気読みです。


アリステア・マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』 には敵わないが、


本章のラスト1Pには目を瞠らされました。


小松左京「果しなき流れの果に」 のラストのような感動がある


と書いては褒め過ぎだが、


まあ、前半我慢すれば、素晴しいラストが待ち構えてます。