大山街道その1 赤坂-世田谷 | らんまるの街道歩き・暗渠散歩ブログ

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2013年2月17日(日)

先週の週末で、青梅街道を(青梅まで)完歩し、今回からは、
大山街道(大山道)を歩くことにしました。
この道は江戸時代、相模の国大山丹沢山系)にある
大山阿夫利神社に詣でる人たちが各地から大山に向けて
歩いた街道の総称です。

江戸の頃にはかなりポピュラーなお詣りの旅だったらしく、古典落語にも
大山詣り」というのがあったそうですし、平岩弓枝先生の「御宿かわせみ
でも、主人公の神林東吾たちが岡っ引きの長助たちと大山詣でに行くお話を
読んだ記憶があります(第25巻『大山まいり』)。

数ある大山道を全て歩くのも良いのですが、まずは王道的な赤坂見附から
スタートするルートを歩く事にします。
この日の歩行距離は赤坂から、東急世田谷線の世田谷駅までの約12km、
歩行ルートはこちらです。

7:30の電車で45分ほどかけ、赤坂見附の駅に着いたら、地下をてくてく歩いて
D出口から弁慶橋のたもとに出ます。目の前に赤坂(という坂)が聳えます。01赤坂

現在は首都高が走るかなり近代的な道ですが、ほぼ同じアングルの
明治の頃の写真を見ると、かつてここには赤坂御門のある見附が
確かにあった事が分かります。
02昔の赤坂御門

上の写真の左側の石垣が現在も「赤坂見附跡」として残っています。03赤坂見附跡
「見附」とは、お城の外郭にある見張所、といったところですね。

この赤坂を下ると、弁慶堀が北西方向に伸びているのが見えます。04弁慶濠
因みに「弁慶堀」とは言ってもかの武蔵坊弁慶とは無関係で
このお堀を掘る工事をしたのが弁慶ナントカさんである事に
由来するそうです。

弁慶堀から交差点を渡って、青山通り(246号)に進むのが大山街道の
ルートですが、数百メートルで右手に稲荷神社がありますが、これが
あの名奉行、大岡越前守が愛知県から自邸内に勧請した豊川稲荷です。05豊川稲荷
境内にはお稲荷さんの他にもかなり多くの神様が祀られており、非常に
現役バリバリで立派な神社でした。

この豊川稲荷のほぼ真向いで、大山街道の旧道が少しの間、国道246号から
離れる区間があるのですが、青山通りは幅広い上、車も多いので少しだけ
戻ったところにある歩道橋を渡って向かいに渡ります。

歩道橋を渡り終えると目の前にローソンがあり、朝ごはんを食べずに
家を出てきたので、ここでおにぎりを食べてちょっとだけ腹ごしらえ。

ローソンを過ぎてすぐに国道から斜め左に伸びる登り坂=牛鳴坂(うしなきざか)
が大山街道の旧道です。
06牛鳴坂
お江戸の頃は路面が余りに悪くて、道を行く牛が嫌がって鳴いたので
(坂が急だからではないみたい)この名前になったんだとか。

数百メートル程度ですが、湾曲といい道幅といい、なかなかの旧街道っぷりを
見せてくれます。途中、左手にある女子高の山脇学園などを見ながら歩くと
やがてまた国道246号に復帰します。

246号に戻って程なく、街道左手には高橋是清翁記念公園があります。
これは二・二六事件で殺害された、日本の第20第首相、高橋是清
邸宅があったところで、死後、遺族によって土地が東京都に寄付された
ものだそうです。
公園の一番奥では高橋是清氏の銅像が静かに邸宅跡を見つめています。07是清像

先の行程を考え、公園の先の青山一丁目交差点で道路の右側に
渡っておきます。暫く歩くと、右側には明治神宮外苑の入口が見えてきます。08外苑
両側のイチョウ並木はドラマにも(イメージとしてはフジテレビのドラマ)
よく使われている道ですね。

さて、暫く歩くと表参道の交差点の手前の右側に、善光寺というお寺が
あります。徳川家康が長野県から勧請したものだそうです。09善光寺
本家の善光寺ほどではないにせよ、相当格式の高そうな、立派な
お寺ですね。

表参道を通り過ぎ少し歩くと右手には国連大学、お向かいの左側には
青山学院大学が見えてきます。青学はイタリア語検定を受験する際に
2度ほどお邪魔したことがありますが都会的でオシャレですね。
この日の青学では入試が実施されている様でした。

やがて街道は宮益坂上交差点で右側の宮益坂を下るルートを取ります。10宮益坂上

坂をほぼ下り切るあたりで右手にあるのが御嶽神社。11御嶽神社
この神社(お宮)のご利益でこの坂付近の街も栄えるという意味合いで
宮益坂という名前になったという事ですが、大山街道との絡みで言えば
街道中最初の茶屋街が宮益坂だったそうです。

宮益坂を下りきってJRの線路をくぐると道玄坂下に出ます。12道玄坂下
この時点で午前10時数分前。色んなお店が10時に開店して
めちゃ混みになる前に道玄坂を登り切ってしまいたいところですが
既にかなりの人出です。

13道玄坂
道玄坂は、今でこそ普通の坂道ですが、江戸時代これが舗装されて
いなかったとすると、雨の日などは大変だったでしょうね。

道玄坂を上り切ると、再び国道246号に合流します。その後神泉町の
複雑なX字の交差点を越えると、街道は国道から右に逸れる、「大坂」
という坂を下ります。
14大坂
江戸時代の旅人には街道中で一番急な坂だったそうですが、
それがしっくりと来る勾配でした。

坂を下り切って山手通りを越えると氷川神社がありますが
ここには立派な富士塚が有ったのが、後に取り壊され、今は
控えめな浅間神社が祀られています。
15目黒富士

かつてはこんな立派な富士塚であり、広重名所江戸百景にも
描かれていたのです。
aa目黒富士
このころの姿の富士塚に登ってみたかったですねー。

氷川神社の正面参道を下りて国道に復帰すると、神社の階段下に
大山街道の道標があり、街道風情を添えてくれました。16大山街道道標
見にくいですが、せたがや通り/玉川通りと刻まれています。
青山や渋谷など、かなりの都会を通ってきたのでなかなか
街道を歩いている実感がありませんでしたので、ちょっと嬉しい。

少し先で国道の左に旧道が逸れる箇所があるので、氷川神社の
すぐ目の前の歩道橋で道路の左側に渡り、暫く進むと、目黒川
渡る目黒大橋があります。

「銀残し」というイフェクトをかけてみたところ、モノクロっぽい
面白い仕上がりになりました。

その先、ガソリンスタンドの先の「東京栄養食糧専門学校」の
大きな大きな看板のあるところで左に逸れるのが旧道。18旧道分岐

この旧道部分も道幅といい、湾曲といい旧道の香りがします。19旧道風情

また、この近くでは少し大山街道の保存の気運が高いのか
こんなお札が貼られているところもありました。
20旧道のお札

その先、コンビニのサンクスのある小さな辻を左に曲がって200mほど
坂道を上ると右手に庚申堂がありますが、目を引いたのはこちら。21庚申堂さる
神々しいおさるさんでした。

街道に戻って100メートルほど先の右手にある池尻稲荷神社の
入口にまた街道風情を添えるものを発見しました。22池尻稲荷道標
最近のものですが道標ですね。後ろの銅像はかごめかごめを
している子供たちがモチーフだそうです。

そこから数百メートル先で再び国道246号に合流しますが、国道に
近づくと、鳴りやまないクラクションが聞こえるなーと思ったら、なんと
右折レーンの車4台による玉突き事故が発生していました。
幸いひどいけが人などは出てなかった様ですが、歩いて旅をしている時に
何ですが、運転には気をつけようと改めて思いました。

三宿の交差点で再び道路の右側に渡り先を急ぎますが、どうもこのあたり23街道風情無し
街道風情は全く感じられません。

ほどなく、街道は三軒茶屋にさしかかります。
24三軒茶屋
正面に品の無いカラオケ屋の巨大過ぎる看板がありますが、ここが
大山街道の追分になります。大山街道は時代によって旧道と新道の
2種類のルートがあったのですが、旧道は世田谷通りを進んで二子玉川に
達するルート、新道は国道246号(玉川通り)を進んでやはり二子玉川に
至るルートです。

歴史的なものが多そうなのは旧道ルートなので、今回はこちらを進むことに
しますが、さっきのカラオケの看板の真下に追分の道標があります。25追分
これは分かりやすい歴史遺物ですね。確かに街道を歩いているんだ、
という実感が持てます。

世田谷通り右側を歩き、パブリックシアターとキャロットタワーの先の
角を右に曲がり、線路を越えると左手に五色不動の一つ、目青不動
があります。因みに目青不動というと、字面的には青めの不動明王様が
想像されますが、これは陰陽五行に基づくものです。
お堂を外から見るとこんな感じです。
26目青不動

お不動様近影がこちらです。
27目青不動様

街道に戻ると、本日ゴールの世田谷駅(東急世田谷線)までは
あと一息ですが、あんまり街道風情は無い世田谷通りが続きます。28旧道風情?

上の写真で見えている交差点を右折して数百メートル進むと
松陰神社があるのですが何となくこの日は疲れが大きく
止むなくパスして直進します。

世田谷駅の少し手前に大吉寺というお寺がありますが、ここの
住職をしていたのは、作家/スポーツライターをしつつ、僧侶を
していた寺内大吉氏。

そのすぐ先の交差点が東急世田谷線の世田谷駅の入口の
交差点になり、本日の街道歩きはここまでです。
30次回のスタート地点

角を曲がって数十メートルの世田谷駅から、東急世田谷線⇒
東急田園都市線⇒千代田線と乗り継いで帰宅しました。

国道246号などの近代的なルートが大部分なので、味気ない道なのかな
と思いきや、意外と道標などが残っておりこの先も期待できそうです。

尚、この大山街道歩きのガイドブックはこちらです。

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地図も解説も詳しく、大山街道歩きの心強い味方です。

大山山頂を目指して歩きます。

2013年2月17日(日)アップ