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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)12月7日(水曜日)弐
通算第5123号
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日米の「借金王」が面談した
トランプと孫正義がトランプタワーで「商談」
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椿事。ソフトバンクの孫正義がNYのトランプタワーに現れた。12月6日である。
「何をしに?」と番記者の日本人テレビクルーも驚く。
会談後、二人は揃ってロビィの報道陣の前に現れ、即席の記者会見。孫は「あらたに米国へ5兆ドルを投資し、5万人の雇用を実現する」と言えば、トランプも大満足という案配だった。
トランプが要人と会談後にロビィに現れるのは珍しいことである。
孫正義は強硬突破のイケイケどんどん路線で事業を拡大してきたが、同時に強気の買収に要した資金の多くは有利子負債である。ダイエーの二の舞をやらかす危険性をつねに秘めながら、低金利時代に支えられた。
トランプの借金は、「社債」や新社の「株式」であり、本人の負債は、倫理的な責任を除けばない。しかし借金でのし上がったことには変わりない。
孫正義が米国で新しく展開する事業は具体的プランが発表されていないが、昨今合意したサウジアラビアの国営ファンドと連携しての新事業かと思われる。
かくして日米の「借金王」は最初から馬があった?
余談だが、この日、トランプ陣営は「記者リリース」チームを発足させ、今後はマスコミ向けに公式のプレスリリースをだすことになった。
というのも、トランプは左翼ジャーナリズムを敵視してきた結果、本人の発言を殆どツィッターに頼るという新方式に移行し、ツィッターがニュースになると言う異様な事態が続いてきたためである。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1504回】
――「汚吏?縁して奸を行ひ、遂に失敗に歸せり」(内藤43)
内藤虎次郎『支那漫遊 燕山楚水』(博文館 明治三十三年)
内藤が「支那問題の研究者」が口にする「豪放過快の空論」に対し“苦言”を呈してから120年余りが過ぎた現在も、我が政財官界やら学界・言論界において「豪放過快の空論」は依然として健在のようだ。今回のアメリカ大統領選挙に関する事前分析やら結果の報道に接しても、合衆国社会の潮流に目配りをしないままに、「豪放過快の空論」を空しく打ち上げ続けていたように思える。
些か飛躍気味ではあろうが、我が国の外国研究は、「豪放過快の空論」という“己惚れ小児病”に侵されたままに過ぎているということになるのか。
内藤の筆は「支那政治の調査」から「學術の調査」に転じた。
日本の「調査方法が宜しきを得ざる縁由は、亦我が漢學の風潮、甚だ後れたる者あるより生」じている。日本における従来の漢学は「經子二部の學を以て主とし、蓋し哲學の類に入るべき者に限る」という欠陥に侵されたまま。じつは「支那の學術は、歐洲の諸大學の若く、某の學科の關する統一せる智識、最新の學説を、一般學者に講説すべき組織としては、一も之あるに非ず」。加えて日本の漢学者は「彼土百年來の學風に於て通暁」していないばかりか、数学とか芸術面に疎すぎる。だから、この旧套を脱するためには、「支那學術の調査は、宜しく材料の蒐集を主とすべし」。
今後は、従来の日本漢学者が見向きもしなかった諸々の資料――たとえば「塞外漢唐金元の諸碑」や古代の銅器金文、「邦人の目に觸れざる」書籍など――を蒐集し、一方で進歩著しい「彼土百年來の學風」に細心の注意を払いながら研究を進めるべきであり、そうしてこそ「歐洲學者と抗衡するに足る」成果を挙げられると、内藤は記す。
確かに以上の指摘と提言には一理、いや“二理も三理も”あるといっておこう。だが問題にすべきは、故意か偶然かは知らないが、内藤が重要な点に筆を及ばしていない点だ。
内藤は、「我が漢學の風潮、甚だ後れたる」原因は従来の日本漢学が「經子二部の學を以て主とし、蓋し哲學の類に入るべき者に限る」から。つまり「哲學の類」以外に関心を払ってはこなかったからだ、と説く。だが考えてみれば日本は鎖国の時代が長く、漢学者が直に現地入りすることなど出来なかったわけだから、勢い鎖国以前に日本に持ち込まれた漢籍、加えるに清国商人が運んでくる書物を基にするしかなかったはずだ。であればこそ「彼土百年來の學風」の変化に直接することが出来なかったのは致し方のないことだろう。
じつは問題は「哲學の類」に特化した点にあるわけではないはずだ。「經子二部の學」でしかなかったとしても、そこから彼の国の実相を捉える努力をしてこなかった。そこにこそ日本漢学の大欠陥があるといえるのだ。率直に言うなら、日々起こる現実と書物の記述の間に違いがあることに気づきもせず、考慮することもなかった。書かれていることが100%真実だと信じ素直に学ぼうという姿勢は尊く、それを完全に否定する心算はないが、たとえ僅かであったとしても疑問を持ってしかるべきだったろうに。
かの『論語』ですら「学んで思わざれば則ち罔し、思うて学ばざれば則し殆し」と、有難くも宣わっているはずだ。学んでも自分で考えてみなければ、物事は明確には判らない。考えただけで学ばなければ独断と偏見に陷る危険ありと説いているにもかかわらず、日本漢学は『論語』が示す人の性質は本来、善であるという“異常なまでに格調高い世界”を彼の民族の真実と勘違いしたままに過ぎてしまった。あれは孔子学派が描いたバーチャルな世界にすぎないのだ。どだい格調高すぎて誰にも否定できないことはウソというべきだ。
列島の自然環境、他を疑うことを忌み嫌う類まれにウブな民族性に根差す日本漢学では、大陸に住む荒唐無稽民族のヒネクレタ感情を理解できそうにない。やはり至難だ。
《QED》
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号ですが、トランプ靖国参拝の布石。
宮崎さんは早い。本当に早過ぎます(笑)。頭の回転は光速以上ですね。僕も実はそう考えていて、トランプ大統領訪日の際は靖国参拝を行なうだろうと、どこかに書こうと思っていました。
言うなれば、オバマの広島訪問と安倍首相の真珠湾訪問で、日米和解の半分は終り、米国大統領の靖国参拝で戦後レージムは終わりを告げます。キッシンジャーが習近平を北京に訪問した時に、トランプは蔡英文台湾総統と電話会談。これは、連合国が作った第二次世界大戦後の世界秩序のメルクマール、大転換期である事を象徴しました。
英国王室の靖国参拝も、やがて行われるでしょう。
(西村幸祐)
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(読者の声2)「とびっきりの講演会」のお知らせです。
記
!)演題 「先の先を読む経営―創業者石橋信夫に学ぶ」
!)講師 大和ハウス工業(株)代表取締役会長
!)日時 平成29年1月27日(金)PM6:00~
!)定員 先着90名(要予約)
!)会場 神奈川県民サポートセンター3F 304号会議室(JR横浜駅西口徒歩3分ヨドバシカメラ裏手)
!)問い合わせ先 045-263-0055
この会は予約の必要があります。
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(読者の声3)貴誌前号「トランプピボット その2」ですが、もしトランプの靖国神社参拝が実現したら、天皇陛下の御親拝が実現することが何よりの願いです。
何よりも英霊の皆さまを喜ばせることになると思います。
(寺小路)
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(読者の声4)日本文化でもない「カジノ」が何で日本に必要なのでしょうか、全く意味が分かりません。
カジノで観光客が増えるのであれば、どこの国もカジノを造れば国は潤う筈です。
そう問屋が卸さないでしょう。竹田恒泰氏は、こう云う時にこそ、日本国に「カジノ」は似合わない、と獅子吼すべきではないでしょうか。
(TK生、佐賀)
(宮崎正弘のコメント)カジノを作って国がネズミ講化したのが、アルバニア、モルドバなどです。旧東欧諸国の殆どがカジノで失敗しており、カジノに制限を加えて外国人ギャンブラーの行楽地として営業しているのがキプロスやマルタですが、客層が悪い上、中国人、ロシア人がやってくるので因果関係は不明なれども、その付近一帯は治安も悪化したということでした。
日本にカジノ? 正気ですかね。
若い人はスマホのゲームで、事実上のカジノを楽しんでおり、いまさら、という忌がします。
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『日本が全体主義に陥る日 ~旧ソ連邦・衛星国30ヵ国の真実』(ビジネス社)
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宮崎正弘 書き下ろし 本日発売!
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(内容)
★ソ連解体から25年
★プーチン大統領が来日
旧ロシア15ケ国、東欧、旧ユーゴスラビア、合計30ヶ国すべてを回ってみた
――旧ソ連圏の国々は「独立」後、本物の自由を勝ち得たのか
――旧ソ連の中央アジア・イスラム圏五ヶ国とカフカス三ヶ国も歩いた。
――旧ユーゴスラビアのバルカン七ケ国とアルバニアも見てきた
――全体主義の呪いは解けたと言えるか。いや日本こそ一番危ないのでは?
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(目次)
はじめに 「ソ連崩壊から25年を閲して」
プロローグ 全体主義と民主主義
<第一部 旧ソ連の国々>
第1章 「プーチンのロシア」はいま?
第2章 バルトの国々(エストニア、ラトビア、リトアニア)
第3章 スラブの兄弟(ウクライナ、ベラルーシ)とモルドバ
第4章 中央アジアのイスラム圏とモンゴル
第5章 カフカスの三ヶ国(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)
<第二部 旧ソ連圏の国々>
第6章 ポーランド、チェコ、スロバキア、そしてハンガリー(旧ハプスブルグ家)
第7章 ドナウ河下流域(ブルガリア、ルーマニア)
第8章 旧ユーゴスラビア七ケ国とアルバニア
第9章 モンゴルの悲劇は終わったか
エピローグ 日本がむしろ全体主義に転落する危険
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