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From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)


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 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

     2016/10/21




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★★★★★:YH様のレビュー

今回もマスコミでは絶対に語られない、大事なことがよく分かりました。

特に印象に残ったのは、遺伝子組み換え作物(GMO)が、アメリカでは表示義務もなく流通しており、表示を義務付ける法律がGMO企業(モンサント社)の意向を受けた連邦政府によって打ち消されたこと。

モンサント社自体が社員食堂ではGMOを使用していない、つまり危険性を認めていること。

TPPに加入すれば、GMOが日本にも押し寄せてくる可能性が高く、非常に心配。

以前の月刊三橋で語られていた、全農グレイン株式会社の存在価値が非常に高いということが、改めてよく分かりました。

月刊三橋10月号
「2016アメリカ大決戦―グローバリズムと反グローバリズム、勝つのはどっちだ?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php


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【地獄への道は…】
From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)


日本政府は現在、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に対する今年の分担金や任意拠出金など計約44億円の支払いを留保しています。

ユネスコに求めている「世界の記憶(記憶遺産)」登録制度の改善が進むまで支払いの留保を継続する方針で、菅義偉官房長官も10月14日の記者会見で「(ユネスコの活動が)正常化されることを見ながら対応を考えたい」と述べました。

菅長官は、「ユネスコでは昨年、私どもが全く知らない中で、様々なことが決められていった」とも述べましたが、これは昨年、中国が申請した「南京大虐殺文書」が記憶遺産に登録されたことを念頭に置いての発言です。

中国側は周到に“準備”し、申請した資料の一切を日本側にも国際諮問委員会にも開示しないまま登録にこぎつけました。

中国側の「反日」宣伝の意図は明らかですが、ユネスコが著しく公正と中立性を欠いている現実は看過できません。


分担金の留保について、朝日新聞と毎日新聞は社説で《節度欠く分担金の保留》(朝日、10月17日)、《品位ある関与が必要だ》(毎日、10月20日)と日本政府を批判し、対する産経新聞と読売新聞は、《政治利用許さぬ改革迫れ》(産経、10月18日)、《記憶遺産の政治利用を許すな》(読売、10月19日)と日本政府の姿勢を支持しました。


朝日は〈(記憶遺産の)審査が非公開で、関係国に意見表明の機会がないといった問題点を日本が指摘したまではいい〉としながら、〈分担金と引きかえに履行を迫るような強圧的な対応は賢明とはいえない〉と訴え、〈そもそも記憶遺産は、後世に残すべき資料の保存や活用を支援するもので、正しい歴史的事実を認定する制度ではない〉と、現実には政治宣伝の舞台になっていることや中国側の意図にはまったく触れず、一般論に終始しています。

毎日もほぼ同様で、〈記憶遺産の審査過程に見直すべき点はある〉、〈日本政府が政治利用に懸念を持つのはわかる〉としながら、〈分担金の支払いを保留すれば、国際社会での振る舞いとして品位を欠く〉と述べます。

朝日より日本政府の立場に理解を示してはいますが、両紙に共通するのは、あらゆる国際機関はその加盟国による政治宣伝、情報戦の現場になっているという事実認識のなさです。


ユネスコをめぐっては直近こんなニュースもあります。
〈国連教育科学文化機関(ユネスコ)の執行委員会は18日、イスラム教圏の7カ国が提案し、偏向しているとイスラエルが強く抗議していた世界遺産「エルサレムの旧市街とその城壁群」の保護に関する決議案を賛成多数で採択した。
イスラエルは14日、ユネスコとの協力を一時停止すると表明、さらに激しい抗議も予想される。イスラエルは、聖地がイスラム名の「ハラム・アッシャリーフ」とだけ記載され、ユダヤ名の「神殿の丘」が表記されなかったことなどを問題視した。(パリ 共同)〉


自国の名誉が損なわれることを見過ごし、利益を棚上げしてまで国際機関に“奉仕”する国はありません。


ユネスコの分担金は、パレスチナ加盟に反発する米国(分担率22%)が2011年に凍結して以後、日本が最も多い額(分担率10.83%)を負担してユネスコの運営を支えてきました。

中国は6番目で5.14%、韓国は上位10カ国にも入っていません。(2014年度)


朝日は〈大国のエゴへの批判が続く中、分担金が2番目に多い日本は堅実にユネスコを支え、信頼されてきた〉と書くのですが、信頼されてきた国ならば、なぜ事実上“騙し打ち”のような格好で「南京大虐殺文書」が記憶遺産に登録されたのか。

残念ながら日本は「信頼されてきた」というよりも「利用されてきた」のが現実でしょう。


朝日は社説を〈「人の心の中に平和のとりでを築く」。
そう憲章でうたったユネスコを歴史対立の「戦場」としてはならない〉と結びましたが、一体どちらが戦場として先に、また巧妙に仕掛けてきたのか。

朝日も毎日も結局、「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信じ、そこに悪意や敵意はなく、あるとすればそれは日本人の心の中にこそある、と思い込んでいるのでしょう。


筆者はここで、かつて日下公人先生が語った次のような言葉を思い出します。


〈日本の自立的変化に対し、「日本はふたたび軍国主義へと向かうのか」などと質問してくる外国の記者がいる。そんなとき、私はこう答えるようにしている。

「それはあなたたち次第です。
日本は、相手が紳士的に振る舞う国であれば紳士的に付き合う。
もし野蛮な、理不尽なことをあまりに積み重ねてくるようならば、こちらもそれに応じて変化する。日本の軍国主義化を心配するというのは、あなたがたが日本に対し理不尽なことをしているという自覚があるからではないのですか」と。〉


もう一つ、ユネスコの上部機関たる国際連合について根本的なことを書いておきます。


「国際連合」と日本語に訳されたこの組織は、「United Nations」の名の通り第二次世界大戦の「連合国」のことで、大戦終結の昭和20年(1945)の創設から、安保理の常任理事国の座を占める米英仏露中の“戦勝国クラブ”を中心に「戦後体制=戦勝国の優位」を事実上維持してきました。

国連憲章は「われら連合国の人民は~」で始まります。
「われら人類」でもなく、「世界人類」でもありません。


連合国と戦った日本は、昭和31年(1956)12月に国連加盟後、その分担金を米国に次いで負担してきました。
しかしながら、未だに「旧敵国」の立場に置かれています。


国連憲章の53条と107条がいわゆる旧敵国条項で、手短に解説すると、旧敵国が加盟国の安全を脅かす行為を起こした場合、連合国によって構成された地域的な機構が、安保理の許可がなくても独自に旧敵国に対し強制的な行動を取ることを許可しているのが53条、戦勝国が旧敵国に戦争の結果として結んだ協定などは国連憲章のあらゆる規定に優越するとしているのが107条です。


国連憲章上は、今日でも「第二次大戦の結果としてとる行動」の範囲内であれば、加盟国や地域の安全保障機構は安保理の許可がなくとも、「旧敵国」に対し自由に制裁(武力行使)ができるということです。


問題なのは「第二次大戦の結果としてとる行動」が具体的に明示されていないこと、事実上連合国側の恣意性に委ねられていることです。
国連分担金第2位の日本に対しこんな差別をしているのが国連の現実です。


さすがに削除すべきとの意見もあってこれまで何度か「削除を決意」という採択がなされましたが(たとえば1995年12月に行われた改正手続きの決議は賛成155、反対ゼロ)、採択を批准した国数は効力発生に必要な加盟国の3分の2に全く届きません。

所詮はポーズ、戦後の国際社会を公平に運営するよりも戦勝の果実を維持することが国連(連合国)の本音なのでしょう。


戦後の日本は敗戦国として戦勝国のつくった秩序、ルールの中に忍従してきました。

「従わないと孤立するぞ」といわれると、慌ててそれに対応し、そして必死に追いつき寄り添おうとしてきた。
外務省の敗北主義はここに淵源があります。


しかし、これは典型的な「劣位戦思考」です。
劣位戦思考が歴史認識にも染み込んでしまって、いわゆる従軍慰安婦問題でも、韓国が主張するような事実はなかったことを自ら認識しながら、「それを主張しても世界に通用しない」と、肝心の議論を棚上げして日本非難を繰り返す相手に寄り添おうとしてきました。


そして、一方的に和解を乞うてその都度裏切られてきたわけです。
こんな惨めなことはないと思うのですが、逆に自分は誠実なのだと陶酔しているのが、朝日新聞や毎日新聞、その賛同者たちでしょう。


「地獄への道は善意という名の絨毯で敷き詰められている」とは、サミュエル・ジョンソンの言葉でしたかね。




〈上島嘉郎からのお知らせ〉
●日本文化チャンネル桜【Front Japan 桜】に出演しました(10月5日)《再論!「二重国籍」問題 / スイスの民間防衛に学ぶ / 国境の島・対馬に行こう!》
https://www.youtube.com/watch?v=83yDh_MQXrY

●慰安婦問題、徴用工問題、日韓併合、竹島…日本人としてこれだけは知っておきたい『韓国には言うべきことをキッチリ言おう!』
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●…

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