ソフィア王妃芸術センター | そのうちトライリンガル

ソフィア王妃芸術センター

  立ち読みした雑誌に,マドリードの美術館「国立ソフィア王妃芸術センター」の新館が6月に開館する,という記事があった。


  僕はこの美術館がけっこう好きだ。昔は病院だったらしいが陰気な感じはなく,中庭も落ち着いているので歩き疲れたらベンチに腰掛けてぼーっとしたり本を読んだりするといい気分転換になる。あとから取り付けられたというエレベーターは重厚な造りの建物とは対照的に現代的なガラス張りのものであるが,意外にしっくりとなじんでいる。


  建物も好きだが,ピカソの「ゲルニカ」が展示されているのも好きな理由の1つだ。自分は芸術には疎いのでこの作品について説明したりうまく言葉で表現することはできない。むかし美術の教科書とかで見たときはわけがわからないという印象しかなかった。実際に見てもよくわからなかったのだが,その衝撃はすごかった。作品自体がけっこう大きいというのもあるが,うーん,何て言うんだろう,とにかく訴えかけてくるものがすごい。戦争を実体験として知らず,いわば平和ボケの状態しか知らない自分には,彼が感じた怒り,悲しみ,喪失感は到底察することはできない。湧き上がり渦巻く感情の前では言葉はほんとに無力だ。そのエネルギーを絵という形で表現したピカソはやはり天才なのだろう。 


  旅をしててよく思うのだが,実体験したことと見聞きして知っていることはまったく違う。いちばんの違いは,受ける衝撃のデカさだ。実体験したことは心の底に沈みこみ,自分を形作る一部となる。


  記事を読んで,またスペインに行きたくなってしまった。ソフィアレイナやアトーチャ周辺はどう変わっているんだろう。