八幡浜市地域防災計画(原子力災害対策編)へのパブリックコメント | GOのブログ

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 もう一度スミレの話題です。一昨年でしたか、檀ふみが万葉集を1首ずつ詠み上げるテレビ番組がありましたね。 「春の野にすみれ摘みにと来しわれそ 野を懐かしみ 一夜(ひとよ)寝にける(山部赤人)」

うーん。春の野は寒くはないのか? 野中の小屋で寝たのか? 従者がいたのか? スミレは嬉しいけれど不思議な不思議な歌でした。


 さて、八幡浜市地域防災計画(原子力災害対策編)ですが、3月15日の防災会議で計画案が確定したとの新聞報道がありました(文書はまだホームページに載っていません)。


 私は「八幡浜市地域防災計画【原子力災害対策編】(案)」への意見として、パブリックコメントを送付しましたが、その回答が八幡浜市ホームページに載っていました(予想通り、送付されたコメントは私が送った1件だけでした)
http://www.city.yawatahama.ehime.jp/05banner/pubcom/kekka/bousaikekka.html


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■送付した意見


案件名 八幡浜市地域防災計画【原子力災害対策編】(案)について
住所(必須) 〒7・・-・・・ 八幡浜市~~~~
氏名(必須) 越智元郎

意見等
 私は市立八幡浜総合病院救急部長、愛媛県災害医療コーディネーター(災害拠点 病院コーディネーター)、八幡浜・大洲圏域災害医療対策会議副会長の立場で八幡 浜市地域防災計画【原子力災害対策編】のありようには多大な関心を持っている者でございます。


 今回の計画案を拝見して強いショックを受けましたのは「第3編 災害応急計画、 第7節 災害時要援護者の避難誘導、(4)病院等医療機関の活動(p.65)」の部 分です。これによると「避難の勧告・指示があった場合、避難計画等に基づき、入 院患者等を避難又は他の医療機関へ転院させる」とあります。

 一方、同じ第7節、(1)市の活動、イ 災害時要援護者の避難誘導(p.65)には「災害時要援護者の避難誘導について、輸送手段等に特に配慮をする」とありま す。

 上記のような病院患者等の避難の輸送手段は市や県・国の責任で確保していただ けるものでしょうか。「配慮」がどの程度の責任・覚悟を伴った言葉か疑問に思い ます。当院には概数200人の入院患者がおり、そのうち約10人(5%)は人工呼吸や強心薬の持続投与を要するなどいわゆる「重症」患者です。さらに車イスに乗れな い「担送」患者は約50人(25%)、座位を取れる「護送」患者は70人(35%)、残り70人(35%)が自力で歩行できる「独歩」患者となります。寝かせて搬送する必 要のある患者が60人、車イス・歩行で移動できる140人についても医療監視を要する患者です。当院だけでもこれだけの数に上りますが、八幡浜市内の医療機関に入院 患者や施設などに入所中の老人などについて、八幡浜市として搬送手段を確保する覚悟・成算はおありでしょうか。


 また福島第一原発事故後に、病院からの転院先を探す上で非常な困難がありまし た。転院先が決まるまで長い時間待たされたり、転院先が決まらぬ状態で移動を開 始した例も多かったと聞きます。そして長時間の移動の間に多数の患者や入所者が命を落としたことが報告されています。この転院先の確保を病院や施設の責任で行えと言われるのでしょうか。このことは原子力災害に関して何の罪もない病院や施設の責任ではなく、市・県・国の責任でこそ行うべきであり、理想的には非災害時において受け入れに関する協定を結び計画を立てておく必要があります。


 以上のことより、「第3編 災害応急計画、第7節 災害時要援護者の避難誘導、 (1)市の活動」(p.65)については、以下の文面としていただくことを提案させ ていただきます。
ア → 変更なし
イ 災害時要援護者の避難誘導
  災害時要援護者の避難誘導について、輸送手段等の確保は県や国の援助のもとに、市の責任で行うものとする。
  なお → 以下、変更なし
ウ<追加> 災害時要援護者の避難先の確保
  災害時要援護者の避難先または転院、入所先の確保については県や国の援助のもとに、市の責任で行うものとする。
エ 応援依頼
  市は、救護活動の状況や災害時要援護者を把握し、上記のごとく搬送手段や避難先の確保、その他に関し、県、その他の市町、国等へ応援を要請するものとする 

 以上、御検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

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■寄せられた意見・質問の要旨

【第3編 災害応急計画 第7節 災害時要援護者の避難誘導

(1)市の活動】について、以下の文面を提案
  ア → 変更なし
  イ 災害時要援護者の避難誘導
    災害時要援護者の避難誘導について、輸送手段等の確保は県や国の援助のもとに、市の責任で行うものとする。
   なお → 以下、変更なし
  ウ<追加> 災害時要援護者の避難先の確保
    災害時要援護者の避難先または転院、入所先の確保については県や国の援助のもとに、市の責任で行うものとする。
  エ 応援依頼
    市は、救護活動の状況や災害時要援護者を把握し、上記のごとく搬送手段や避難先の確保、その他に関し、県、その他の市町、国等へ応援を要請するものとする


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■市の考え方

 緊急時における輸送手段の確保は、市、県及び関係機関の処理すべき業務であると解しております。今回計画案の「第1編 総論 第3章 防災関係機関の処理すべき事務又は業務の大綱(3ページ)」においても、原子力防災に関し、八幡浜市の処理すべき事項として「緊急輸送の確保」を記載しております。


 災害時要援護者については、様々な状態の方がいるため、輸送手段等に特に配慮する必要がありますが、「緊急輸送の確保」は、その方たちだけではなく、全ての住民を対象にする必要があります。


 なお、地域防災計画は、災害予防のための施策、災害発生時の応急対策及び復旧対応など、災害に関する事務・業務について総合的に定めた計画でありますが、より具体的で実効性のある対応を可能とするため、愛媛県の広域避難計画策定にあわせ、当市も避難行動計画を策定する予定であります。いただいたご意見については、当該計画の策定作業において参考にさせていただき、住民の皆様の安心・安全のため、災害時において確実に機能する計画となるよう進めていく考えであります。


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◆越智の感想


*防災会議は「緊急時における輸送手段の確保は、市、県及び関係機関の処理すべき業務」と考えてお られ、災害時要援護者の搬送も同様と書いておられます。<市、県及び関係機関が処理>って曖昧過ぎませんか。責任の主体は1カ所、ずばり市の責任で(+県、国の援助)と明記してほしかったです。過酷原子力災害時に関係機関(病院など)にも搬送手段確保の責任の一端があるとは考えたくないです。

 

*緊急時における輸送手段の確保は、市、県及び関係機関の処理すべき業務とのこと。これまでは医療機関にその責任があるとの解釈であったと国会事故調に書いていました。病院だけの責任でないのは一安心ですが、県と市がどちらも実効的な手を打てず、結局避難が遅れるということにならなければよいのですが・・  


*島根県の地域防災計画(原子力災害対策編)では「搬送手段は県の責任で確保」となっていました。島根県は偉い!
http://www.pref.shimane.lg.jp/genan/index.data/gensiryokuhen.pdf#search='%E5%B3%B6%E6%A0%B9%E7%9C%8C+%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E9%98%B2%E7%81%BD%E8%A8%88%E7%94%BB+%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%81%BD%E5%AE%B3%E5%AF%BE%E7%AD%96%E7%B7%A8'


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 皆様のご意見はいかがでしょうか。