2011年9月29日
報告者:武鑓
9月初旬よりグッドネーバーズは鮭P「鮭のふるさと大槌川再生プロジェクト」に加え、国際NGO「Life Investigation Agency(LIA)」と共に、天然記念物である魚「イトヨ」の再生活動として「源水川 イトヨ再生キャンペーン」を実施しています。
同キャンペーンは週に4回行われ、多い時で1日に約300名近くのボランティアさんが参加してくれています。
先日、いつもの様に源水川に行くと昨日までは何もなかったはずの場所に見たことがないポスターが張ってありました。
まるでイトヨの気持ちをそのままポスターに写し取ったかの様な文章に、私は嬉しさのあまり言葉を失い、その場所からしばらく動けませんでした。
ポスターには「ありがとう」という大きな文字と共に小さな文字でこう書いてありました。
被災地支援ボランティアの皆様
「好きでした この町、この清流。
大槌川の支流「源水川」のこの湧水に住んでいた大槌町特別天然記念物の「陸風型イトヨ」です。
津波で住む所が無くなったけれど泥まみれになってガンバってくれるボランティアの皆さんのパワーと大槌のヤングパワーでふる里はきっと復活します。
不可能ではありません。
大槌高校の自然科学研究会の皆さんが私たちの仲間の一部を水槽飼育して観察研究しています。
イトヨが、いつかこの清流に戻ることができたら、また大槌を見に来てください。その日が来ることをみんな楽しみに待っています。
とてもとても感謝しています。皆さんありがとう。」
湧水と雨水のみで成り立っている源水川は3月11日の震災で大きな打撃を受け、そこに川があったかわからないくらいガレキで川全体が埋まりました。
震災直後はまず自衛隊の方々が入り、重機でのガレキ撤去と亡くなった方々の遺体の捜索が行われました。その後2000人以上のボランティアさんが入りヘドロと残ったガレキやゴミの撤去を行い、今も尚その作業は続いています。
今まで来たボランティアさんが全て手作業で出してくれたヘドロの入った土嚢袋の数は既に10万を超えました。
しかし、残されたヘドロやゴミは未だ30分の1も取り除かれていません。
誰が貼ってくれたかわからないこのポスターの作成者を私達は探しました。どうしても直接会ってお礼を言いたかったからです。
そしてポスター発見から3日後、その方とお会いすることができ、ポスターにかけた想いを知ることができました。
このポスターを作ってくださった方は源水川の近くにお住まいのグラフィックデザイナーの蛇口禎治さんという方でした。
「毎日源水川の前を通ります。ボランティアさんが全身ドロだらけになりながらヘドロだしをしてくださっているのを毎日の様に見ていると大槌町民である私も直ぐに飛んでいってお手伝いをしなければと思うのです。でも、今は生きていくのに精一杯。とにかく今の私にできる事をさせてもらいました。少しでも感謝の気持ちをボランティアさんに伝えたかったのです。」
と蛇口さんは時折目を押さえ言葉を詰まらせながら私達に自身の想いをお話してくださいました。
私は、来てくださったボランティアさん1人1人に感謝の気持ちを言葉に出して言わなければ・・・といつも思いながらも、日々言えずにいます。
このイトヨのポスターは私たち受け入れをしているスタッフの気持ちも代弁してくれました。
9月中旬から少しずつ冷たくなっている河川へもボランティアさんはヘドロ撤去作業に果敢に挑戦してくれています。そしてほとんどの方々が遠方から夜行バスに揺られて早朝到着され、そのまま現場に来てくださいます。毎回毎回本当に頭が下がる思いです。
今までにこのプロジェクトに参加して下さった方が1人でも多くこのブログの記事を見てくださることを祈ります。
イトヨも大槌町の皆さんも、そしてグッドネーバーズのスタッフも今まで来てくださったボランティアの皆さんに
「とてもとても感謝しています。皆さんありがとう。」
「源水川 イトヨ再生キャンペーン」は11月の中旬まで続きます。グッドネーバーズではこのプログラムに参加するボランティアさんも募集しています。
皆さん引き続き応援宜しくお願いいたします!
武鑓 拝