うどんと言えば四国、特に香川県の「讃岐うどん」が有名です
コシが強く、ツルリとした喉越しを特徴とする讃岐うどんの食感は「うまい」以外に言い表すことができません。
香川県は「うどん県」とも呼ばれているほどで、地元でうどんが大変好まれており、県民98万人(2013年7月)に対して1100件のうどん店があると言われています。
平成22~24年の全国都道府県庁所在市及び政令指定都市の2人以上の1世帯当たりの「生うどん・そば」の月平均支出金額ランキング(総務省統計局)では、香川県高松市が1位で7496円、2位の群馬県前橋市(4925円)の1.5倍で、2位以下を大きく引き離して1位になっています。
全国的にも、うどんは蕎麦と共に手軽に短時間で食べられるファストフードとして駅や主要な道路周辺に提供店が多く、一方で素材や製法にこだわり抜いた専門店が存在するなど、日本の食文化として定着しています。
一方、厚生労働省が発表した、平成21年地域保健医療基礎統計の糖尿病の推計患者の受療率(人口10万対)の年次推移(都道府県別)では、1位が香川県(288人)、2位が徳島県(252人)で、最も少なかった沖縄県(99人)よりも2.5倍以上多い数になっています。
これらのデータや、うどんが小麦粉主体の炭水化物食であることから
「うどんの摂取=糖化ストレス=糖尿病リスク」と考えられているようです。
ところで、うどんの摂取と糖尿病リスクの関係は本当でしょうか
そこで私たちは、讃岐うどんのチェーン店と共同で、うどんの摂取と食後の血糖値との関係を調査することにしました。
この研究結果は、2013年6月末に横浜で開催された第13回日本抗加齢医学会で、ポスター発表しました。
この研究では、米飯やうどんなどの炭水化物の種類や、うどんと副菜の組合せが食後血糖値変化に及ぼす影響について検討しました。
試験に参加したのは20歳から53歳の健康な男女13名です。
摂取した炭水化物は、米飯、讃岐うどん、ゆでうどん、食パン、赤飯、そば、パスタ、玄米、餅の9種類でした。
摂取量は炭水化物の種類によって米飯なら、200g相当、讃岐うどんなら270gのように食品ごとに変えて、実際に各食品から摂取する糖質量を75gに統一しました。
実際の量は、おおよそ各一人前分に相当しました。
食べる時間はちょうど10分間で食べ終わるように、一口30回以上噛んで、ゆっくり、急がず、同じテンポで食べました。
そして、食べる前と食後15分毎に2時間まで血糖値を測定しました。
この結果、食後血糖値の変化レベル(血糖上昇曲線下面積;AUC)は、パスタと食パンで低く、他の7種類に違いがありませんでした。
また、うどんに副菜を追加する摂取試験では「温玉(温泉玉子)うどん」(糖質量60g)または「サラダ(生野菜)うどん」(70g)摂取時のAUCが、「かけうどん(副菜追加なし)」(60g)と比べて27%小さくなりました。
AUCの減少は、温泉玉子に含まれる脂質やたんぱく質、野菜に含まれる食物繊維が糖質の吸収を緩やかにしたと考えられました。
これら結果は、うどん摂取時の食後血糖による糖化ストレスの影響が他の炭水化物食と比べて、著しく悪くないことを示しています。
また、うどんに温泉玉子や野菜などをトッピングして提供される一般的なメニューであれば、おにぎり等の米飯だけを食べる時と比べて糖化ストレスを低減させることができる可能性を示しています
もちろん、うどんを大量に食べれば、食後の血糖値が高くなるので糖化ストレスの影響は大きくなります
また、うどん+いなり寿司、うどん+炊き込みご飯、のような炭水化物と炭水化物を組み合わせた「うどん定食」は、糖化ストレスのリスクが高い食事です。
ともかく「うどんの摂取=糖尿病リスク」は少々短絡的なようです
香川県における糖尿病の推計患者の受療率の多さは、うどんの消費量だけでなく、この地域の交通事情が車移動中心であること、野菜の消費量の低さ(平成22年国民健康・栄養調査結果ワースト1位:女性、2位:男性)などの背景も加味して考える必要がありそうです。
都道府県別、野菜の摂取量(g/日)
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