会社と家の間にある、オアシスだ。
親友は、バナナジュースがお気に入り。
甘すぎず、果肉がゴロゴロ。食感が良い。
影響からか、私まで虜になってしまった。
道路が見下ろせる窓際に座り、楽しくお喋り。
何時間話しても、足りないくらい。
…ふと、店内の奥に、ある人を見つけた。
席が壁に隠れていて、全然気付かなかった。
大好きな人が、煙草を燻らせながら珈琲を飲んでいる。
大人っぽくて、見とれてしまう。
「 行ってきなよ 」
親友の声に、我に返った。
切なく見つめた、私の気持ちを解ってくれる人。
「 うん。じゃあ…少しだけ、行ってくるね 」
微笑み頷いた親友に、同じように返して席を立った。
一歩、二歩と、彼に近づく。
「 何してんの? 」
遠慮気味に、そろりと声を掛けた。
私が見ても解らない書類に、目を落としていた彼。
眉を寄せ、難しい顔をしたまま、顔を上げる。
「 え、あれ? 何でいるの? 」
「 友達とお茶してるの 」
私が目を向ける方へ、彼が身体を乗り出す。
親友が微笑んで会釈をすると、彼も返した。
テーブルに、サンドウィッチを発見。
美味しそうな、ミックスサンド。
「 美味しそ~。一個ちょうだい? 」
「 ダメだよ。晩メシなんだから 」
「 …あっ、そーか 」
「 お前、家に帰ったらメシ食うんだろ? 太るぞ 」
「 んもー… 」
唇を尖らせ、ショックを受けたという表情で彼を見る。
クスクスと、彼が笑った。
眉間からは、皺が消えている。
いつもの、優しい笑顔に戻っていた。
「 一個なら、いいぞ 」
「 ホント!? わーい! いただきます 」
パクッ。
美味しそうに頬張る私に、少し離れた場所から声が上がった。
「 ずるーい! 」
親友が、つまらなそうにこちらを見ている。
彼と目を合わせ、笑った。
緩やかに流れた、優しい時間。
いつまでも続けば良いと思っていた。
それは無理だと知りながら、願っていた。
落ち着いた雰囲気の、渋めな喫茶店。
ふいに想い出し、心の奥が熱く疼く。
戻れない、懐かしく遠い日々に、想いを馳せた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。(*・ω・)*-ω-)) ペコリ
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