ノアと鈴木軍の最終決戦と位置づけされた

12・2後楽園ホール大会。

 

メインイベントのGHCヘビー級選手権を前にした

対抗戦では、鈴木軍の5連敗。

 

ただし、ずべてをひっくり返す可能性を持つのがメインの

中嶋勝彦vs鈴木みのる戦であることは明白だった。

 

 

 

挑戦者・みのるが覚悟の入場。

観客を煽るようないつものパフォーマンスを封印。

勝負だけに徹したみのるを表徴する入場シーンだった。

 

試合が始まってもそれは変わらない。

徹底した足攻めに中嶋が悶絶する。

アキレス健固め、ヒールホールド、膝十字、

膝を決めたままネックロックと引き出しをすこしずつ開けていくみのる。

 

早くも足を引きずり始めた中嶋に、

罵声というか、覚悟を問うかのように言葉を浴びせていく。

 

「おい、お前がノアなんだろ?」

「ノアは終わりか?」

「立てよ!終わりか?」

「テメーがノアなんだろ?来てみろよ!」

 

フットワーク、足の速さにはさらに磨きがかかっているように見えた。

中嶋のビッグブーツを見切ると、スライディングして足に絡みつき、

膝固めから変形アンクルホールドへ。

 

そのスピードとキレ味に館内からため息が漏れる。

これはもう鈴木軍、ノアの応援も関係なく、観客の素直な声だろう。

 

まるで、闘いながら新王者・中嶋を鍛えているようにさえ見えてしまう。

ところが、完璧に見えたみのるに綻びが生じ始めた。

 

開始から30分前後、西永レフェリーを中嶋にぶつけてダウンさせ、

中嶋の顔面へナックルを叩き込む。

リング上が瞬間的に無法地帯と化した。

 

みのるは自軍コーナーの花道に視線を送り乱入を待つが、誰も来ない。

今度は四方に視線を送り、「出て来いよ!」と促すが、やはり誰も入って来ない。

 

これが時限爆弾だったのではないだろうか?

一瞬とんでもないことが頭に浮かんだ。

中嶋のセコンドには最初から、

潮崎、北宮、谷口、ヨネ、ストーム、熊野、清宮が着いていた。

 

そこにいない男がひとり。

ノアの重鎮……丸藤正道だ。

丸藤が世紀のダブルクロスでみのると合体。

かつて、タッグを組んでいたころ、

みのると丸藤はツーカーの間柄だっただけにゼロとは言えないだろう。

 

でも、やはり私の妄想に過ぎなかったのか?

丸藤が現れることはなかったし、鈴木軍のメンバーも来なかった。

スイッチを押したはずの時限爆弾は不発に終わったのだ……。

 

みのるに動揺が見え隠れする。

集中力も途切れ始めたのか。

中嶋がエルボーの乱れ打ちから、ハイキック、バーティカルスパイクで

ついに鈴木みのるから3カウントを奪取した。

 

試合タイムは、37分01秒。

長期戦だった。

だけど、その長さを感じさせない闘い。

見ているほうも集中力の途切れない試合。

これはグラウンドの攻防になっても、

その卓越した技術でみのるが魅せてくれたからだろう。

 

試合後、みのるを介抱するためにデスペラードと金丸が現れた。

さらにやって来た杉浦貴はなんと2人をエルボーでなぎ倒し、

みのるを引きずり起こしてオリンピック予選スラム敢行。

そして、鈴木軍のTシャツを脱ぎ捨て、鈴木軍離脱を宣言した。

 

本日(3日)のディファ有明大会。

ノアvs鈴木軍の対抗戦が5試合組まれている。

問題は、セミファイナル。

 

中嶋勝彦&丸藤正道vs鈴木みのる&杉浦貴。

このタッグマッチがすんなり実現するのか?

実現したところで、試合は成立するのか?

これが鈴木みのるにとって、ノアのラストマッチとなるのか?

 

いや、もしかしたら、みのるが言うところの時限爆弾は

この試合にセットされている可能性だってあるだろう。

 

本日、ディファ有明大会。

鈴木みのるの闘いと生きざま、

しっかり見とどけてきたいと思う。