ZERO1の『火祭り』が開幕した24日、サムライTVの収録が終わると同時に、両国国技館へ直行。

DDTの年に一度のビッグイベント、『両国ピーターパン2011~二度あることは三度ある~』を観戦するためだ。


 一昨年(8・23)、昨年(7・25)と2年連続でDDTの両国大会を取材しているから、今年もこの目で確認しておきたかった。そういえば、昨年の大会はフリーランスとなり新日本の『G1クライマックス』参戦を直前に控えていた小島聡と一緒に観戦した。


 桝席後方のボックス席に陣取った私たちは完全にファン気分。小学生レスラー(8歳)、ミスター6号の大活躍や、ヨシヒコ(※分からないかたは各自調べてください!)の人間離れした(笑)ム―ブに2人とも大爆笑。もちろん、ただ笑っていただけではない。


「コジくん、こういう世界観もあるんだねえ?」


「でも、8歳の子どもが両国の観客を一体化させてしまうのは、ある意味スゴイことですよね」


 そんな感じで、新日本をはじめメジャー系といわれる団体ではありえない世界観、リング上、マッチメイク構成などに関して、真面目な会話もしていた。

 あれからもう1年が過ぎたとか思うと、本当に月日の流れは早いなと実感する。


 さて、24日の当日、『火祭り』(ベルサ―ル六本木)は午後3時開始で、DDT両国大会は午後4時スタート。なんとか第6試合に間に合えば、との思いで地下鉄・大江戸線に乗って、六本木駅→両国駅と移動した。


 会場に到着したのは午後6時15分。館内を覗くとギッシリと観客で埋まっている。ちょうど第5試合が終わり、休憩に入ったところだった。次がIWGPジュニアヘビー級選手権(飯伏幸太vsプリンス・デヴィット)だから、ギリギリ間に合った。


 空いているボックス席を見つけて座ると、隣のボックス席に三田佐代子さん(サムライTVキャスター)がいた。そこで早速、ここまでの試合について聞いてみたところ、第0試合(ダークマッチ)が、凄まじくおもしろかったという。


 高木三四郎&澤宗紀vsグレート・サスケ&リッキー・フジの顔合わせだから、まともな試合になるわけがない。会場全体が戦場となって、国技館の外へ飛び出すは、関係者以外立ち入り禁止区域に入るはで大騒ぎ……。


 国技館の地下にあるという厨房に入っていくと、そこで焼き鳥を焼いていたのが鶴見五郎だったり、力士風呂に乱入してみると、菊地毅が入浴中だったりとか、もうハチャメチャ。


 その模様が場内スクリーンに映し出されるたびに、館内は大爆笑に包まれたという。

いやあ、これは観たかった(笑)。


 ともかく、注目のIWGPジュニア戦へ。これが不思議な空間となった。研ぎ澄まされた肉体を躍動させ、洗練されたム―ブを繰り広げる両雄。観客も固唾をのんで見守り、空中戦になるとドッと沸く。


 まるで新日本の会場と同じノリなのだ。ここが飯伏のホーム、DDTのリングであることを忘れてしまうような空気に包まれている。結局、飯伏が十八番のフェニックス・スプラッシュを完璧に決めて、初防衛に成功した。


 ベルトを死守した飯伏は、試合後にちょっと気になるコメントを残した。


「DDTのホームなんでDDTらしい試合をするって言ってたんですけど、なにもできなかった。なにひとつできなかったです」


 どうなのだろう? 

それこそ飯伏は両国の会場全体を使った試合を見せたかったのかもしれない。

たとえば、入場通路の上の桝席から飛ぶケブラ―ダなど。


 相手がデヴィットということで、そこまでの余裕がなかったのか、それともデヴィットがそういう戦法にはハナから付き合う気がなかったのか?


 いずれにしろ、これでライバル対決は3勝3敗の五分となった。

金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


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 続く第7試合は、ボブ・サップvs男色ディーノの超異次元対決。試合形式は、なんと3分30ラウンド制で、第1Rがボブルール、第2Rはゲイルールが採用され、それを交互に繰り返す。


 手っ取り早くいうと、ボブルールは普通のプロレスルールでお触り禁止、ゲイルールはディーノのやりたい放題が許されるというもの。結果は3R、ディーノがゲイ道クラッチでサップを破る大金星!?


 いま現在のサップは、格闘技で底を見せてしまった感もあるし、プロレスでの集客も期待できない存在。そんな中、ディーノ戦のオファーを出してそれを実現させてしまったDDTは本当に頭がスマート。


 サップvsディーノなら充分に見たいと思わせるカード。それにIWGPジュニア戦とメインイベントのKO-D無差別級選手権(石川修司vsKUDO)の間に、この一戦を組んだところも賢い。


 これがDDTならではの目線。つまり、すべてファン目線で興行を作っていくのだ。

そういえば、私がいちばん感心したのは、東日本大震災(3月11日)から約2週間後の3・27後楽園ホール大会でDDTが行なったオープニングでの試み。


 節電のため、いつもの映像スクリーンはなし。そこで、いきなり鶴見亜門GMが第1試合から順にカードを読み上げると、名前を呼ばれた選手が次々とリング上に駆けあがって、互いにファイティング・ポーズをとって睨み合う。つまり、煽りVで見せるはずの本日の対戦カードを実写版で披露したわけだ。


 これを聞いたとき、さすがだなあと感心した。

こういうアイデアに富んでいるからこそ、新日本はDDTと連携しているのだ。


 本来、リング上の図式からいくと、もともと水と油というか、ストロングスタイルとエンタ―テインメント・プロレスでは対極にあるように思われがち。


 だが、単なる選手交流だけではなく、スキットや煽りⅤに関する斬新さや効果的な手法をつねに考えている点で、両団体の姿勢は合致している。つまり興行論でいくと、新日本とDDTは非常に近い存在なのだ。


 3年連続で夏の両国大会を成功させたDDTは、来年迎える旗揚げ15周年という節目でついに日本武道館への進出を発表した。

 

 プロレスというジャンルの固定観念、既成概念を次々と打ち破ってきたDDT。まさにビジネス戦略の勝利といえるし、他のメジャー団体もDDTから学ぶべきところは多々あるような気がする。


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 最後に、全試合終了後のこと。メインを戦い終え新王者となったKUDO、敗れた石川、さらに高木社長の順に共同インタビュースペースに現れたのだが、それらを仕切っていたのは、なぜか男色ディーノ。

 

 まるで広報担当のように、選手を呼び入れる。しかも、試合コスチュームの上にTシャツを着用しただけだから、あのタイツがチラチラと見えている。無論、本人は至ってマジメ顔。

それが無性におかしくて、私はディーノにカメラを向けた。


「男色先生、ワンカットいいですか?」


 次の瞬間、カメラに向かってディーノはこのポーズ。


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     あらっ、とっても素敵に撮れてるわよ~ドキドキ