入間人間、作
作者がふざけた名前で、メディアワークス文庫だから、多分ラノベに分類される
というか読み味が軽いものをラノベというなら、これはラノベだ
さくさく読めるという点で、この作品は優れている
そして、この作品は(他の作品は知らない)僕と文章が似てる、と思った
文章は全て一人称視点、登場人物の名前が明かされないところも
うん、似ている
ただ、ヒロインとその彼氏の台詞の区別がつきにくい感は否めなかった
登場人物は、たった3人でシンプル
ヒロインと、その彼氏(主人公)と、ヒロインに片想いをしている男
主人公と、片想いの男の章が交互に繰り返される構造になっている
主人公は彼女と長く一緒にいるが、そのためには理由が必要だと感じていた
そこで、彼女を好きになれば一緒にいていいと考え、彼女を好きになる方法を模索する
ヒロインに片想いをした彼が主人公と話すシーンがあるのだが、そこが印象的だった
「彼女のどこが好きだ」と問う主人公に、彼は「全部だ」と答える
「なんで好きなんだ」と訊かれると、「好きだから、好きなんだ」と言う
この「好きだから、好き」というのが心に響いた
ヒロインを挟んだ三角関係にあるこの二人に、僕は共感を覚える
主人公のように、人を好きになる理由を探してしまう
考えすぎ、というやつ
片想いをする男のように、狂ってしまうほど人を好きにもなる
気持ち悪いことも、結構する
この作品は、僕(人)がもつ二面性を、二人の登場人物を通して描いている、とも読み取れる