●夢の解明


次に'私の専門分野である、「夢」の研究についてお話ししたいと思います。


わたしたちはいつも夢に好奇心をそそられています。


夜中に心に焼きついたイメージが'目覚めた瞬間にたちまち薄れていくのに気づき、.必死で思い出そうとした経験が、みなさんにもあるのではないでしょうか。


科学者や心理学者も夢の意味を探求し、幅広い問いを投げかけています。


夢を確実に見る条件とはなにか。


夢はなにが原因となって引き起こされるのか。


夢の役割とは。


一部の超心理学者が期待しているように、夢は超感覚的な情報伝達手段となりえるのか--といったぐあいです。


一九〇〇年代に入ってから、夢を見る脳の状態と、レム(REM)と呼ばれる現象には関係があることがわかってきました。


レムとは'眼球が一定の間隔をおいて短時間すばやく動く現象のことです。


五〇年代には睡眠中の被験者に脳波計を用いることでレム睡眠と夢との関連性がさらに濃厚になりました。


大半の人は眠りについたあと、浅い眠り(うたた寝)から深い睡眠まで'四つの段階を経ることがわかっています。


陸眠が深くなればなるほど、目覚めさせるのは難しくなります。


さらに'睡眠を始めてからはぼ九十分後にはこの流れが逆転するようです。


レム睡眠が始まると夢を見るようになり、ひとつの夢はだいたい十分くらい続きます。


同じことが一晩で四-五回くり返されます。


夢についてはここまで判明しているのですが、難しいのは夢が起きる原因を解明することです。


神経生理学によれば'夢は神経信号が集中的に脳内を交差するときの副次的現象だそうですし、中枢神経系が日中に使った生化学物質を補給していると考えている人もいます。


しかしどの理論も夢の内容には触れておらず、その解釈は通常、心理学者の仕事となっています。


ジグムント・フロイトは,夢は無意識の願望を表していると思っていました。


また、カール・ユングは,夢は本人が集合的無意識に短時間つながる行為で、そこで見られる多くの象徴的存在には,導きや手助け、援助、教えといった概念が含まれていると考えていました。


一部の科学者は,夢はありあまる情報を整理する作用があると考えています.


また別の科学者は、夢は、新しく学習したことを統合し'さまざまな状況に反応できるようにするためのものだと言っています。


ですがやはり、どの理論も夢を広範囲にわたって説明できていません。


わたしの予知夢はもとよりです。


系統だった実験が積み重ねられたことにより、多くの研究者は'夢を見ている最中にテレパシーで情報を伝達する現象は決して珍しくはなく、特別な才能を必要としないと確信するようになりました。


思考とイメージは完全に伝達できるわけではありませんが'送信内容の一部が夢を喚起させることはありえるのです。


夢によるテレパシーの研究を哀進めたのは,イギリスで明断夢(寝ている当人が夢を見ていることを自覚している夢)を研究していたキース・ハーン博士でした。


博士は、睡眠者の呼吸を測定する機器を開発し,本人が夢を見はじめたとわかった時点で'テレパシーを送る人に,自動的に電話をする仕掛けを編み出しました。


こうすることで、送信者は夢を見ている人に意識を集中してイメージを送ることができました。


古代ギリシャの砿女の時代から,超能力者はトランス状態に入ることで予知能力を発揮してきました。


十八世紀オーストリアの医師であり神秘主義者であったアントン・メスメルは,催眠技法によって同様の状態を作り出そうとしましたが'生徒が遊び半分に催眠術をかけあっているのを見て実験を中断してしまいました。


しかし1960年代のはじめには,チェコ人の生化学者ミラン・リズルが催眠術の応用を行っています。


リズルはバベル・ステバネクという男性に催眠術をかけて、超能力の持ち主だと信じこませました。


ステバネクは目覚めたあとにトランプ当てで素晴らしい成績をおさめ,催眠をかけられたまま,十年にわたって驚くほど多くの成果を示しました。


ある超心理学者は,ステバネクはこれまでで知る限り,ひとりの被催眠者がもっとも長期にわたって超能力の成果を見せた例だと語っています.


催眠術以外にも、トランス状態になるためにドラッグや医想'バイオエネルギーなどの手段が用いられています。


ガンツフェルト(ドイツ語で「全体的な場」という意味)と呼ばれる手法もそのひとつです。


この手法では'被験者はピンポン球をふたつに割ったものを目にかぶせ、ヘッドフォンを耳につけることで外界から孤立させられます。

そして心を自由に解き放ち、同じく孤立した送信者から意識投影される情報にこたえようとします。


睡眠によって超自然的な能力が強化されるという事例は数多く存在します。


ルイ-ザ・ライナという女性は二十五年間にわたり'超感覚的現象が自然発生した例を十万件も集めてきました。


そして膨大なデータの分析によりへ六六パーセントの現象は夢を見ている最中に起きたことを突きとめたのです。


たとえば、一八七一年三月四日、英ウェールズ地方の北部に住むある女性は'遠方にいる息子が病気になっている夢を見ました。


のちに女性は、その夜に息子がアフリカで死亡したことを知らされたのです。


テレパシーを観察する試みとしてもっとも有名なのは、一九六五年、ニューヨーク・ブルックリンのマイモこデス医療センターで行われた一連の実験でしょう。


担当医は、同センターで夢を研究していたモンタギユー・ウルマンとスタンリー・クリブナーの両博士です。


この実験では、テレパシーの受信者が眠りに入ったのち'別の場所にいる送信者が'数多くの候補から無作為に選ばれた数点のイメージに意識を集中しました。


夢が始まった時点を知るため、受信者たちはレム睡眠中の脳波をモニタざれていました。


そして夢を見ている最中に起こされ'夢の内容を記録するよう求められました。


研究チームは、試験にいっさいの疑問を残さないよう、きわめて厳格な情報漏洩防止策を講じました。


部屋は防音処置がほどこされ'イメージはすべて密封されたうえで'証人が封に署名をLtさらにテープが貼られました。


受信者たちが夢のなかで見たイメージは'第三者によって送信者の送ったイメージと比較検分が行われました。


結果は驚くべきものでした。


たとえば、ある送信者は'マディソン・スクエアガーデンのボクシング試合を劇的に描写した絵画作品を見せられていました。


すると、受信者は自分の見た夢を次のように語ったのです-


「柱のようなものが見えました。

地面に立てられた柱のほかにはなにも見えませんでした。

いや、なにか動いていたような-‥・。

思い出した!

マディソンスクエアガーデンでボクシングをやっていましたよ」


また、予知夢と解釈できそうな夢を見た女性の受信者もいました。


女性は夢のなかで、友達が見ているニューヨークの新聞の第1面に、建物が倒壊する写真が掲載されているのを目にしました。


ちょうど同じころ、その友達は別のことをしていたのですが'二週間後にブロード・セントラル・ホテルが倒壊する事件が起き、数十万人のニューヨーク市民が各紙の第一面で建物倒壊の写真を見ることになったのです。


こうして両博士は、人の精神は超感覚的知覚を用いる潜在的能力を持っており、夢を見ているときに能力を発揮していることを明らかにしました。


しかし、こうした数々の実験結果があるにもかかわらず、残念ながら、超心理学者たちは伝統的な夢の解釈を受け入れて'不思議な事象を超常現象として説明するのを控えるようになってきています。


超心理学学会も'超感覚的知覚は現実に存在するけれどもへ研究は慎重に行うべきだという方針を打ち出すようになってしまいました。


わたしは、専門家のこのような行動が,超能力の解明の妨げにならないことを切に願っています。

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