死後の世界―「あの世」とはなんとすごい世界なんだ
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楽園での目覚め


とこからか声が聞こえてきた。


「フアニ、目を覚ましなさい。
起きるのです。
あなたの見るものすべてを'注意深く書き記しなさい。
人の運命をご存知なのは神様だけです。
しかし'罪の掃き溜めに溺れるすべての心を目覚めさせる時が来ています。
あなたは啓示されたことがらが深い夢ではないことを知らせるために選ばれたのです。
あなたに永遠の奥義を示すために幕が切って落とされました」


それから、わたしは咳いた。


「すべてを覚えられないことが時々あるのです」


すると、声が告げた。


「私がいつもあなたを助けましょう」

目を覚ますと、言葉に尽-せないほど広-美しい空を見た。

地獄では暗-陰気な光景ばか-だったが'ここではすべてを栄光が照らしている。

私は周囲を見回して叫んだ。


「何と美しいところ。
何と芳しい空気。
何という園」


歩いている人々は何と美し-色鮮やかな服を着ているのだろう。
天使は自由に現れては消えしながら澄んだ空を舞っている。
草は春が終わらないかのようにみずみずしい緑色。
花は甘い香を放ち、道を歩いても踏みつけられない。
私はどこにいるのだろう。
これが栄光の天国だろうか。
神の御座に仕える聖人とケルビム'セラフィムの王国だろうか。
私の願いがすべて満たされていた。

無数の美しいバラが歩-械壇を作-'私はバラの花輪に囲まれていた。

柔らかな花弁に手が触れると甘い香-が漂った。

心は少しずつ晴れてきたが'地獄の恐怖は忘れられない。
起き上がると、見知らぬ魂が出迎えてくれた。
彼らは蝶のように軽い。
色鮮やかな服を着て'幸福と善意に顔が光っている。


「姉妹へ起きなさい。
父の王国があなたに開かれています。
ここでは聖霊がすべてを支配しています。
あなたがここにいるのは主の御心によるのです。
それは人々がこの世の空しさを追及しないためです。
地上に戻ったなら、あなたが見たことをすべて報告しなければなりません」


天の言語を間くのははじめてだが、母国語のように理解できた。
地獄の思いに震えながら、体を起こすと、天の創造の幻を知らせる恵みを受けた。

私は彼らに導かれて泉へ行きへともに水を飲んだ。

地獄の悪夢は次第に引き始め、やがて忘れることができた。
それは日が完全に覚めてから悪夢を忘れるのにも似ている。
私は話し始めた。


「私は地獄から来たばか-なのです。
そこは永遠の夜の世界で'日の出もなければ'光も太陽も'青空も白い雲もありません。
木も果物もな-'薄暗い炎と責苦以外'何もありません。
サタンは'地上に反キリス-を送-'全人類を奴隷にすると自慢してました」


彼らは言った。:


「私たちは地上での生を早く止めてくださるように、たえず神様にお祈りしてきましたが、主は『まだ時が熟していません。
人類に生き続けさせなさい』と言われたのです」


「見たのです。
あの地獄では--」


と言いかけると止められた。


「もう話してはなりません。
地獄で何が行われているかはよくわかっています。
罪人たちが経験する責苦と苦しみについて。

それとは逆に、ここには、すべてが完全さに満ちた楽園があります。
セラフィムの歌う甘美なる聖歌のまっただなかで'神様が輝かしくお治めになり、いたるところに花が咲き'果物が熟している世界です。
本当に敬慶な人しか住んでいません。
ここは'光の源が妙なる思いをそそる場所、天使の翼が銀色になるほど清らかな泉の水が流れる場所です。
義人たちは、神の創造の歓びにひたる以外へ何も求められません」


泉の近くに、地上で見たどのような種類とも異なる、一つの宝石があった。

それは、やっとの思いで持ち上げられるほど、とても重いものだった。


「これはどなたの宝石ですか。
とても高価なものなのですか」


と私はたずねた。


「もちろんです」


と答が返ってきた。


「とても高価なものです。
あなたの世界にはそのような宝物はありませんし、どんな金持ちにも手に入れられません。

主は共に生きた人にそれをお授けになるのです。

力が足りなく思うならそのままにしておきなさい。

誰もそれに触れません。

あなたは目を覚ましたばかりです。

逮くをご覧なさい。

もっと美しい石が見えます。

ここでは'宝石を売買する者はいません。

無数にあるからです。

あまりに豊富にあるために、ここに住んでいればその存在にさえ気づかなくなります。

私たちの最大の歓びは、祝日に、さまざまな惑星に飛び立つ機会を与えられることです。

そこで神の輝かしい創造の業を味わうことができるのです。

これらの日に'私たちは愛する人々を訪れます。

私たちは、祝日にのみへ両親と友人たちに会えるのです」


それから妙なる曲の音が聞こえてきた。

宝石を下に置き'さらに遠くへ導かれた。

辺り一帯は'聖なる香りに満ちている。

滝の近くで立ち止まると'眼下に壮大なパノラマを見た。

そのとき、私の随伴者が加わった。

彼は「ここはいつまでも春の季節です」と言いながら私の頭に花冠を載せてくれた。

そよ風に葉を揺らす大きなヤシの木々が立ち並んでいる。

随伴者は込み入った道と色々なものを教えて-れたが、地上の言葉ではとても表現できない。

彼は言った。


「来なさい。
違う惑星に案内します。

他宗教の人々の魂がいる惑星です。

最高の神を信じ、神の按を実行し'義と善に生きた人々です。
自然の法則に生き'義と善の人生を守った他宗教の信者がそこにいます」


義人の惑星私たちはもう一つの惑星に着いた。

そこも真に美しい場所だった。

より多くの砂漠があり、鳥のさえずりが美しい。

ときどき天使が創造主への賛美を歌いながら天高-舞っていた。

飛行のあいだ、天に見るさまざまな驚異に息を呑んだ。

長い火焔の尾を引いて飛ぶ大聖星を見た。

二つか三つの尾を引く聾星もあった。

ゆっくり飛ぶものもあれば、あま-に速-飛ぶために、黄金色の火花の尾を後に残すものもあった。

宇宙空間の果てで'消えたかと思うと、無限空間に向かって爆発する星々を見た。

単独の星もあれば'集団をつ-る星もある。

無数の星が黄金のシャワーをつ-つていた。

その中に日が臨むほど光る星団があった。

あまりにも壮観で想像を超えるものであるためにへ神の創造されたこの宇宙の中で、自分を塵のように感じた。

随伴者は言った。

「地上には'死後の神秘に較べられるようなものは何一つありません。
人は自然界のすべての力を従えられるかもしれない。
しかし'死後の世界の神秘を解-こともできなければ、それについて思い巡らすことさえできません。
この光のきらめきがわかりますか。
永遠の生命が存在する惑星です。
さあ、義人の霊魂が生きる世界へ飛びましょう。
そこは大きな空間にさえぎられて近づけないところにあります」

 私たちは宇宙を飛び続け、ついに地球に似たずっと小さい惑星に近づいた。

土は茶色でも灰色でもなく、きれいな赤色をしている。

大地の中をあらゆる方向に水が流れ、多-の湖があった。

ここでもすべてのものが違っていた。

空気は軽-純粋で自由に呼吸できた。

川と湖の水は美しいターコイズブルー。
地平線上に紫色の山並みが見える。

 この世界の祝福された住人に近づいた。
彼らは、全能の神へ主の栄光について話し、楽園から来た新しい代表者について話してくれた。

その方が彼らにこの天上の生活の歓びと賜物を与えてくれたのである。

遠すぎる距離はなく、どこにでも行くことができる。

すべてのものに大いなる満ち足-を感じ、敵がいないので不安を抱く者もいなかった。

 彼らが話を止めると麗しい聖歌が聞こえてきた。
私は聖なる霊を感動の目で見た。
本当に素朴な人々ばかりだった。


「このような至福に至るにはどうしたらいいのですか」


と随伴者に聞いた。


「彼らは生前何が起きようとも感謝の気持ちを忘れなかったのです」


 山の峰に上り、眼下の光景に目を奪われた。
何という壮大な景色。

広々とした平地は'色とりどりの花と'枝が地面にまで垂れる果樹に覆われている。

枝には美味しそうな実がたわわに成っている。

森のヤシの木々に金色の光線が射し、やわらかな葉が微風に揺れている。

果物は地上では知られていないもので、熟成した葡萄酒のような味がした。

周囲を見渡すと'「すべては義人に与えられた神の賜物」と自然界が賛美の歌声を上げている。

 随伴者は言った。


「養老の住む世界をお見せしました。
あなたはまた彼らの魂が命日に目に見えぬ姿で地上に降り、家族や友人、墓を訪れることをも知らなければなりません。

彼らが埋葬されて永遠の杜界へ羽ばたくや、無頓着な家族は忘れ、祈りも墓参りもしなくなるからです。

これから、あなたのお母さまが楽しんでいる世界にご案内します」