ジュセリーノ未来予知ノート/ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルース
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気象変動による影響


今日、環境という重要なテーマが注目を浴びはじめているのはたいへん喜ばしいことだ。


国の政府ばかりでなく社会全般の関心を集めていることから、わたしのこれまでの戦いは決して無駄ではなかったと、ようやく思えるようになった。気象変動による重大な危機--そのなかには、洪水や干ばつなど、すでに起きているものもあるが!の影響を最小に抑える方法を、国際社会は模索している。

自然環境に対する人類の借りを返し、次世代の人々が安定した生活を送れる世界を取り戻そうとしているところだ。


一九七一年、わたしは「二〇二三年までに、世界の三人に一人は水不足で苦しむおそれがある」と警告した。

当時見た予知夢では、発展途上国における水の消費量が、前世紀の
世界全体と比べて三倍にもふくれ上がっているのがわかった。

こうした水不足の影響をもっとも強く受ける国は、中国、アフリカ、日本、韓国、北朝鮮、インド、パキスタン、スウェーデン、デンマーク、アイスランド、フィンランド、イギリス、ドイツ、ポルトガル、フランス、イタリア、スペイン∵タイ、アメリカなどである。


今後、深刻な状況が訪れる。水がなくなれば食糧生産は困難になり、生産率は全世界で二〇パーセントも減少するおそれがある。


当然、食糧価格も高騰する。貧しい国々では、日常の飲料と農業用のどちらに水を用いるか選ばなくてはならなくなる。

しかも、二〇二三年には人口増加により、食糧生産に必要な水の量が五〇パーセントほど増えるかもしれない。


すでに容易に予測できることだが、二〇一二年にはインドの人口が中国の人口を超える。

水不足問題には、多くの要因が関与している。とくに地球温暖化による干ばつや、発展途上国における水資源のずさんな管理と投資不足が大きい。水道料金を値上げしたところで、問題解決にはほど遠い。


あらためて警告しよう-二〇二四年には、一〇〇ミリリットルのコップの水は、石油一バレルより価値を持つようになる。

机上の空論を振り回すのはやめ、ただちに具体的な行動を起こさなければならない。


すでにわたしは国連に警告の手紙を送った。残念だが、日本のみなさんにも、とても苦しい状況が訪れるとお伝えしなければならない。

気温は異常な上昇をみせ、二〇二一年までに摂氏五六度に達する可能性もある。

水不足に加え、台風や竜巻の増加により、生活は多大なダメージを受けるだろう(訳注降雨量が増えれば水不足は解消できるように思われるかもしれないが、ジユセリーノ氏によると、異常な高気温で、水はあっという間に蒸発してしまうのだという)。

水不足問題の解決に向けて、ブラジルと日本は多くの重要な分野で協力し合うことができる。

すでにCO2排出量を削減し、生活の質を向上させるための運動を展開しているところだが、まだまだ不十分だ。

気象変動を押しとどめるために、植林の促進など、新たな施策を進めていく必要がある。

水は貴重な財産

水は金より大切だ。
よく聞いてほしい。

水は人類の未来の行く末を決める。ここ数年以内に、水をめぐって大きな対立が引き起こされるかもしれない。

すでに二〇億人の人々が水不足で苦しんでいる。


一九七一年以来、わたしがたくさんの警告を発したあとで、ようやく科学者たちは、貧困層が地球温暖化でもっとも被害を受けると結論づけた。

まさにわたしが言ったとおりに。
生命は水を起源としている。組織の大半は水が占めている。

まさに生命に欠かせない要素なのである。

しかし、この資源をいつまでも好き放題に浪費できるわけがない。

地球に存在する水は増えも減りもしない。

進化のサイクルは永遠にくり返されていることから、
現在の水量は三〇億年前とほぼ同じだと考えられている。

水で構成された環境体系を科学者は「水界(hydrOSphere)」と呼んでいる。

地表の七〇パーセントを占めている水の大部分(九七パーセント)は塩水。

真水は全体のたった三パーセントだ。

そして、われわれが利用できる河の水は、全体の〇・〇一パーセント。

残りは地下水脈や氷山、地下の奥深くに眠っている。

人間の使える水はごくごくちっぽけな割合にすぎない。


この貴重な液体は今後ますます希少となる。

アフリカや日本を含むアジアは深刻な危機に直面する。
おもな要因は汚染、人口増加、そして社会的格差だ。
まず、汚染により、すでに世界人口の半分ほどが、飲料水を入手できなくなっていることを忘れてはいけない。

おもに発展途上国の人々が、水から感染する病気によって年間一千万人、下痢により子供が約六〇〇万人死亡している。

これから二五年ほどのうちに、中東や北アフリカでは一人当たりが使える水は七八パーセントも減少する。

一方、同時期の地球には八五億人もの人口がいて、大半は大都市に集
中しているだろう。
人口増加は、飲料水の需要を増やすだけではない。
食糧生産も膨大な量の水を消費する。

とくに、穀物と動物性食品。

たとえば、夏に一トンの穀物を生産するのには二〇〇トンの水が必要だ。水不足に悩む国々の政府が、人口安定と水供給の増加を目的とした政策を至急実行しなければ、水不足はまたたく間に食糧不足に変わってしまう。
都市化と工業化も水の需要増加につながる。

都市人口が増えれば、家庭内で水を供給する必要も増す。

工業化はさらに水を消費する。
そして、社会的格差。アフリカ大陸の国々では、一日の水消費量は一人当たり平均一一~一六リットル。一方ニューヨークでは、真水・浄化水の消費が極端に多く、一人当たり二一〇〇リットルとなっている。

「一〇〇ミリリットルのコップ一杯の水に、石油一バレルほどの値段がつく日がくる」

一九八三年にわたしが口にしたこの言葉は、誇張ではない。

まさに現実となりつつある。
水不足は、国家間の衝突の原因になりつつある。

人々は戦争を引き起こすリスクを背負いながら、国境を越えて水を求めざるをえなくなる。

人類はこの貴重な液体を、戦争や衝突を避けて分かち合う用意ができているのだろうか。

可能な解決策

水不足を解消するために二つの基本的な提案をしたい。

ひとつは、「利用可能な水を増やすこと」。

もうひとつは、「効率的に水を利用すること」だ。

前者を実行する方法としては、氷河の利用や海水の脱塩化が考えられるが、費用がかさみ、水不足で悩むほとんどの国々には実現不可能だ。

地下の深層に眠る水を取り出すことも考えられる。

これには地下水位を下げて地盤を安定させるという利点もあるが、やはり技術投資が必要である。


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