大預言―2030年、人類未曾有の危機が来る
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*キリストへの憎悪と結社の起源


『歴史』と名付けられるその古文書は、今から一九六〇年前のエルサレムで'メイソンの母体組織が結成されたと記録する。


たっけいキリストの傑刑から約一〇年後の AD四三年六月二四日のことだ。


ときのユダヤ王へロデ・アグリッパ一世の王宮を、宰相ヒラム・アビウデが訪問した。


彼は、当時隆盛を極めて、ユダヤ人の大脅威とな-つつあったキリスト教を撲滅する新組織結成を、王に進言したという。


ヘロデ王との対話で興味深いのは'ユダヤ人がキリスト教の急激な拡大の理由がわからず'それを魔術のせいにしている点だ。


ヒラムはそれを「秘密の力」と呼んだ。


「秘密には秘密を持ってするしかない」と言い'キリスト教を超えるほどの秘密勢力を結成する以外ー事態を沈静化する方法はないと結論付けたのだ。


ヘロデ・アグリッパは'ペソレヘムで幼児大量虐殺を敢行したあの有名なヘロデの孫である。


当時危機的状況にあったユダヤ教復興のためにどの王よりも尽力し、神殿の修復を完成させた。


だが'ユダヤ教保護のために、使徒たちを次々に逮捕殺害したも書かれている(使徒言行録‥-12-1~3)。


ヒラムの提言に刺激された王は、翌日九人のユダヤ人エリートによる会議を開き、演説を行った。


アグリッパはイエスを「詐欺師」と呼び、その教えに寝返るユダヤ人が増えていると激怒した。


ヘロデ大王以来、先阻がイエスと弟子たちに向けて行ってきた戦いを雄弁に語り、ヒラムの提案を再現して'結社「秘密の力」の創設を訴える。


面白いのは'イエスの死と「蘇り」についての言及だ。


アグリッパは、「イエスの墓が空になっているのが発見されたことが'ユダヤ勢力にとって決定的な打撃になった」と述べている。

キリスト教徒への激しい憎悪はここに端を発したのだ。


彼(イエス)の一味は、宗教上の権威と世俗的権威のことで、われわれと論争した。

われわれの宗教を攻撃Ltわれわれから王国を奪うためだ。

われわれは、先祖から受け継いだユダヤ教以外、いかなる宗教も容認しない。

メシアの時代はまだ来ていない。

どれほど多くの男女、家族がユダヤ教を捨て、これら詐偽師イエスの徒党に従っていることか。

どれほど祭司と権力者たちが彼らに脅しをかけへ徒労に終わったことか。
われわれの組織は無敵の力を持つ。

あの〝秘密の力″と、イエスと弟子が打ちたてなものを、ことごとく粉砕する。

欺暗者たちを攻撃し、殺し、その一派を滅ぼすために獅子のように立ちあがるo

欺臓者の魔術を打ち消し彼の一派を打破する甚大な力を組織から引き出す。

(TheDissipationoftheDarkness,theOriginofMasonry,Lawrence G.s.Lawrence邦訳‥『ヘロデの呪い』)


こうして、狂気の沙汰とも言えるユダヤ国粋主義のもとで、キリスト教職減を中心:蝣%-蝣眼目とする王立秘密結社「秘密の力」が創設されたのだ。
それは兄弟団とも呼ばれた。


次の会合で定められたのは会員を拘束する「死の誓約」だった。


私(何某の子,何某)は、組織「秘密の力」の加盟メンバーに受け入れられた今、メンバーを傷つけ、組織の命令に背-いかなることにおいても、兄弟を裏切らないこと、組織の活動家が命じるいかなることをも完遂し、その秘密を誰にも口外しないことを'神と聖書と名誉にかけて、ここに誓う。
この誓いに背けば'喉が切り裂かれ、いかなる形の死もいとわないことを誓う。

(同)


キリスト教徒撲滅の「秘密」は'ユダヤ人入会者にははっき-告げた。
だが、非ユダヤ人には内密にし階級を昇るにつれて徐々に思想を注ぎ込み、適切な時点で知らしめる。

誓いに縛られ'漸進的洗脳を受けた組織員は、進んで目的を果たした0


彼らがユダヤ教保護のための、神の導きであると信じ切っているのが面白い。


彼らは'さらに秘密を徹底させるために、組織の起源を大幅に遡らせ、王宮で発見された古代文書に従って新組織が発足したかのように偽装したという。