ドロレス キャノン, Dolores Cannon, 南山 宏

ノストラダムス霊界大予言

第十七章 反キリストの野望


 一九九七年ヨーロッパヘ進攻

 成り上がり王子が現われるや'
 宮殿の小鳥たちは早々に小鳥に追い出される。
 幾人の敵が川の向こうに撃退されたことか、
 支えられた小鳥は策略なしに捕えられる。
            (第二巻二十三番)


ノストラダムス-これは反キリストがイランを征服することを述べた詩だ。

彼はイスラム原理主義の責任者をだますためにおとりを便わねばならない。
小鳥たちとは'支配者が聞きたがることだけを耳にいれる宮廷の取り巻き、つまりおしゃべりのかさきざのことだ。
「支えられた小鳥」は反キリストが使うおとりをあらわすO

征服の第一歩として彼は内乱を起こして内部の原理主義者を駆逐
次に指導者として男を一人送り込む。
原理主義に忠実なイラン人の憎悪をこの男に集中させるのだ。


男が結局征服の途中で暗殺されると、原理主義者たちはこれで征服の阻止に成功したと思い込むo
しかし、気がついてみると彼はおとりにすぎず'彼らはまんまと反キリストの手中に落ちているのだ。


わたし-第一巻四十番の「勅令を取り消したいと望む男がエジプ-から出て行き」(第十一章〝しのびよる権力の影〟に前出)はどう解釈しますか?


ノストラダムス-事態の進展につれて、反キリストはさまざまな国を1つの政治的存在に統合しやすくするために通貨の統一に着手する。

この動きに抵抗する人々も現われるが'とくにエジプトのカリスマ的人気のある指導者は頑強な抵抗を示しはじめる。
その勅令というか法律を取り消し'アラブ諸国連盟の各国がそれぞれの通貨や貿易を保持できるようにと望むのだ。


 新たな権威によりも
 悲惨にして悲運の共和国が再び滅亡する。
 流刑でつのった莫大な量の悪意は、
 スイスに自らの重大協定を破らせる。
            (第一巻六十一番)


ノストラダムス-この事件は反キリストのヨーロッパ征服の途上で生じる。第二の悲惨な共和国とはドイツのことで'心臓を真っ二つに断ち割られるのだ。
無慈悲な思いをつのらせる流刑の人々とは、反キリス-がおのれの目的のためにドイツ国内にナチス党を返り咲かせることを意味する。
現在のドイツでナチスが若い世代に人気があるという動きがこの事件の伏線となるのだ。
その結果スイスは数世紀のあいだ保持してきた中立を破棄し、反キリストの敵側について実戦を開始するだろう。


 ローヌの末端と源の近く
 燃える箕火が夜空に見える。
 飢健と兵器、援助はもたらされるがすでに遅い。
 ペルシャは向きを変えてマケドニアに侵入するo

             (第二巻九十六番)


ノストラダムス-この詩は紛争の時代の複雑な状況を述べているので'ちょっとわかりにくいが'外交上の失敗が反キリストの権力増大につながることを述べている。
「燃える箕火が夜空に見える」は彼が悪魔的な憎悪と磁力を兼ね備えておりその力が闇の世界のために使われることに人々が気づいていることを指す。
権力者たちは事態に対して何らかの処置をとらねはと考えるが、決定を下すころにはすでに遅い。
その間反キリストは近隣諸国に侵入して戦略を開始しながら、侵略をさらに進めるために権力基盤を拡充している。
そしてアジア大陸を征服する。(←アンゴルモアの大王と比喩される所以)

わたし-なぜペルシャが名指しされているのですか?


ノストラダムス・・反キリストがそこを拠点に戦略に乗り出すからだ。


マケドニアとうたってあるのは、ヨーロッパで尊敬される土地の士気をくじく計画の初期にギリシャが侵略されるという意味だ。


ジョン-「燃える箕火」 には占星術上の意味があるのですか?


ノストラダムス-ある。
わたしが夜空に燃える筆火というときには、必ず目に見える彗星をも意味しているのだ。
この場合、これらの事件はおもに北半球で起きるからも北半球でとくによく見えるだろう。
 古来聾星が滅亡の前兆として用いられてきたのには充分な理由がある。
このとき火星はひじょうに赤くなり力を持ちはじめる。


火星と太陽の戦車と火の力が一致して滅亡に向かってはたらくのだ。

(←戦争が幸福に統治する)


ジョン-(天体暦で調べたのち)火星が射手座の宮に位置するのは一九九七年十月で、太陽は天秤座の宮のなかで衰過します。
これが事件の起きる時期なのですか?


ノストラダムス-そのようだ。


わたし-でもそのころにはすでに反キリストは政権を振っているでしょう0


ノストラダムス・‥少なくとも世界の一部は。
この時期にはひじょうに多くの事件が発生する。
あなたがたの懸念は現実となり、もっとも気違いじみた想像すら、今後生じる事態に-らべればけっして的はずれとは思えなくなるだろう。
何とかして、弾圧の時が訪れぬうちにこれらの大量の知識をまとめ、広めねばならない。 (←反キリストは文化遺産を徹底的に破壊する)


第二巻二十九番と第五巻五十四番でも反キリストのヨーロッパ侵略戦術が述べられている。
イタリアを破壊したあと'彼は 「空飛ぶ級弦」、つまり飛行機を使って山脈越しに北上し'フラソスを攻略すると予言されている。
司令部をビザソチウム (トルコ) に置き、すでに統合した北アフリカと地中海のイスラム諸国の堅固な支持を背景に、地中海経由で南から攻撃するのだ。


両方の四行詩で'反キリス-の支配の苛酷さは 「血まみれの棒」と表現されている。


 白く満ち足りた姿の月とでなくも
 木星は金星とより密接に結合する。
 白い海王星に隠れた金星は、
 火星によって刻みのある棒で叩かれる。
             (第四巻三十三番)


ノストラダムス-これらの惑星の位置は'占星術上の意味をあらわしている。
愛と理解をあらわす金星の影響力が、他の要素'とくに戦争をあらわす火星の力によって一時的に弱まる。
「刻みのある棒」 は権力と兵器の象徴だ。
これはあなたがたは気づいていないが、最近開発された高度の科学技術に関係がある。


 紛争の時代において、金星と木星が射手座にあり、しかも金星が海王星によって部分的におおい隠されるときこそ、大戦争が始まるときだ。
これまで四行詩で述べてきたあの破壊と飢産と疫病を引き起こす戦争の火ぶたが'いよいよ切って落とされるのだ。


ジョン-わかりました。
従来の占星術では、木星と連結した金星は有益な面をあらわし'それが射手座にある場合は宗教哲学をあらわし、さらにもっと精神的チャソネル、精神的中心へと開ける可能性もあると思います。
海王星は、金星のオクタープをもっと高くしたもので'宇宙への精神的愛をあらわす一方、好色家、欺楠者、時間の浪費家の意味もあります。
つまりこれはもっとも物質主義的な兆候なのです。
この兆候は'その大変動を回避するための希望の光がもっと精神的な価値体系から人類にもたらされることを意味するのでしょうか?


ノストラダムス-むろん希望の光はある。
最悪の事態が発生するのをたとえ回避できないにせよ、少なくとも変更を試みたいからこそ、これらの四行詩を使って対話しているのだ。
最悪の事態が発生するかどうかはさておき、世界じゅうに大いなる精神的再生が生じるのはたしかだろう。
 人々は紛争の時代を通じて自分自身に触れ、物質的価値は偽りだと気づくようになる。
その時代が終わると、人々は他の人々もまた精神的価値に目覚めたことを知り、こうして哲学の再生と東西の宗教の最上の面の融合が生じるのだ。


だが、そんなことが広範囲に起きるのは不可能かもしれない。
大多数の民衆は物質的価値を支持しているからだ。


 アメリカは中立を保つ

 逃亡者たちの武器に天上からの火、
 次の戦闘は鳥の戦いになるだろう。
 侵略者が壁に近づくとき、
 天の助けを求めて彼らは地球を訪れる0
               (第三巻七番)


ノストラダムス-これは反キリストの時代に、もっと強力な国々に援助を依頼する諸国について述べたものだ。
とくにアメリカのようにまだ中立を保ち'事態に介入していない国々に呼びかける0


わたし-「次の戦闘は鳥の戦いになるだろう」 の意味は?

ノストラダムス-無標識の飛行機との空中戦のことだ。
反キリストが飛行機を使って世界の一部を柾服しようとすると'夜の闇から無標識の飛行機が現われて彼らを撃退するのだ。
この飛行機を派遣した国は不明だが'おそらく、以前にも中立でありながら好意をもつ側に飛行機や銃などを提供したので有名な西欧の強国に所属する飛行機だろうと推測される。
その国のイニシャルはU・Sだ


わたし-やっぱり。
あなたは前にその国はできるかぎり中立を保とうとすると言っていましたから。


ノストラダムス-アメリカはつねにこの主義を踏襲するので有名だが、同時にどの戦争にも手を貸すことでも有名だ。
 反キリストは大胆に戦略を進めながらモナコを占額し、自分が公の統治者になるためにはモナコの王子を追放せねばならないと知る。
モナコがそれほど重要なのは、イタリアや南ヨーロッパに対する戦略拠点だからだ。
第三巻十番で「鉄の烏龍に描らあれた偉大なる黄金の人」と述べられているのは、占嶺後投獄されたレニエ公の後継者だ。


 日没寸前に戟蹄が始まる。
 偉大な国家は心もとない。
 力尽きた海港は応答せず、
 橋と墓はともに他国にある。
             (窮7巻三十七番)


ノストラダムス-いく通りか意味があるなかでもあなたがたにとって重要なものが一つある。
ついに反キリストとの戦争に巻き込まれるまでに、アメリカが一進一退をくり返す様子を述べたものだ(「日没寸前」とは、この状況におけるアメリカの国力が数年前の絶頂にはないことをあらわす。
「偉大な国家は心もとない」は参戦に関してアメリカ国民の意見が分かれることだ。
「力尽きた海港」は、反キリストの〟銀色の魚〟 つまり潜水艦が海を脅かすために、海運がきわめて危険になることを指す。

数ある決定的会戦は、海港の奪取に関わる戦いでもあるのだ。

「橋と墓はともに他国にある」の橋は、教皇ならびに教皇が他国へ移動する手段をあらわす。

つまり、この教皇の視点がよそもの教会とは異なるから、教会にとって彼は他国者なのだ。


わたし-これは最後の教皇ですね?


ノストラダムス-そうだ。
「橋と墓はともに他国にある」 は、まず戦争のせいで多数の人々が異郷で死ぬことを意味する。

二つめとしては'わたしとあなたと両方の時代の教会関係者に、ヴェールの向こう側の様相は彼らの想像とはまった-異なると指摘したいのだ。つまり、その様相は彼らの概念にとってはきわめて他国風なのだ、と