ドロレス キャノン, Dolores Cannon, 南山 宏

ノストラダムス霊界大予言

第十八草 終わりなき戦場


多くの文化遺産が失われる

カソパーニヤ、シエソナ、フローレンス、トスカ-ナで
六月と九日のあいだ一滴の雨も降らない。
ダルメシアで話される外国語は、
国じゅうのすべての土地を荒廃させるだろう。

(第二巻八十四番)


ノストラダムス-訳してわかるとおり'これはかんばつ紛争の時代を述べている。
早魅は'地球の変動に関連して発生する気象変化のことだ。
話される外国語が国土を荒廃させるとは'反キリストの軍隊がイタリアとギリシャの文化遺産の中心地を破壊して'士気をくじけさせる方法で占拠することを意味する。


わたし-それらの都市名はそのまま早魅の起きるヨーロッパの地方と解釈していいのですね?


ノストラダムス-イタリアの地方だ。
当然だが'ワイン工業にとってその早魅は壊滅的だろう。
今後十年二十年しても、立派なレストランに出かけても九八年ものの上等なワインは注文できまい。
調べたところ'ダルメシアは現在はアドリア海沿岸の細長い土地(旧ユーゴスラビア)を指すが一時はローマ帝国に属していた。

ノストラダムスの時代にはヴェニスに属し、周囲をトルコが囲んでいたから'おそら-イタリアとイスラム勢力の両方を指すと思われる。
カンパ-ニヤとトスカーナはイタリアにあり'大量のブドウを産出してワイン醸造で有名な土地だ。もちろん、ここに参加しているわたしもプレソダもジョンも、このことは知らなかった。


火星に心臓をあずけたイギリスの王子は、
自らの盛運を試したいと望む。
二度の決闘では彼は胆嚢を刺し貫かれ
相手に嫌われるが、母親からは充分に愛される。

(第三巻十六番)


ノストラダムス-これは反キリストによる戦争の開戦間際に起きる事件を述べたものだ。

「火星に心臓をあずけたイギリスの王子」とはイギリス王家の若者で、軍隊を率いて戦争に行きた-てたまらない。
大陸の友人たち、つまり外交条約を結んでいる国民を助けたいのだ。
彼は大きな戦いに二度出撃したが'裏をかかれて不面目な敗退を余儀な-される。
敵の軍隊は彼に唾を吐きかけへ敗れはしたがその武勇を讃えて彼の名前を呪い言葉に使う。
この軽率な出陣のせいで、丹念に練ったヨーロッパ征服の計画が多少混乱する。
そこで彼はかつイギ-スに戻るが、母国であるイギリスは彼に喝采を送り、勇敢な見せ場をつくったことでなおいっそう愛する。


わたし-「彼は胆嚢を刺し貫かれる」は裏をかかれることですね?


ノストラダムス-そうだ。
敵は彼の軍隊の側面を突いたので'彼を負かすことができたのだ。

わたし-これまで注釈者たちはそれを文字どおりに決闘と解釈して'もう決闘はおこなえないと言っていたのですよ。


北方で大いなる労苦がなされ、
海を渡る道が開ける。
島の統治は再確立され、
艦隊を認めてロンドンは恐怖する。
(第二巻六十八番)

ノストラダムス-これは二つの出来事を述べたものだo
一つは、第二次大戦中の米英関係とも 彼らがいかにしてこの二国間の航路を確保したかについてだ。
二つめは反キリストの時代に関してだ。
反キリストは'そのヨーロッパ戦略の途上イギリスをも接収しょうと企てる。
主要海運大国のイギリスはきわめて豊かに自国の軍隊を進められる。
彼はイングランドを接収しようとするが、全面的成功には至らないので'イングランドは自己を再主張できるようになる。
それは、再び背後でアメリカが支援して-れるからでもあるo


わたし-イングランドが接収されるのが見えるのですか?


ノストラダムス-紛糾する時代だから、すべての状況を明確に告げるのはむずかしい。
反キリストは一度めを試みて失敗したのはたしかだが、イングラソドの接収にやがては成功する。
しかしもっと頑強な地下運動支持者はアイルランドとスコッ-ランドに逃亡するから、大ブリテソ島の全土を占拠することはできない。
イギリスのl部にすぎないから、いわば〟残余〟大英帝国というわけだ。


わたし-え、何ですか?


ノストラダムス-第二次大戦中にドイツがチェコスロヴァキアを接収したとき'チェコの三分の二はナチス・ドイツのものとなり'残りのチェコが寄り集まって残りものの政府を作った。
まだ自由が残されていた残りの国にすぎなかったから、〟残余″チェコスログアキアと呼ばれたのだ。
つまり、彼らは〝残余〟大英帝国をつくるのだ。
イングランドの大部分は反キリストの支配下に置かれるが、イングランド北部'スコットラソド'アイルラソドには支配が及ばない。
うまくいけば、この事件が起きることでアイルラソド統一の可能性がでてくる。
もしイギリスが妾収されれば、北アイルラソドに何の手だしもできなくなるから、数世紀釆望みつづけてきたとおりにアイルランドは統一できるのだ。


わたし-そのとおりにいけば、アイルランド闘争は終わりますね。


ノストラダムス-アイルランドが闘いつづける最大の理由は、イギリスが、なろうと思えは活動的になれるときに」ぇてして気取り屋になりたがるからだ。
反キリストのイギリス占拠が起きれば'アイルランドはイギリスの干渉なしに自国の問題に自分で対処でき、そのダイナミックな活力を反キ-ストを初めとした問題に集中できるのだ。
雄々しく豪胆なアイルランド魂と頑固一徹のスコットランド魂は'最悪中の最悪の日々を生き抜いてやがては反キリストを制圧できるように'それぞれに地下運動を助ける有効な手段をとるだろう。
すべてが終わったときスコットランド人とアイルランド人は自らの国が果たした役割に誇りを持つことだろう0


 反キリストの恐怖政治

 ロワールとセーヌから来た民を皆殺しにし、
 レリダの民はモーゼルにいる。
 スペインの民があらゆる経路を開-とき、
 海辺の道は険しい谷に近づく。
             (第一巻八十九番)


ノストラダムス-これは反キリストの時代の事件においてスペイン人が果たす役割を述べた詩だ。彼らは地下運動において、反キリストが接収したあとのヨーロッパ中央部と外界とをつなぐのを助ける重要な輪になる。

スペイソ人は地下運動に助力を惜しまない。
スペインとフランスを隔てるピレネー山脈は、反キリストの魔手をのがれようとする人々の救出に重要な役目を果たすのだ。


わたし・・・「ロワールとセーヌから来た民を皆殺しにする」 の二つの名前は'どちらもフランスの川ですね。


ノストラダムス-そのとおり。

おびただしい虐殺がおこなわれるのだ。
第二巻八十三番では反キリストのヨーロッパ進攻時に〝霧″と表現される地下組織が反撃する、と述べている
彼らは寡か煙のように音もなく山中の防御拠点に撤退し、また出撃に向かうからだ。
この詩は同時にヨーロッパの主要貿易中心地が直接的破壊か貿易の中断かのいずれかによって荒廃することにも言及している。


暴君のセリムは港で殺されるが、
それでも自由は奪回できない。
復讐と悔恨から新たな戦争が生じる。
恐怖の力によって淑女は栄誉を獲得する。
(第1巻九十四番)


ノストラダムス-これは紛争の時代に反キリストがヨーロッパを接収するために軍隊とともに戦場で戦線を張っているときのことをうたったものだ。
当初は彼もおおむね勝っていたが'小規模な戦闘ではそこここで〝正義の男たち〟が勝利を収める。

イタリアとギリシャのあいだにある港での戦闘で'反キリスト軍の大物の首領が死ぬ。
人々はこれで事態は終蔦し、反キリストは手を引-だろうと願うが、彼は再び軍隊を投入し'人々を征服する決意を固めるのだ。


わたし-その首鎖が暴君のセリムなのですね。
前に、副司令官がさまざまな土地の管理に配置されるという話でしたが。
ノストラダムス-そうだ、この男がこの地域の副司令官だ。


わたし-「恐怖の力によって淑女は栄誉を獲得する」は?


ノストラダムス-反キリストは人々を恐怖におとしいれておのれの権力に服従させようとする。だが押さえつけようとすればするほど、人々は自由の支持者へとくに自由の女神像をもつアメリカによる救出を激しく希求するようになる。


わたし-なるほど'それでリバティー(自由)が大文字で始まっているのですね。

自由の女神像がノストラダムスの国フランスからの贈り物だったのも'やはり偶然の一致なのだろうか?


バビロンと気候が逆の土地で'
大量の血が流れる。
神は陸でも海でも空でも不公平だ。
党派'飢摩ー王国も疫病へ混乱。
(第一巻五十五番)


ノストラダムス-反キリストによる社会生物学的'政治的影響はとくに先進諸国で激しいだろう。
それらの諸国は同時に寒冷な気候をもつ北半球の国でもある。
バビロンは中東の農業国だったが'温暖な気候も肥沃な大地、降水に恵まれていた。
政治的、社会生物学

的大変動によって事態ほ分裂と混乱の様相をきわめへ人々は行く先も、頼るべき人物もわからなくなる。
不吉な予言を喧伝する人間が現われ、人々に啓示と救済を与える予言者だと自称するだろう。
政府の興亡がくり返され'きわめて混乱した時代となるだろう。

猛禽は左へ飛び'
戦争がフランスと結合する前に彼は備えをする。
その人物を善と見る者もあるが悪または酸味と見る者もある。
弱小団体は彼を吉兆と見なす。
(第一巻三十四番)

ノストラダムス-これも反キリスト用いる策略を述べたものだ。
彼はこれから占拠しようとする国の内部に暴動をかきたてる。
種々の分裂少数政党に、彼らの主義主張を支持して、再び政権の座に返り咲-のを助けてやると思い込ませるのだOむろん実際はそんなつもりは毛頭ないのだ。


わたし-ええ彼は黄金の舌にものを言わせて相手に偽りを信じさせるのがじつにうまいのでしたね。


ノストラダムス-こうして'内部からひとりでに国が転覆するのを手助けし、対外的な力を弱めるわけだ。


わたし-研究者たちはこの詩にヒトラーを結びつけていますが。


ノストラダムス-そう考えた理由はわかるが'わたしの力点は反キリストにあったのだ。
ヒトラーについては詳細にたどっていくつもりだ。
彼は相手かまわず術策を弄するだろう。
歴史の本を思い浮かべてほしいが'あなたから見れば過去だが'わたしにとっては未来なのだよ。
誰も夢にも要求しょうとしなかった譲歩を'ヒトラーがいかに彼流の甘言を弄してとりつけたかを、思い出してほしい。

スペイン人と野蛮人とリグリア人によって、

海の塔は二度、三度と奪取される。
ピサの人々によって、マルセイユ、エー、アルル、
テユリンス人によってアヴィニョンで荒廃、火、剣、略奪。

(第一巻七十一番)


ノストラダムス・この詩はスペイン内乱時と'第一次大戦中と、さらに反キリストと関連する未来における出来事を述べたものだ。
「海の塔」とはジブラルタルの岩山のことだ。


わたし-これまでは何のことかわからなかったのです。


ノストラダムス-ジブラルタルの岩山は戦略上重要な場所であることから、つまり勢力を象徴する塔でもある。
同時に、ここは海運強国というか海軍国であるイギリスの属領でもあるのだ。