ジョー・マクモニーグル未来を透視する/ジョー・マクモニーグル
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なぜ?「ケネディはダラスで未確認飛行物体や宇宙人について演説する予定だった。
暗殺はその阻止が目的」という説をよく耳にするが、事実ではないだろう。

暗殺には何か月にもわたる綿密な計画が必要だ。
演説の原稿ができてからでは遅すぎる。

またもっと根の深い巨大陰謀が張りめぐらされていたと考える人もいるが'やはり違うと思う。

ベトナム戦争など当時の政治状況から、ジョンソン副大統領が黒幕になったこともいっさいない。

大統領就任後の経緯を見ると'ジョンソンはベトナム問題には本当に心を痛めていて'苦悩を表には出さずとも数々の難しい決断を余儀なくされていたと思えるのだ。

ジョンソンは'おおぜいの米国人がベトナムで尊い命を落としたと悔いていた。
残念ながらかれの周囲には'おのれの言動に責任をもたない輩が交じっていた。

「ケネディはcIA解体を宣言しようとしていた」という説もあるが'たとえ事実だったとしても暗殺の理由にはならない
CIAがなくなってもその仕事は別の機関が引き継ぐに違いないからだ。

それにいかなる防衛・情報機関であっても'大統領暗殺などという計画が企てられれば'機関内の人間の目にさらされるのは避けようがない。

すべての組織が完壁なわけではないが、隠し「極秘の暗殺計画が明るみに出れば、当の機関が隠蔽しようと懸命になるのではないか」と考えられるかもしれないが'わたしはむしろ正反対のことが起きると思う。

大統領暗殺の全貌を明らかにすることは'諜報史における最大の業績とみなされるだろう。
政治判断や個人の心情からいっても、だれだって真相が闇に葬られるのは望まないはずだ。

世界を破滅に導く核戦争を何としてでも阻止したい-そう切望する者たちによって計画は練られたのである。

そしてへ政治よりは個人的な動機を持つ者たちの手で実行に移されたのだった。

暗殺の阻止は可能だったのか。

不可能ではなかったかもしれないが、当時の状況を考えると難しかっただろうと思う。
ケネディはその人となりが原因で殺された。
権力の使い方を理解し'断固たる態度で行使できる聡明さは、幼いころに父から学んだのだろう。

だが一部の人間は'ケネディの政治的手腕と外面的印象を不安定で危険なものととらえた。
そしてへ大統領よりも国家を優先させるべきだという考えにいたったのだ。
だが'かれらの不安は的外れだった。
もしジョン・F・ケネディが暗殺されていなかったらt l九七〇年代初期には'歴史はまったく別の道を歩んでいただろう。
核による相互抑止力という考え方(相互確証破壊論)も成立しなかったはずだ。
本当のところはだれも知りようがないが。