複数の透視者は必要か?

遠隔透視にまつわる風説にはこんなものもある-「透視者を何人か用いたほうが成功率は高い」。
この説は'新聞・雑誌や書籍などでも目にする。
おそらくへスターゲート・プロジェクトでの研究事例に基づく仮説なのだろうが'正しいとは言い切れない。
スターゲート・プロジェクトでは'透視目標に対して、複数の透視者を投入したことが多かったのは事実だ。
またへ複数が似通った結果を出し、成功したことがあるのも事実。

しかし'正確で質の高い情報が得られる保証はない。
二十年以上にわたる研究の中でも複数の透視者を登用するのが正しい道だとする証拠が出たことは一度もないのである。
むしろ,研究は逆を指し示す傾向が強い。
多数派よりも,一人,二人の少数派が出す答えのほうが正しいという事例は数多く存在する
なぜ多数派が間違えるのか、研究場面で原因を特定するのは難しいが、実用場面なら推測は容易だ。
フロント・ローディングに近い現象が起きたか,もしくは,フロント・ローディングが実際に起きたのにだれも気づかなかったのだろう。

わたしはこれを、「不測のフロント・ローディング」と呼んでいる。

不測のフロント・ローディングについてはだれも本格的に調査したことはなく、興味深いトピックだといえる。
例を挙げよう。
仮に、A氏が'六人の透視者とともに遠隔透視にかかわる進行役(ないし監視役)だとする。
かれを含めて全員が'透視目標の知識を持たない。
照準合わせに用いられる写真はなんの変哲もない扉を写していて'建物をまったく特定できないから,目標の糸口として適切だ。
A氏は「扉の背後にあるものを教えてくれ」と指示する。
二番目の透視者は'オフィスと思われる場所の情報を'詳細に提供する。
二番目,三番目,四番目へ五番目も、同様の結果を出す。六番目の透視者だけが,エレベーター・シャフトのようなものとも制服を着た警備員を描写する。 
ふつうなら、一番から五番までが正しいと思うだろう。
だが'依頼元が求めていたのは'建物内のエレベーターの位置と警備員の有無に関する情報だったのだ。
なぜ、こんなことが起きたのか。 
六人の監視役をまかせられていたA氏は'透視目標の正体を知らなかったが二番目の透視が終わった時点で何らかの真実を含む結果が出たと信じ二番目の透視が始まる時点で、同様の結果が出るものと期待していたのかもしれない。 
たとえ無意識にせよ,一番目の透視者が出したイメージに気持ちがとらわれていたA氏は'他の五人の透視者に面と向かったときに'質問の出し方やボディランゲージを介して'漠然とした印象を与えていた。
ただひとりへ六番目の透視者だけは際立った透視能力を持っていたらしく、A氏が言外に匂わした手がかりやメッセージにまどわされることなくへ自身が感知した情報を口にしたのだ。
以上のことから,少なくとも実用場面では'遠隔透視の条件につぎの項目を付け加える必要がありそうだ。

・複数の遠隔透視者に共通の透視目標を課すときは'同一の進行役・監視役を登用しないこと

研究・実用の両面でもどんなに過去をさかのぼっても'「複数の透視者を用いると正確さが増す」ことを統計的に示すデータは見つからない。
今のところわたしに言えるのはここまでだ。
透視者自身が目標を選ぶときはとくに注意研究場面において'透視者は'間接的な手段によってのみへ自分の透視目標を選ぶことができる。
例えば'擬似乱数生成器を用いて'透視目標が入った封筒の番号を指定するという具合に。
このとき透視者は封筒自体を決して手にしてはならない
また目標候補のストックは'すべてが封筒に入っていても'透視者本人は決して近寄ってはならない。
ここまで用心するのは、封筒に目印を付けて'見分けがつくようにするのを防ぐためである。
こうした不正防止策を信頼の欠如ととらえて、実験への参加に拒否反応を示す透視者も多いが,べつに本人の名誉を傷つけようとか、はなから疑ってかかろうとしているのではない。
超心理学を正当かつ高度な科学として打ち立てるには'長年にわたる忍耐と労力を必要とした。
過去には'ごくまれに不正行為が明るみに出たこともあったが'それが超心理学の信用をどれほど傷つけたかへ言葉では言い尽くせない。
超常現象の研究は'無知や誤解から噸笑の的になりやすく'不正行為による悪印象は、他の科学分野に比べて格段に破壊的なのである。
航空技術者が研究データを改ざんしたところでへ新聞の三面記事にもなりはしないだろう。

かしへ超心理学の実験で故意の不正行為が発覚すれば'悪評はずっとあとまで残る。
数か月どころかことによっては'数年たっても消えないかもしれない。
だから'不正防止の工夫は'透視者本人を含め、研究にかかわるすべての人たちを守ることにはかならないのである。
不正が起きる可能性があるなら最大限の労力を投じて'排除すべきだ。
透視過程で問題に気づいたら'指摘するのも透視者の責任である。

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