ライヴレポ「On A Special Day ~ 最高の日をありがとう」も今日が最終回。さすがに4時間を超える中身の濃い内容だったので、連載ものになってしまった。それではPart.3完結編をお届けしよう。

場内われんばかりの拍手の中、サンコンJrがロープをくぐりついにリングに姿を現した。おもむろに塩をすくいとり、少しなめた後、大きく弧を描くように土俵にまき、まわしをひと叩きすると、いよいよ制限時間いっぱい。カーンというゴングとともに、グラブを高くあげてガードを固めると、左でジャブをくり出しながら右にまわりこんだ...。
おっと、すべり出しをまちがえてしまった。異種格闘技戦じゃないんだから。どうもサンコンというと、僕にはそういうアスレチックなイメージがあるもんだから。ついつい脱線するところだった。ごめんね、サンコン。おわびといってはなんだけど、君のヒーローだったタイガーマスクのゴキゲン映像をプレゼントするよ。





話を渋谷gee-geに戻そう。場内われんばかりの拍手の中、サンコンJr.がステージに上がった。固い握手を交わすとドラムセットへ。
そしていよいよここから12月23日号で紹介した、一夜かぎりのスペシャル・バンドの時間だ。
秀樹・銀次のuncle-jamに、ベースの戸田君、そしてサンコンJr.のドラムスが加わり、なんと
L⇔R、ココナツ・バンク、spy、ウルフルズのメンバーによるスーパー・セッションだ。
せっかくサンコンが参加してくれたのだから、ここは彼に敬意を表して、ウルフルズの「バンザイ」をカバーすることにした。そして還暦につき申し訳ないが、銀次がヴォーカルをとらせてもらった。
フェイセスみたいなロケンロールなイントロでわざとじらして、いきなり「バンザーイ」と歌に入ったので、意表をつかれたお客さんはまた一段と盛り上がった。
観客を前にして、僕がサンコンのドラムで歌うのはなんとこれが初めて。教え子とひさしぶりにキャッチボールをする野球部の監督のような気分。グローブごしに感じるボールの手応えのように、背中にサンコンのあいかわらず温かくて、さらに大きくなったノリを感じて、とても気持ちよく歌わせてもらった。 やっぱり誘ってよかった。そして快く参加を決めてくれてありがとう。

大拍手の客席を通って楽屋へ。ここで黒沢君だけがステージに残り、挨拶の中からアンコールの熱い手拍手が。黒沢君の呼びかけでバンドはもう一度ステージへ。そのあいだに僕は「移動銀次」ではなくなんと「サンタクロース」に変身していた。裏で仕切ってくれてたササミカさんと前ちゃんが、今日買って来てくれたサンタの衣装だ。「銀次さん着てくれますか?」っていうから「いいとも」。「トナカイの角もあるんですけど.... 。」サンタクロースが僕なら、トナカイは誰だか決まっているはずだ。

そうとも知らない黒沢君の呼び込みで楽屋から飛び出たら、「メリー・クリスマス」を連呼しながらステージに向かって歩いた。みんな、きゃっきゃと喜んでくれている。なるべく太ったサンタのような声色にしてみたつもりだったが、シガニー・ウィーバーが出てた映画「ギャラクシー・クエスト」のサーミャンみたいで自分一人おかしくて笑っていた。

楽屋から持って来たトナカイの角を黒沢君に手渡すと、ちょっと躊躇、だけどさすが秀樹、すぐに頭につけてくれた。どうしたものかこれが、思いのほか似合い過ぎている。まるでこれで黒沢君というものが完成したかような。ジグソーパズルの最後のピースが入ったような ... 。というかトナカイというよりバンビ系なのかもしれない。





そこへ再び村松君と、今夜出演してくれたオール・メンバーがステージに上がった。ステージの中央に村松君。サンタとトナカイにはさまれた村松君のギターがあのおなじみのイントロを奏でた。
「キャーン、キャキャ、キャーン。キャーン、キャキャ、キャーン...。」本家本元、本家本物のシュガーベイブのギタリスト村松君がつま弾く「DOWN TOWN」だ。パーティーは一気にピークに達して、みんなウキウキ。大盛り上がりで僕の還暦ライヴ・パーティーは幕を閉じた。

誰もがこんな形で還暦をむかえられるわけではない。誰もがこんな素敵なパーティーを開いてもらえるわけではない。僕はほんとうに幸せものなのだ。
参加してくれたミュージシャンのみなさん、素晴らしい音楽をありがとう。パーティーに来てくれた観客のみなさん、貴重な時間をさいてくれ、どの瞬間にも惜しみない拍手をありがとう。そしてgee-geのすべてのスタッフ、アーティストの関係者のかたたちにも感謝です。そして黒沢君ほんとにほんとにありがとう。そしてプレゼントをくださったみなさまありがとう。みんな生涯最高の日をありがとう。

       *       *      *

あれから1週間がたった。祭りは終わったが、みなさんからのコメントのお返事やフォロー、そしてブログの更新などに忙しくて、実をいうとゆっくりいただいたカードやプレゼントを見る余裕がなかった。
やっと今日になって、武蔵小山アゲインの石川さんからプレゼントにいただいたウェルナー・ミュラーを聞きながら、ゆっくり拝見することができた。その中の1枚のカードに手が止まった。
「音楽に定年はありません。これからも長くがんばってください。最期までお供します。」
Baby Blueの頃からずっと応援してくださっているファンのかたからのお言葉だ。
24日からずっと涙腺上を行きつ戻りつしていたが、この「最期までお供します。」の一言で、ついに堤防が決壊したようだ。涙がじょわっとあふれ出て来た。ありがとう、歌えるかぎり歌っていくよ。

ここまで3回にわたる12月24日のセルフ・レポートにつきあってくれたみなさん、どうもありがとう。
それでは最後に、SIxty Candlesの全セットリストを載せておきます。幸いにも見に来れたかたたちは思い出深く、残念ながら見にこれなかったかたたちは、ライヴの模様をイメージしながら楽しんでください。


01) 黒沢秀樹 / Happy Birthday& Merry X'mas
02) 黒沢秀樹 / Sixty Candles (Sixteen Candlesの替え歌)

03) 久保田洋司 / バラード(with戸田吉則)
04) 久保田洋司 / 夜空に向けて解き放つ
05) 久保田洋司 / トナカイの橇
06) 久保田洋司 / カセットテープ

07) 村松邦男 / Boo Do Child
08) 村松邦男 / 耳のおそうじ
09) 村松邦男 / 指切り(大瀧さんのカバー)

10) 井上富雄 / 寝ぼけまなこ
11) 井上富雄 / 上昇気流
12) 井上富雄 / HOLD ON(イアン・ゴムのカバー)
13) 井上富雄 / SMALL TOWN TALK (ボビー・チャールズのカバー)

14) 長田進 / MIDNIGHT BLUES
15) 長田進 / THE APPLE TREE SONG (作詞が奈々子さん)
16) 佐藤奈々子 / Raincoat (with 長田進&古田たかし)
17) 佐藤奈々子Moon River(ヘンリー・マンシーニのカバー)

18) BOX / 風のBad Girl
19) BOX / I'll Be Back(ビートルズのカバー)
20) BOX / ママがサンタにキスをした(カバー)
21) BOX / Train to the heaven

22) 杉真理+黒沢秀樹 / Stay Silver (with 古田たかし)


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23) 伊藤銀次+青山陽一+黒沢秀樹 / こぬか雨

24) クラウディ・ベイ+戸田吉則 / G-Chord Song (ローチェスのカバー)
25) クラウディ・ベイ+戸田吉則 / 海を近くに
26) クラウディ・ベイ+戸田吉則 / 母親役から自由にして

27) uncle-jam / Dream Again ~ ラジオからP. S. I Love You
28) uncle-jam / I Will
29) uncle-jam / ウキウキMusic

☆ スペシャル・セッション ☆

30) バンザイ ~ 好きでよかった
      (銀次・サンコンJr・黒沢・戸田)

31) DOWN TOWN
(銀次・村松・サンコンJr・黒沢・戸田 & 全員)


どうもおつかれさまでした。