Hidden Enemy11 | The Lilies And Roses

The Lilies And Roses

当ブログはスキップビートの二次小説ブログです。
作者様・出版社様には一切関係はございません。
また文章の無断転載等はご遠慮下さい。

自由にのんびりと書きたいお話を載せていきたいと思います。
Laylaの完全自己満足&文章力UPの為の修行場です(´∀`)

※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。


キョーコSide


『…何だか眠れないわ…。』

キョーコは布団に入り横になったまま 夜に蓮から掛かって来た電話の内容を思い返していた。

(…俺の”お願い事”なんだけど…今度の休みに…1日セツカになってくれないかな?)

『…………。』

「…俺の”お願い事”なんだけど」って…言ってたわよね……?

それって…私の好きな人を教える事じゃなかったの…??

…私が勝手に勘違いして追い詰められて…嘘ついて…大泣きしただけ?!

キョーコの顔は一気に茹でダコのように真っ赤になった。

『もぉぉぉぉ////一体何やってるのよーー私ーー!』

キョーコは顔まで布団の中に潜り込んで、昨夜の自分の行動を反芻する。

『な…ななな何て迷惑な後輩なの…私……//////』

そして恥ずかしくてそのまま布団から顔を出せずにいた。

『…………
……………………////////


あ…でも”鍵持っていてくれる?”って…今日私に言ってくれたって事は…嫌われてはいないのよね…?

キョーコは布団からむくっと顔を出し起き上がると、自分の財布から蓮の家のカードキーを取り出した。

『ふふっ…敦賀さんのお家の鍵…!』

今度はその鍵を見つめ、そして手に持ったまま布団に寝転がる。

嬉しいけどいいのかしら…敦賀さんの想い人の…邪魔になったりしない…?

『えへへ…それにカイン兄さんとまた街中を歩けるの…?』

それが敦賀さんの”お願い事”だなんて…!

『敦賀さん「普段は堂々と街中には出られないけれど…カインとセツカの時は全然バレる事もなく街中を回れたから」って…言っていたわね…』

確かに変にコソコソするよりは良いかもしれないわね…悪目立ちはするけれど…。

どうしよう…またカイン兄さんに会えるんだ…私…嬉しい…!

『早く兄さんに会いたいわ…!ふふふ…』

『あ!コーンにも報告しちゃおう…!へへ…』

キョーコはいつも持ち歩いている小さな手帳”コーンとの交換日記”に、今の自分の気持ちを書き出した。

そしてその晩 彼女は嬉しさのあまり なかなか寝付く事が出来ず、ようやく寝付いた頃には明け方になっていた。




* * *




それから約3週間後の9月の終わりに、敏腕マネージャーである社さんの働きにより2人の変装デートは実現した。


デート当日の朝、だるま屋の前に一台の大きな車が止まった。ミューズの出張美容室である。

「キョーコちゃんおはようーー!!」

『あっ!ミューズさん おはようございます!わざわざすみません お忙しいのに…』

「いいのよー全然気にしないで!キョーコちゃんはイジりがいがあるから私も楽しいし!さぁ早く車に乗って。…ん~もう9月の終わりだっていうのに本当に暑いわねー!」

この年の夏は異常気象が多く 残暑も続き、今日も30度を越える天気になりそうだ。

「セツっぽい衣装を色々と持ってきたわよ~!」

「やぁ最上さんおはよう 今日はごめんねつき合わせて…でも久しぶりに街中を堂々と歩きたくなって。」

すでに衣装のみカインになっていた蓮が、車の奥からキョーコに声を掛けた。

『いえいえ!いいんですよ!私の方も楽しみにしていましたから!!』

「それじゃあ何処かに車停めて、準備しちゃおっか」

それにしても…カインとセッちゃんになってわざわざデートだなんて…この子らの関係は一体どうなっているのかしら…?とミューズは考えながら街中の方へと車を走らせ始めるのだった。







「よしっ じゃあカインの方はこれでOKね!」

ミューズは手際よく蓮の頭にカイン用のウィッグを被せ、髪をセットした。

「じゃあ蓮ちゃんは車の前の席に移動して!」

「ありがとうございます。わかりました。」

蓮は前に移動し、後ろとの間にあるカーテンを閉めた。

「次はセッちゃんね…さーて今日はどんな服装にしようか…?」

ミューズは衣装を何枚も並べて真剣な顔をしている。

「うん…じゃあコレちょっと着てみて!」

ミューズが選んだのは黒のキャミソールで肩紐が首の後ろで大きなリボンになっているオシャレでセクシーな物だった。

『えぇー?こっこれですか…?私なんかに似合いますか…ね…?』

胸元も背中も見える大胆な衣装にキョーコは不安になるが、ミューズに いいから早く と半分無理やり着替えさせられた。

そしてその後ミューズがキョーコの胸元を、うーん と不思議そうに見つめる。

『あっあのっやっぱりこの服…私には…』

「うん やっぱり!…キョーコちゃん胸少しおっきくなったんじゃない?」

『えっえっえええーーー本当ですか?!/////』

「うん~!さすが成長期ねー!きっともっと大きくなるわよー」

キョーコは真っ赤になりながらもミューズの言葉に喜びを隠せない。


そして前の席でカーテン越しにミューズの声が聞こえてしまった蓮は、無言のまま少し赤面し、一体何でそんな話をしてるんですか…思いながらも悶々としていた。


更にミューズが小声でキョーコに囁く。

「もっと簡単に大きくなる方法、教えてあげようか…?」

『え…そんなのあるんですか…?』

キョーコは さすが”美の女神様”はなんでも出来るのね…!と思いながら小声で聞き返す。

「…好きな人によく揉んでもらうのよ…!」

『………
………………………

その言葉に一瞬キョーコは頭の思考回路が固まった。

『なななっ何て事言うんですかーーー!!破廉恥ですよーー!!/////』

はっ破廉恥って…いつの時代の人よ~キョーコちゃんて本当面白い子ねー?と思いながらミューズはコーディネートをどんどん決めていった。

黒のセクシーキャミに、赤いチェックの超ミニスカート、そして夏用のサンダルブーツは足首から上の蝶と花の模様が透けて風が通るようになっているのだが、その透け具合がまた色っぽい。

スカートにはおしゃれなチェーンが付いていて、セクシーで格好良くも決まっていた。



その後 2人の変装は無事に終わり、街中で降ろしてもらった。

「「それではどうもありがとうございました。」」

そして2人はミューズにお礼を言い、街中へと歩き出す。

「セツ、手」

『うん、兄さん!』

こうしてカインとセツカの…約半年ぶりの街中デートがスタートした。






どうしよう――。

カイン兄さんとの距離が久しぶりで

嬉しいけど凄く緊張するわ…。

でも…今日一日だけは…貴方は私だけの物―――。





あれから半年しか経っていないのに

最上さんのセツカはとても大人びて…

そして色っぽくなった…俺が緊張するくらいに


今日一日だけ君は俺だけの物――。

だから…今日は”俺”にたくさん甘えて?

最上さん…片想いの北欧人の事なんか忘れて―――。







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