車のボディイに両手を付き、動きは阻止しましたが、ドアを開けようとしない●●子さん。 彼女の驚きと困惑した顔を見、私は悲しかった。

 

 こんな娘のような年頃の彼女に、何故こんな事をしなければならないのか。 何故、私を此処までさせるのかと思いました。 そう思う、私の気持ちなど幾度言葉にしても亭主には解らないと思います。

 

 ドアノブを思いっきり動かすと・・・開きました。 「降りなさい、車から降りなさい」と、私は幾度も言いましたが、彼女は下を向いたままです。

 

 亭主は、また車を動かそうとします。 降りなさいと言いながら、私は空けたドアから手を離しません。 でも、背中から心臓に激痛が走ったのです。

 

 体中が、心臓になったかのようになりました。 心因性の狭心症の発作です。 逃げられると困ります。 しゃがみ込んでも、手は離しません。

 

 肩で息をしながら「降りなさい!!と、叫びますと、彼女はヤット車から降りてきました。 

 亭主は、車を路肩に止めました。

 

 感情的になり過ぎると、症状が酷くなりショック状態に陥るのは解っていますから、声を押し殺し「●●子さんですよね」と、彼女に言いますと「スイマセン」と、蚊の鳴くような声で言うのです。

 

 「謝る必要は、ありません」私は、収まらない動悸で立つこともヤットの状態でしたが、ここで弱みを見せたくはありませんでした。 妻の誇りです。

 

 スイマセン。 眠たくは無いのですが、体が持ちません。横になります。  中途半端な所で終わります。