『大合奏!バンドブラザーズDX』のダウンロード曲はどうして削除や上書きが出来ないのかを説明その2
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まずは前回 のおさらい。
前回の最後の方で、音楽出版権さえ使用許可を得ることが出来れば、
楽譜や歌詞などは誰でも使用できることを書きました。
ここからが今回のお話しになります。
音楽出版権は音楽出版社が所有します。
(少し脱線しますが、音楽出版社はテレビ局のグループ企業であることが多いです。)
音楽出版社は音楽出版権をJASRACに管理してくれるように申請します。
いちいち小口の音楽出版権の使用許可申請に対応していたら音楽出版社はそれだけで手一杯になってしまうからです。
音楽出版権の使用料金の徴収代行をJASRACにお願いしているのです。
と言うことは、ゲームにJ-POPなどの音楽を使用するときには、原曲を使用しない限り以下の事をすればOKです。
JASRACに音楽出版権の使用許可申請を出して、その使用料金を納める。
ここではわかりやすくするために「J-POP」としましたが、正確には「JASRAC管理下の楽曲を使用する場合」です。
ここで、やっとNDS『大合奏!バンドブラザーズDX』(以下『バンブラDX』)の話題です。
ゲームソフトの値段は以下のような内容で構成されています。
(それぞれの構成比は適当)
この中で、今回重要なのは製造原価になります。
製造原価というのは文字通りソフトを製造するのにかかる金額です。
それでは、製造原価の内訳を詳しく見てみましょう。
こんな感じです。
JASRAC申請代というのが音楽出版権の使用料金になります。
例えば、通常のゲームの場合はJ-POPなどは収録されていません。
そのようなJASRAC使用料金がかからないゲームの場合は以下のようになります。
JASRAC使用料金を支払わなくて良い分、製造原価が下がりました。
その分が利益として上乗せされます。
または、その分をユーザーに還元して小売価格を下げると言うこともありえます。
JASRACに納める音楽出版権の使用料金は収録されている曲数と収録時間で決まります。
そして、JASRACへの支払いは(パッケージ商品の場合)原則として先払いです。
つまり、『バンブラDX』の場合、JASRACに支払う音楽出版権の使用料金は以下のような内訳になります。
5曲というのは初期状態で収録されているJASRAC管理曲の5曲です。
『未来予想図II』『粉雪』『ロビンソン』『世界に一つだけの花』『涙そうそう』がその曲です。
その5曲プラス、ダウンロード出来る100曲分の音楽出版権の使用料金が商品価格に含まれていると考えてください。
さて、ここまで来れば勘の良い方なら何となくおわかりいただけたと思います。
もう一度、製造原価の内訳を見てください。
JASRAC申請代がこの大きさだから、製造原価がこの金額になっています。
JASRACに納める音楽出版権の使用料金は収録されている曲数と収録時間で決まるので、
現在の小売価格で支払い済みのJASRAC料金(5+100曲分)に、さらに100曲分のダウンロードを考えると以下のようになります。
前述の通り、構成比率は適当ですが、「JASRAC申請代が増える」ことは間違いありません。
上図のように、製造原価が上がった場合、利益が少なくなってしまいます。
これなら、ユーザー的には痛くないのですが、普通の企業だったら以下のような対応が一般的だと思います。
販売価格の上乗せです。
このダウンロード100曲分に関しては、既にJASRACへの音楽出版権の使用料金は支払っているからユーザーさんで好きな曲を使ってください。
という事になります。
イメージとしてはiPodに入れるための曲データを購入しダウンロード→iPodに転送した場合、
そのデータをiPodから削除したからと言って次の曲データを無料で貰えるわけではないですよね。
新しい曲をダウンロードするには、その分の代金を支払わなければいけません。
『バンブラDX』の場合はJASRACへの使用料金は既に前払いにて支払ってしまっているので、
その代金で購入できるのは100曲までなんです。
削除することは出来ても、その曲データの替わりとして新規の曲データをダウンロードは出来ないのです。
だったら削除という行為はユーザーに対して不利益しか生み出さないので、「削除、入れ替え、上書きはできません。」というようにひとくくりにまとめているんだと思います。
200曲を収録するためには定価を上げるか、101曲目からのダウンロード曲に対して追加料金を課金するというやり方も考えられますが、任天堂的には現在の方法を採ったと言うことになります。
わたしとしては今回のやり方は、販売価格を抑えた上でユーザーに選択の幅を持たせたという意味で評価したいと思っています。
こんな感じでご理解いただけたでしょうか?
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今回の説明は「わかりやすく説明する」という事に主眼を置いたので、細かい部分はスルーしているところもあります。
が、その分わかりやすくなっているのでご容赦下さい。
ちなみに、よく聞く「著作権」というのは、音楽業界の場合は「音楽出版権」のことを言っています。
映画やゲームなどの著作物に関する権利が「著作権」と呼ばれているので、音楽業界の場合もこれに準じてそう呼んでいるようです。
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