MXテレビの新社長 | BOSSの独り言

BOSSの独り言

月刊BOSS編集長・関慎夫がつづるインサイドニュース・ブログ

今日午後4時から、東京MXテレビの社長就任会見が行われました。新社長に就任したのは大木充さん。つい先日までソニーの上席常務であり、放送機器事業の責任者でした。大木氏はかつて創業者・盛田昭夫の秘書役として、財界活動のサポートをしてきた人で、ソニーの広報責任者も務めています。その半生も十分おもしろいのですが、今日は、ソニーとMXテレビの不思議な関係について書いてみたいと思います。

MXテレビの開局は1985年。東京商工会議所などが中心になって設立しています。当時、ソニー社長の大賀典雄氏が東商副会頭だったこともあって、ソニーとの関係は最初から密でした。当初は経営が苦しく社長も頻繁に代わります。そこで大賀氏は、出井伸之氏を次期社長含みで常務に送り込んだのです。ところが、ソニーの支配下に置かれることになるのを嫌った人たちがいたのでしょう。放送機器の選定にあたり、ライバルの松下電器のシステムを導入。これに大賀氏が激怒、出井氏を引き上げ、MXテレビとの縁を切ったという経緯です。

もしソニー製放送機器を購入していれば、すんなりと出井氏が社長になっていたはず。そうなると出井氏がソニーのトップにつくこともなかったわけで、違う社長のもと、今日とはまったく違うソニーができあがっていたかもしれません。

この時以来、放送事業はソニーの悲願となります。孫正義氏が始めたCS放送(今日のスカパー)にソニーが参加したのには、MXのリベンジ的意味合いもあったはずです。

その後、MXは、東京FMの傘下となり、再建への道を歩んでいきます。ソニーは2.4%の株主という存在でしかありませんでした。ところが東京FMの後藤亘会長(MXテレビ社長)は大木氏に目をつけます。放送機器のプロであること。しかもソニー首脳としてメディアにも明るいこと。考えてみればうってつけの存在です。こうして十数年の紆余曲折を経てソニー出身者に社長の椅子が巡ってきたのです。

巡り巡ってようやく落ちるところに落ちた。そんな気がしてなりません。