第1話~漂流~ by城田和彦 | ゲキダンゴブログ

第1話~漂流~ by城田和彦

頭が重い…。


体を動かそうとすると、体中に鈍い痛みが走る。


指は…動くようだ。


ざらざらした感覚。…砂か?


…。


うちよせる海の音が聞こえる…。


ここは…?




目を開けると、照らしつける日に目が眩み、たまらず目を閉じる。


今度は少しずつ目を開く。


そして、力を振り絞り体を起こす。




そこには真っ青な海と真っ白な砂浜、そして、雲ひとつない空が広がっていた。


見覚えのない風景。


暑い。


強烈な日光が照らしつけ、肌がジンジン焼かれるようだ。



ここはどこだ?


なぜこんな…?


…。


…俺は?




ダメだ。何も思い出せない。


嫌な汗が背中を流れた。


自分のことがわからないことがここまで怖いとは。



立ち上がろうとするが頭に鋭い痛みが。


どこかに頭を打ち付けたのだろうか。



振り向くと、そこには広大な森が広がっていた。


奥には大きな山が。


建物は見えない。


とにかく、動くか。


痛む体を引きずりながら歩き出した。




まずは森の中へ。


まったく整備されてない。


道なき道を進む。


聞きなれない鳥の声。


見たことのない虫や草花。



こんなところに人が住んでいるのか?




耳を澄ます。


木々のざわめき。


鳥の声。


虫の声。


…。


水の流れる音。


水だ!


そう思った瞬間強烈な喉の渇きが。


水の流れる音の聞こえる方へ走る。




川だ!


そこには小さな川があった。


必死に水を飲む。


おもわず咳こみそうになるが


その咳すら飲み干す勢いで飲んだ。


ふぅ~。



その場にへたり込む。



木々に囲まれ、少し涼しい。


生きてる。



改めて感じた。



少しだけ、顔がほころぶ。


森を見渡す。


やはり、人の気配は感じられない。




目線を下げる。


そこには地面…


…?


…これは!




そこには大きな足跡が。


とてつもなく大きい。


なんだ…?これ。




ガサガサ!


後ろから何か聞こえる。




続く。